売掛金・買掛金とは?掛け取引の仕組みと仕訳方法を初心者向けに解説


「売掛金って何?」「買掛金との違いがよく分からない…」フリーランスや個人事業主になって初めての確定申告を前に、このような疑問を抱えていませんか?売掛金・買掛金は掛け取引を行う事業者なら必ず理解しておくべき基本的な会計用語ですが、正しい仕訳方法を知らないと記帳ミスや確定申告の誤りにつながります。

本記事では、売掛金・買掛金とは何か、掛け取引の仕組みから具体的な仕訳方法、未収入金・未払金との違い、回収リスク管理まで、初心者にも分かりやすく徹底解説します。年収500万円のフリーランスデザイナーの実例や、実際の仕訳パターン10選も紹介しますので、この記事を読めば明日から自信を持って記帳できるようになります。

会計屋.comでは、個人事業主・フリーランスの皆様が正確な経理処理を行えるよう、税務の専門知識を分かりやすくお届けしています。売掛金・買掛金の正しい理解は、健全なキャッシュフロー管理と適切な確定申告の第一歩です。

売掛金・買掛金とは?基本的な定義と役割

売掛金と買掛金の関係を示した図解
売掛金と買掛金の基本的な関係性(取引の流れ)

売掛金(うりかけきん)とは何か

売掛金とは、商品やサービスを提供したにもかかわらず、まだ代金を受け取っていない状態の債権を指します。簡単に言えば「後でお金をもらう権利」です。会計上は資産(流動資産)に分類され、貸借対照表の左側に記載されます。

フリーランスのWebデザイナーを例にすると、2024年11月にクライアントへWebサイトを納品し、翌月12月末に50万円を振り込んでもらう約束をした場合、11月時点では「売掛金50万円」という資産を計上します。この売掛金は12月末に現金化されるまで帳簿上に残り続けます。

ポイント: 売掛金は「まだ受け取っていないお金」ですが、収益自体はサービス提供時点で発生しています。これを発生主義会計と呼び、青色申告を行う個人事業主には必須の考え方です。

買掛金(かいかけきん)とは何か

買掛金とは、商品や原材料を仕入れたり、サービスを受けたりしたにもかかわらず、まだ代金を支払っていない状態の債務を指します。簡単に言えば「後でお金を払う義務」です。会計上は負債(流動負債)に分類され、貸借対照表の右側に記載されます。

例えば、ネットショップを運営する個人事業主が2024年11月に商品を30万円分仕入れ、支払いは翌月12月末という条件だった場合、11月時点では「買掛金30万円」という負債を計上します。この買掛金は12月末に支払うまで帳簿上に残り続けます。

売掛金・買掛金が生まれる「掛け取引」の仕組み

売掛金・買掛金が発生するのは「掛け取引(信用取引)」を行う場合です。掛け取引とは、商品やサービスの提供と代金の支払いを異なる時点で行う取引形態を指します。現金取引と比較すると以下の違いがあります。

取引形態 代金決済のタイミング 会計処理 メリット
現金取引 商品・サービス提供と同時 現金/売上 即座に資金化、未回収リスクなし
掛け取引 商品・サービス提供後(通常30〜60日後) 売掛金/売上 取引の柔軟性、大口取引が可能
前払い取引 商品・サービス提供前 前受金/売上 資金繰り改善、未回収リスクゼロ

掛け取引は特にBtoB(企業間取引)では一般的で、月末締め翌月末払いや翌々月払いといった支払いサイクルが設定されます。フリーランスや個人事業主でも、企業と継続的な取引を行う場合は掛け取引が基本となります。

