個人事業が軌道に乗り、いよいよ従業員を初めて雇うことに。しかし、「給与計算はどうすればいいの?」「社会保険の手続きが複雑そう」「源泉徴収って何をすればいいの?」と、初めての雇用に不安を感じている事業主の方は多いのではないでしょうか。実際、従業員を雇うと、それまでの個人事業主としての経理業務に加えて、給与計算、各種保険手続き、税金の源泉徴収など、新たな義務が発生します。
この記事では、従業員を初めて雇う時に必要な経理・労務手続きを、時系列に沿って分かりやすく解説します。雇用前の準備から、給与支払い後の手続きまで、漏れなく対応できるよう全手順をまとめました。
会計屋.comでは、中小企業経営者やフリーランスの方向けに、実務に即した経理・税務情報を提供しています。この記事を読めば、初めての従業員雇用でも安心して対応できるようになります。
従業員を雇う前に確認すべき3つのポイント
従業員を雇用する前に、まず事業主として押さえておくべき重要なポイントがあります。雇用後に慌てないよう、事前にしっかり確認しておきましょう。
個人事業主と法人では手続きが異なる
まず理解しておきたいのは、個人事業主として従業員を雇う場合と、法人として雇う場合では、一部手続きが異なるという点です。本記事では主に個人事業主を想定していますが、基本的な流れは法人でもほぼ同じです。
従業員数によって義務が変わる
雇用する従業員の人数によって、加入すべき保険や提出すべき書類が変わります。特に重要なのは以下の基準です。
- 従業員1人以上: 労働保険(労災保険・雇用保険)への加入義務
- 従業員5人以上: 社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務(一部業種を除く)
- パート・アルバイト: 労働時間・日数によって社会保険の加入対象になる場合あり
給与支払いには様々なコストが伴う
給与として支払う金額以外にも、事業主が負担すべきコストがあります。
- 社会保険料の事業主負担分(給与の約15%)
- 労働保険料の事業主負担分
- 給与計算や手続きのための時間・労力
- 給与計算ソフトや社労士への報酬(必要に応じて)
給与月額30万円の従業員を雇う場合、社会保険料の事業主負担だけで月4〜5万円程度が追加でかかります。資金繰りの計画を立てる際は、この点も考慮しましょう。
雇用時に必要な届出・手続き一覧【チェックリスト】
従業員を雇用したら、様々な行政機関に届出をする必要があります。提出先と期限をまとめたチェックリストで確認しましょう。
税務署への届出
| 届出書類 | 提出期限 | 対象者 |
|---|---|---|
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 雇用後1ヶ月以内 | 初めて従業員を雇う全ての事業主 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 特例を受けたい場合に提出 | 従業員10人未満の事業主(任意) |
労働基準監督署への届出
| 届出書類 | 提出期限 | 対象者 |
|---|---|---|
| 労働保険 保険関係成立届 | 雇用後10日以内 | 全ての事業主 |
| 労働保険 概算保険料申告書 | 雇用後50日以内 | 全ての事業主 |
| 就業規則届(10人以上の場合) | 遅滞なく | 従業員10人以上の事業主 |
ハローワークへの届出
| 届出書類 | 提出期限 | 対象者 |
|---|---|---|
| 雇用保険 適用事業所設置届 | 雇用後10日以内 | 雇用保険加入要件を満たす従業員を雇う事業主 |
| 雇用保険 被保険者資格取得届 | 雇用後翌月10日まで | 雇用保険加入要件を満たす従業員を雇う事業主 |
年金事務所への届出(従業員5人以上または法人の場合)
| 届出書類 | 提出期限 | 対象者 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 雇用後5日以内 | 社会保険加入義務のある事業主 |
| 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 雇用後5日以内 | 社会保険加入義務のある事業主 |
▲ 従業員雇用時の手続きを解説した動画
給与計算の基礎知識と実務手順
従業員を雇ったら、毎月必ず発生するのが給与計算です。初めて給与計算をする事業主向けに、基本的な流れを解説します。
給与計算の基本的な流れ
給与計算は以下のステップで進めます。
