電子帳簿保存法の改正ポイント2026年版|対応しないとペナルティ?


2024年に猶予措置が終了し、電子帳簿保存法が本格的に義務化されたことで、個人事業主やフリーランスの方々にとって「対応しなければペナルティがあるの?」という不安が広がっています。請求書や領収書の電子データ保存が必須になったものの、具体的に何をどう準備すればいいのか分からない、という声も少なくありません。

本記事では、2026年に向けて押さえておくべき電子帳簿保存法の改正ポイントを、個人事業主・フリーランス向けに分かりやすく解説します。電子取引の保存義務、スキャナ保存の要件緩和、タイムスタンプの要否など、実務で必要な知識を網羅的にご紹介します。

適切に対応すれば決して難しくない制度ですので、この記事を読んで正しい知識を身につけ、安心して事業に専念できる環境を整えましょう。会計屋.comでは税務・会計の最新情報を分かりやすくお届けしています。

電子帳簿保存法とは?2024年改正までの経緯

電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。1998年に制定されて以来、IT技術の進展に合わせて何度も改正が重ねられてきました。

電子帳簿保存法の3つの区分

この法律は大きく分けて3つの保存区分があります。それぞれ対象となる書類や要件が異なるため、まずは全体像を理解しましょう。

区分 対象書類 義務・任意
電子帳簿等保存 自己が最初から電子的に作成した帳簿・書類 任意(要届出)
スキャナ保存 紙で受領・作成した書類をスキャンして保存 任意(要事前届出不要に緩和)
電子取引データ保存 電子的に授受した取引情報(メール添付の請求書等) 義務
注意: 特に重要なのが「電子取引データ保存」です。メールで受け取った請求書やPDFの領収書などは、2024年1月以降、電子データのまま保存することが義務化されています。印刷して紙で保存するだけでは要件を満たしません。
電子帳簿保存法の3つの区分を示した図解
電子帳簿保存法の3つの保存区分とその対象

宥恕措置の終了と2024年からの完全義務化

令和3年度税制改正では電子取引データ保存が義務化される予定でしたが、事業者の準備期間を考慮して2年間の宥恕措置が設けられました。しかし、この猶予期間は2023年12月末で終了し、2024年1月1日から完全義務化されています。

ただし、システム対応が間に合わない事業者のために、一定の条件下で「猶予措置」が認められるケースもあります。詳しくは後述します。

2026年に向けた電子帳簿保存法の主要改正ポイント

令和5年度税制改正により、2024年以降も段階的に要件緩和や実務的な調整が行われています。2026年に向けて押さえておくべき主要なポイントを整理しましょう。

①電子取引データ保存の完全義務化と例外措置

2024年1月以降、電子的に授受した取引情報は原則として電子データのまま保存しなければなりません。ただし、次の条件を満たす場合には猶予措置が適用されます。

  • 保存要件に従って電子データを保存する環境が整っていない
  • 税務調査の際に、電子データのダウンロードの求めに応じられる
  • 電子データを印刷した書面の提示・提出に応じられる
ポイント: 小規模事業者など、すぐに対応できない場合でも、データと紙の両方を保管しておけば当面は問題ありません。ただし、将来的には完全電子化が求められるため、早めの準備が推奨されます。

②検索要件の大幅緩和

電子データ保存には「検索機能の確保」が求められますが、令和5年度改正で大幅に緩和されました。

項目 改正前 改正後
検索項目 取引年月日・取引金額・取引先の3項目 同じ(変更なし)
売上高基準 売上高1,000万円以下の事業者は検索要件不要 売上高5,000万円以下に拡大
ダウンロード対応 要求があれば応じる必要あり ダウンロード求めに応じる場合は検索要件不要

つまり、基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者や、税務調査時に電子データをダウンロード提供できる体制があれば、厳密な検索機能は不要になりました。多くの個人事業主・フリーランスにとっては実質的に負担が軽減されています。

検索要件緩和の対象となる事業者の基準を示した図
検索要件の緩和対象事業者(売上高5,000万円以下)

③スキャナ保存要件の大幅緩和

紙で受け取った領収書や請求書をスキャンして保存する「スキャナ保存」についても、大幅に要件が緩和されました。

  • 事前承認制度の廃止:税務署への事前申請が不要になり、いつでも開始可能に
  • タイムスタンプ要件の緩和:訂正削除の記録が残るシステムを使えば、タイムスタンプ不要に
  • 適正事務処理要件の廃止:相互牽制や定期検査などの社内体制整備が不要に
  • 検索要件の緩和:売上高5,000万円以下の事業者は範囲指定・組み合わせ検索不要
実務的なメリット: これまで導入のハードルが高かったスキャナ保存が、会計ソフトやクラウドサービスを使えば簡単に実現できるようになりました。freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトは、スキャナ保存要件に対応した機能を標準搭載しています。

▲ 電子帳簿保存法の改正ポイントを解説した動画

電子取引データ保存の実務対応|何をどう保存すればいい?

最も重要な「電子取引データ保存」について、実務的な対応方法を詳しく見ていきましょう。

電子取引に該当する取引の具体例

以下のような取引は「電子取引」に該当し、電子データでの保存が必要です。

  • メールに添付されたPDF形式の請求書・領収書
  • クラウドサービス(Amazon、楽天等)からダウンロードする領収書
  • クレジットカードの利用明細(電子交付)
  • EDIシステムを通じて受領する取引データ
  • ネットバンキングの振込明細
  • 交通系ICカードの利用履歴データ
  • 電子請求書サービス(invox、Bill One等)で受領した請求書
よくある誤解: 「紙で印刷して保存すればいい」というのは間違いです。電子データで受け取ったものは、電子データのまま保存することが義務付けられています。ただし、前述の猶予措置の要件を満たせば、当面は紙保存との併用も認められます。

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