なぜ掛け取引が一般的なのか

掛け取引が広く利用される理由は以下の通りです。

  • 取引の効率化:取引ごとに現金をやり取りする手間が省け、月次でまとめて精算できる
  • 資金繰りの改善:買い手は商品を販売してから支払えるため、運転資金が少なくても事業を拡大できる
  • 信用関係の構築:継続的な取引関係を築く上で、相互の信頼を示す手段となる
  • 大口取引の実現:一度に大量の商品を仕入れたり、大規模なプロジェクトを受注したりできる
  • 経理処理の簡素化:請求書をまとめて発行・処理できる
注意: 掛け取引は便利な反面、売掛金の回収リスクや買掛金の支払い遅延リスクを伴います。特に個人事業主・フリーランスは資金力が限られるため、適切なリスク管理が不可欠です。

売掛金の具体的な仕訳方法【実例10パターン】

売掛金の仕訳帳記入例のスクリーンショット
実際の会計ソフト上での売掛金仕訳画面

【パターン1】商品・サービス提供時の売掛金計上

最も基本的な売掛金の仕訳は、商品やサービスを提供した時点で行います。フリーランスのWebライターが記事を納品し、後日50万円を受け取る約束をした場合の仕訳は以下の通りです。

【納品時(11月30日)】
借方:売掛金 500,000円 / 貸方:売上高 500,000円
摘要:〇〇株式会社 記事執筆代

この仕訳により、まだ現金は受け取っていませんが、11月の収益として50万円が計上されます。これが発生主義会計の基本です。青色申告を行う個人事業主は、必ずこの方法で記帳する必要があります。

【パターン2】売掛金の回収(入金時)

売掛金が実際に入金された時点で、売掛金を消し込む仕訳を行います。

【入金時(12月31日)】
借方:普通預金 500,000円 / 貸方:売掛金 500,000円
摘要:〇〇株式会社 11月分記事代入金

これにより売掛金(資産)が減少し、代わりに現金または預金(資産)が増加します。売掛金の残高がゼロになり、債権回収が完了したことを意味します。

【パターン3】振込手数料を差し引かれて入金された場合

実務では、売掛金の回収時に振込手数料を差し引かれることがよくあります。例えば、50万円の売掛金から振込手数料550円が差し引かれ、499,450円が入金された場合の仕訳は以下の通りです。

【入金時】
借方:普通預金 499,450円 / 貸方:売掛金 500,000円
借方:支払手数料 550円

振込手数料は「支払手数料」または「雑費」として経費計上できます。freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトでは、この処理を自動で行う機能が備わっています。

▲ 売掛金の仕訳方法を実演解説(会計ソフトの操作画面付き)

【パターン4】消費税を含む売掛金の仕訳(税込経理方式)

消費税課税事業者の場合、売上に消費税が含まれます。税込経理方式を採用している場合の仕訳例です。

【納品時(本体価格500,000円+消費税50,000円)】
借方:売掛金 550,000円 / 貸方:売上高 550,000円

税込経理方式では、消費税を含めた金額で売上を計上します。確定申告時に消費税を別途計算し、納税額を確定します。

【パターン5】消費税を含む売掛金の仕訳(税抜経理方式)

税抜経理方式を採用している場合は、消費税を「仮受消費税」として別途計上します。

【納品時(本体価格500,000円+消費税50,000円)】
借方:売掛金 550,000円 / 貸方:売上高 500,000円
             / 貸方:仮受消費税 50,000円

税抜経理方式の方が、本体価格と消費税が明確に区分されるため、損益が把握しやすいというメリットがあります。ただし、免税事業者(課税売上高1,000万円以下)は税込経理方式しか選択できません。

【パターン6】源泉徴収税を差し引かれて入金された場合

フリーランスのデザイナーやライター、コンサルタントなどが企業から報酬を受け取る際、源泉所得税が差し引かれることがあります。例えば、50万円の売掛金から源泉徴収税51,050円(10.21%)が差し引かれた場合の仕訳は以下の通りです。

