フリーランスの消費税申告の流れ|本則課税と簡易課税の選択ポイント


フリーランスとして事業が軌道に乗り、売上が増えてくると「消費税の申告が必要になる」と耳にすることがあるのではないでしょうか。しかし、消費税申告の要否判定や計算方法、本則課税と簡易課税の違いなど、理解すべきポイントは多岐にわたります。

この記事では、フリーランスの消費税申告について、課税事業者になる基準から申告までの具体的な流れ、本則課税と簡易課税の選択ポイント、実際の計算方法まで、初めての方でもわかりやすく解説します。消費税申告で損をしないための知識を、税務の専門サイト「会計屋.com」が網羅的にお届けします。

令和5年10月からはインボイス制度も開始され、消費税申告の重要性がさらに高まっています。正しい知識を身につけて、適切な申告と節税対策を実現しましょう。

消費税の課税事業者とは?フリーランスが知るべき基準

消費税申告の対象となる「課税事業者」に該当するかどうかは、フリーランスにとって重要な判定基準です。まずは自分が課税事業者に該当するかを確認しましょう。

課税事業者になる3つの基準

フリーランスが課税事業者になるのは、主に以下の3つのケースです。

  • 基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円超:個人事業主の場合、2年前の1月~12月の課税売上高が基準になります
  • 特定期間(前年1月~6月)の課税売上高が1,000万円超:前年前半の売上が1,000万円を超え、かつ給与支払額も1,000万円超の場合
  • インボイス制度で登録事業者になった:令和5年10月開始のインボイス制度により、任意で課税事業者を選択した場合
ポイント: 売上が1,000万円以下でも、インボイス登録をすると課税事業者になります。取引先の要請でインボイス登録したフリーランスは、売上規模に関わらず消費税申告が必要になる点に注意しましょう。
消費税課税事業者判定フローチャート
課税事業者判定の流れを図解

免税事業者と課税事業者の違い

区分 免税事業者 課税事業者
消費税申告 不要 必要
預かった消費税 納付不要(益税) 納付義務あり
インボイス発行 不可 可能
経費の消費税 控除できない 控除可能

消費税申告に必要な届出書と提出時期

課税事業者になることが決まったら、税務署への届出が必要です。届出のタイミングを逃すと、希望する課税方式を選択できないこともあるため注意しましょう。

課税事業者になる場合の主な届出書

届出1: 消費税課税事業者届出書
対象:基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合
提出期限:速やかに(課税事業者になったことの通知)
届出2: 消費税課税事業者選択届出書
対象:任意で課税事業者になる場合(インボイス登録含む)
提出期限:適用を受けようとする課税期間の前日まで
届出3: 消費税簡易課税制度選択届出書
対象:簡易課税制度を選択する場合
提出期限:適用を受けようとする課税期間の前日まで
注意: 簡易課税制度を選択できるのは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者のみです。また、一度選択すると原則2年間は変更できません。

インボイス制度における特例

令和5年10月から開始したインボイス制度では、免税事業者が課税事業者になる際の特例措置があります。

  • 2割特例:令和5年10月~令和8年9月までの期間、売上税額の2割を納税額とできる(届出不要)
  • 登録日特例:インボイス登録と同時に課税事業者になる場合、事前の届出が不要
  • 簡易課税との併用:2割特例期間中は、申告時に2割特例と簡易課税を選択できる
インボイス制度2割特例の適用イメージ
2割特例を活用した消費税負担軽減のイメージ

本則課税と簡易課税の違いと選択ポイント

消費税の計算方法には「本則課税」と「簡易課税」の2つがあります。どちらを選ぶかで納税額が大きく変わることもあるため、自分の事業に適した方式を選択しましょう。

本則課税(原則課税)の仕組み

本則課税は、実際に預かった消費税額から支払った消費税額を差し引いて計算する方式です。

計算式:納税額 = 預かった消費税 − 支払った消費税

  • 売上に係る消費税を正確に計算
  • 仕入・経費に係る消費税を全額控除できる
  • 設備投資が多い年は還付を受けられる可能性がある
  • 帳簿管理が詳細で複雑

簡易課税の仕組み

簡易課税は、売上に係る消費税額に業種ごとの「みなし仕入率」を掛けて、仕入税額控除を計算する方式です。

計算式:納税額 = 預かった消費税 − (預かった消費税 × みなし仕入率)

事業区分 業種例 みなし仕入率
第一種事業 卸売業 90%
第二種事業 小売業 80%
第三種事業 製造業、建設業、農林水産業など 70%
第四種事業 飲食店業、その他第一~三・五・六種以外 60%
第五種事業 運輸通信業、金融保険業、サービス業 50%
第六種事業 不動産業 40%

▲ 本則課税と簡易課税の違いを動画で解説

どちらを選ぶべき?判断基準