【納品時】
借方:売掛金 500,000円 / 貸方:売上高 500,000円

【入金時】
借方:普通預金 448,950円 / 貸方:売掛金 500,000円
借方:事業主貸 51,050円

源泉徴収された所得税は「事業主貸」として処理し、確定申告時に納税済み額として控除されます。支払調書が送られてきますので、確定申告まで大切に保管してください。

ポイント: 源泉徴収の対象となる報酬は、原稿料、デザイン料、講演料、コンサルティング料など広範囲にわたります。報酬額が100万円以下の場合は10.21%、100万円超の部分は20.42%の源泉徴収が行われます。

【パターン7】一部入金があった場合

売掛金の一部だけが入金された場合の仕訳です。50万円の売掛金のうち、30万円だけ先に入金された場合:

【一部入金時】
借方:普通預金 300,000円 / 貸方:売掛金 300,000円
摘要:〇〇株式会社 一部入金(残高200,000円)

残りの20万円は売掛金として帳簿に残り、後日入金があった時点で再度仕訳を行います。会計ソフトでは売掛金の残高管理機能があるため、未回収金額を常に把握できます。

【パターン8】売掛金が貸倒れた場合(回収不能)

取引先が倒産するなどして売掛金の回収が不可能になった場合は、貸倒損失として処理します。50万円の売掛金が回収不能になった場合:

【貸倒発生時】
借方:貸倒損失 500,000円 / 貸方:売掛金 500,000円
摘要:〇〇株式会社 倒産により回収不能

貸倒損失は経費として計上できますが、税務上の要件が厳格です。取引先の倒産が確定していることを示す書類(破産通知、廃業届など)が必要になります。単なる支払い遅延では貸倒損失として認められないため注意が必要です。

注意: 貸倒損失の計上は税務調査でチェックされやすい項目です。証拠書類を必ず保管し、安易に計上しないようにしましょう。詳しくは個人事業主の確定申告やり方完全ガイドをご参照ください。

【パターン9】前受金から売掛金への振替

サービス提供前に一部を前受金として受け取っていた場合、サービス提供時に売上に振り替えます。制作費100万円のうち30万円を着手金として受け取り、残り70万円を納品後に請求する場合:

【着手金受取時】
借方:普通預金 300,000円 / 貸方:前受金 300,000円

【納品時】
借方:前受金 300,000円 / 貸方:売上高 1,000,000円
借方:売掛金 700,000円

この仕訳により、納品時に100万円の売上を計上し、30万円は既に現金化済み、残り70万円は売掛金として計上されます。

【パターン10】売掛金と買掛金の相殺

同じ取引先に対して売掛金と買掛金の両方が存在する場合、相殺することがあります。A社に対して売掛金50万円、買掛金30万円がある場合、相殺すると:

【相殺時】
借方:買掛金 300,000円 / 貸方:売掛金 300,000円
摘要:A社 売掛金・買掛金相殺

相殺後、売掛金の残高は20万円となり、この金額を後日受け取ることになります。相殺は双方の合意が必要ですので、必ず書面で確認を取りましょう。

売掛金仕訳パターン10種類の一覧表
売掛金の主要な仕訳パターン10選(保存版)

買掛金の具体的な仕訳方法【実例10パターン】

【パターン1】商品・材料仕入れ時の買掛金計上

商品や材料を仕入れた際、後払いの約束で購入した場合に買掛金を計上します。ネットショップ運営者が商品を30万円分仕入れ、翌月末払いとした場合の仕訳:

【仕入時(11月30日)】
借方:仕入高 300,000円 / 貸方:買掛金 300,000円
摘要:B商事 商品仕入

この仕訳により、まだ支払いは行っていませんが、11月の費用として30万円が計上されます。在庫として残る商品がある場合は、期末に「仕入高」から「期末商品棚卸高」へ振り替える処理が必要です。

【パターン2】買掛金の支払い(決済時)

買掛金を実際に支払った時点で、買掛金を消し込む仕訳を行います。

【支払時(12月31日)】
借方:買掛金 300,000円 / 貸方:普通預金 300,000円
摘要:B商事 11月分仕入代金支払

これにより買掛金(負債)が減少し、同時に現金または預金(資産)が減少します。買掛金の残高がゼロになり、債務の決済が完了したことを意味します。

【パターン3】消費税を含む買掛金の仕訳(税込経理方式)

税込経理方式を採用している場合の仕訳です。本体価格30万円+消費税3万円の商品を仕入れた場合:

【仕入時】
借方:仕入高 330,000円 / 貸方:買掛金 330,000円

消費税を含めた金額で仕入を計上します。

【パターン4】消費税を含む買掛金の仕訳(税抜経理方式)

税抜経理方式を採用している場合は、消費税を「仮払消費税」として別途計上します。

【仕入時】
借方:仕入高 300,000円 / 貸方:買掛金 330,000円
借方:仮払消費税 30,000円

この方式では、本体価格と消費税が明確に区分され、消費税の納税額計算が簡単になります。

【パターン5】クレジットカードで仕入れた場合

事業用クレジットカードで仕入れを行った場合、「未払金」として処理するのが一般的ですが、継続的な仕入先の場合は「買掛金」として処理することもあります。

【クレジットカード決済時】
借方:仕入高 300,000円 / 貸方:未払金 300,000円
摘要:クレジットカード払い B商事

【口座引落時】
借方:未払金 300,000円 / 貸方:普通預金 300,000円

クレジットカード決済は実質的な後払いですが、会計上は「未払金」として処理するのが正確です。ただし、継続的な取引先であれば「買掛金」として一括管理することも実務上は許容されます。

ポイント: 買掛金と未払金の使い分けは、「営業取引(本業の仕入れ)かどうか」で判断します。本業の商品仕入れは買掛金、それ以外(備品購入、水道光熱費など)は未払金を使うのが会計原則です。

【パターン6】一部支払いを行った場合

買掛金の一部だけを支払った場合の仕訳です。30万円の買掛金のうち、20万円だけ先に支払った場合:

【一部支払時】
借方:買掛金 200,000円 / 貸方:普通預金 200,000円
摘要:B商事 一部支払(残高100,000円)

残りの10万円は買掛金として帳簿に残り、後日支払った時点で再度仕訳を行います。

【パターン7】返品・値引きがあった場合

仕入れた商品に不良品があり返品した場合、または値引きを受けた場合は、買掛金を減額します。30万円の仕入れのうち、5万円分を返品した場合:

【返品時】
借方:買掛金 50,000円 / 貸方:仕入高 50,000円
摘要:B商事 不良品返品

返品により買掛金が5万円減額され、実際の支払額は25万円になります。返品・値引きは必ず先方の承諾を得た上で、証拠となる書類(返品承諾書、値引承諾書など)を保管してください。

【パターン8】前払金から買掛金への振替

仕入先に手付金を支払っていた場合、商品受取時に買掛金に振り替えます。100万円の機材を購入し、30万円を手付金として支払済み、残り70万円を後払いとする場合:

【手付金支払時】
借方:前払金 300,000円 / 貸方:普通預金 300,000円

【商品受取時】
借方:工具器具備品 1,000,000円 / 貸方:前払金 300,000円
                 / 貸方:買掛金 700,000円

この仕訳により、100万円の資産計上が行われ、30万円は既に支払済み、残り70万円は買掛金として後日支払うことになります。

【パターン9】手形で支払いを行った場合

約束手形で買掛金を支払う場合の仕訳です。30万円の買掛金を約束手形(支払期日3ヶ月後)で決済した場合:

【手形振出時】
借方:買掛金 300,000円 / 貸方:支払手形 300,000円

【手形決済時(3ヶ月後)】
借方:支払手形 300,000円 / 貸方:普通預金 300,000円

手形取引は個人事業主・フリーランスではあまり一般的ではありませんが、大規模な取引を行う場合には知っておくべき処理方法です。手形を振り出すと、支払いを先延ばしにできますが、信用力が求められます。

【パターン10】買掛金の支払い遅延(延滞利息発生)

買掛金の支払いが遅れ、延滞利息が発生した場合の仕訳です。30万円の買掛金に対して延滞利息5,000円が加算された場合:

【支払時】
借方:買掛金 300,000円 / 貸方:普通預金 305,000円
借方:支払利息 5,000円

延滞利息は「支払利息」または「雑費」として経費計上できます。ただし、支払い遅延は取引先との信用関係を損なうため、極力避けるべきです。

注意: 買掛金の支払い遅延を繰り返すと、今後の取引を断られたり、現金取引のみに切り替えられたりする可能性があります。資金繰りが厳しい場合は、早めに取引先に相談し、支払いスケジュールの調整を依頼しましょう。
買掛金仕訳パターンの比較表
買掛金の主要な仕訳パターン10選(ケース別対応)

売掛金・買掛金と似た勘定科目の違い

売掛金・未収入金・前受金の違いを示した図解
混同しやすい勘定科目の区別方法(フローチャート)

売掛金と未収入金の違い

売掛金と未収入金は、どちらも「後で受け取るお金」を表す勘定科目ですが、明確な違いがあります。

項目 売掛金 未収入金
定義 営業取引(本業)から発生した債権 営業取引以外から発生した債権
発生原因 商品販売・サービス提供 固定資産の売却、保険金受取など
発生頻度 継続的・反復的 一時的・単発的
具体例 ・デザイン料
・記事執筆代
・商品販売代金
・パソコン売却代金
・火災保険金
・給付金・補助金
貸借対照表の表示 流動資産(上位に表示) 流動資産(売掛金の下に表示)

例えば、Webデザイナーがデザイン料50万円を後日受け取る場合は「売掛金」、使わなくなったパソコンを10万円で売却し後日入金される場合は「未収入金」となります。

ポイント: 判断基準は「本業の取引かどうか」です。本業(営業取引)から発生したものは売掛金、それ以外は未収入金と覚えましょう。

買掛金と未払金の違い

買掛金と未払金も同様に、「後で支払うお金」を表しますが、発生原因によって使い分けます。

項目 買掛金 未払金
定義 営業取引(本業)から発生した債務 営業取引以外から発生した債務
発生原因 商品・材料の仕入れ 固定資産の購入、経費の後払いなど
発生頻度 継続的・反復的 一時的・単発的
具体例 ・商品仕入代金
・材料仕入代金
・パソコン購入代金
・水道光熱費
・クレジットカード払い
貸借対照表の表示 流動負債(上位に表示) 流動負債(買掛金の下に表示)

例えば、ネットショップ運営者が販売用商品を仕入れて後日支払う場合は「買掛金」、事務所で使うパソコンを分割払いで購入した場合は「未払金」となります。

売掛金と前受金の違い

前受金は、商品やサービスを提供する「前」に代金を受け取った場合に使用する勘定科目です。

  • 売掛金:商品・サービス提供後、まだ代金を受け取っていない(後で受け取る権利)
  • 前受金:まだ商品・サービスを提供していないのに、代金を先に受け取った(後で提供する義務)

前受金は負債として扱われます。なぜなら、代金は受け取ったものの、まだ商品やサービスを提供していないため、「提供する義務」が残っているからです。実際にサービスを提供した時点で、前受金から売上に振り替えます。

【前受金受取時】
借方:普通預金 300,000円 / 貸方:前受金 300,000円

【サービス提供時】
借方:前受金 300,000円 / 貸方:売上高 300,000円

買掛金と前払金の違い

前払金は、商品やサービスを受ける「前」に代金を支払った場合に使用する勘定科目です。

  • 買掛金:商品・サービス受領後、まだ代金を支払っていない(後で支払う義務)
  • 前払金:まだ商品・サービスを受けていないのに、代金を先に支払った(後で受け取る権利)

前払金は資産として扱われます。代金は支払ったものの、まだ商品やサービスを受け取っていないため、「受け取る権利」が残っているからです。実際に商品やサービスを受け取った時点で、前払金から経費や資産に振り替えます。

未払費用と未払金の違い

さらに細かく見ると、「未払費用」という勘定科目もあります。

項目 未払金 未払費用
定義 サービス提供完了後の未払い 継続的サービスの未払い部分
発生原因 単発的な取引 継続的な取引
具体例 ・パソコン購入代金
・広告掲載料
・事務所家賃
・電気代
・利息
決算時の処理 請求書が来てから計上 月割計算で見越計上

実務上、個人事業主の場合は未払金と未払費用を厳密に区別せず、すべて「未払金」で処理することも多いです。ただし、青色申告で正確な会計処理を目指すなら、継続的な費用(家賃、通信費など)は未払費用として区分した方が望ましいでしょう。

▲ 勘定科目の使い分けを実例で解説(会計士が教える正しい仕訳方法)

売掛金・買掛金の管理方法と回収リスク対策

売掛金管理表のエクセルテンプレート例
売掛金管理に使える無料エクセルテンプレート(サンプル)

売掛金管理の基本:請求書発行から入金確認まで

売掛金を適切に管理するためには、以下のステップを確実に実行することが重要です。

STEP 1:納品・検収
商品やサービスを提供し、クライアントの検収を受ける。検収書や納品書を必ず保管する。
STEP 2:請求書発行
月末締め、または納品後速やかに請求書を発行する。支払期日、振込先、請求金額を明記する。
STEP 3:売掛金計上
会計ソフトまたは帳簿に売掛金を計上する。取引先ごとに管理できるようにする。
STEP 4:入金確認
支払期日に入金があったか、通帳または会計ソフトで確認する。入金があれば売掛金を消し込む。
STEP 5:未入金フォロー
支払期日を過ぎても入金がない場合は、丁寧に催促する。メールまたは電話で確認を取る。

この一連のプロセスを確実に実行するために、会計ソフトの活用が非常に有効です。freeeやマネーフォワードでは、請求書発行から入金管理、売掛金残高の把握まで一元管理できます。詳しくは個人事業主向け会計ソフト徹底比較2024をご覧ください。

売掛金の回収率を高める5つのポイント

売掛金の未回収リスクを最小限に抑えるため、以下の対策を実施しましょう。

  1. 取引開始前の与信調査:新規取引先とは、必ず企業情報を確認し、可能であれば信用調査を行う
  2. 契約書の作成:支払条件、支払期日、延滞時の利息などを明記した契約書を交わす
  3. 請求書の即時発行:納品後すぐに請求書を発行し、支払い忘れを防ぐ
  4. 支払期日の短縮:可能であれば、月末締め翌月払いではなく、納品後2週間以内など短めの設定にする
  5. こまめな入金確認:支払期日になったら必ず入金確認を行い、未入金の場合は即座に連絡する
ポイント: フリーランスの場合、大手企業との取引では月末締め翌々月払い(支払いサイト60日)も珍しくありません。資金繰りが厳しい場合は、取引条件の見直しを交渉するか、ファクタリング(売掛債権の売却)を検討するのも一つの手です。

売掛金が回収不能になった場合の対処法

万が一、売掛金が回収不能になった場合の対処手順は以下の通りです。

段階 対処方法 期間の目安
1. 電話・メールでの催促 支払期日後すぐに連絡し、状況確認 支払期日後1週間以内
2. 内容証明郵便 正式な督促状を送付(証拠を残す) 支払期日後2週間〜1ヶ月
3. 支払督促の申立て 簡易裁判所に支払督促を申し立てる 支払期日後1〜2ヶ月
4. 少額訴訟・民事訴訟 法的手続きによる債権回収