試算表とは?合計試算表・残高試算表の見方と作成方法を初心者向けに解説


「試算表を見てください」と税理士や金融機関に言われたけれど、何をどう見ればいいのか分からない――。そんな悩みを抱える個人事業主やフリーランスの方は少なくありません。試算表は会計の基本であり、事業の健全性を把握する重要なツールですが、簿記や会計の知識がないと読み解くのは難しいものです。

この記事では、試算表の基本から合計試算表・残高試算表の違い、具体的な見方や作成方法まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。会計ソフトを使った効率的な作成方法や、試算表から経営状況を読み取るポイントも具体例を交えてご紹介します。

試算表を正しく理解することで、日々の経営判断がより的確になり、金融機関からの信頼も高まります。確定申告の準備もスムーズになり、税理士とのコミュニケーションも円滑になるでしょう。ぜひ最後までお読みいただき、試算表を経営に活かしてください。

試算表とは?経理における役割と重要性

試算表(しさんひょう、Trial Balance)とは、一定期間における全ての勘定科目の残高や取引の合計をまとめた一覧表です。簿記における記帳が正確に行われているかを確認する「検証ツール」であり、同時に企業や個人事業の財政状態を把握する「経営管理ツール」でもあります。

試算表の基本構造を示す図解
試算表の基本的な構造と役割

試算表の基本的な定義

複式簿記では、全ての取引を「借方」と「貸方」の二面から記録します。この借方と貸方の合計額は必ず一致するという「貸借平均の原則」があります。試算表は、全ての勘定科目を集計してこの原則が守られているかを確認するために作成されます。

具体的には、総勘定元帳に記録された各勘定科目の残高または合計額を一覧にしたものです。試算表を作成することで、記帳ミスや転記ミスを発見でき、決算書(貸借対照表や損益計算書)の作成前に帳簿の正確性を確保できます。

ポイント: 試算表は「帳簿が正しく記録されているか」を確認するための検証ツールであり、同時に「事業の現状がどうなっているか」を把握するための経営資料でもあります。月次で作成すれば、タイムリーな経営判断に活用できます。

個人事業主にとっての試算表の重要性

個人事業主やフリーランスにとって、試算表は以下のような場面で重要な役割を果たします。

  • 確定申告の準備:年度末に慌てないよう、月次で試算表を作成しておけば、確定申告時の集計作業がスムーズになります
  • 資金繰り管理:現金や預金の残高、売掛金・買掛金の状況を把握し、資金ショートを防げます
  • 融資申請:金融機関から融資を受ける際、月次試算表の提出を求められることがあります
  • 税理士とのコミュニケーション:顧問税理士と試算表を見ながら打ち合わせすることで、的確なアドバイスを受けられます
  • 経営判断:売上や経費の推移を把握し、事業計画の見直しや投資判断に活用できます

【2024年版】個人事業主の確定申告やり方完全ガイド|初めてでも安心の手順でも解説していますが、日頃から試算表を作成・確認する習慣をつけることで、確定申告の負担が大幅に軽減されます。

試算表と決算書の違い

試算表と決算書(財務諸表)は似ているようで異なります。両者の主な違いを理解しておきましょう。

項目 試算表 決算書
作成目的 記帳の正確性確認と内部管理 外部報告と税務申告
作成頻度 月次・四半期など定期的 年1回(事業年度末)
公式性 内部資料(公式書類ではない) 公式書類(税務署等に提出)
調整処理 通常は未実施 決算整理仕訳を反映
主な利用者 経営者、税理士、金融機関 税務署、金融機関、取引先

試算表は「途中経過」を示すもので、決算書は「最終結果」を示すものと考えると分かりやすいでしょう。試算表を毎月作成しておけば、年度末の決算書作成がスムーズになります。

試算表の3つの種類:合計試算表・残高試算表・合計残高試算表

試算表には「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」の3種類があります。それぞれ表示する情報が異なり、用途や見方も変わってきます。ここでは各試算表の特徴と違いを詳しく解説します。

3種類の試算表の比較イメージ図
合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の違い

合計試算表とは

合計試算表(ごうけいしさんひょう)は、各勘定科目について、一定期間内の借方合計と貸方合計を集計した試算表です。期間中に発生した全ての取引金額の合計を示すため、取引量の多さや勘定科目の動きを把握するのに適しています。

例えば、現金勘定であれば「借方合計:1,500,000円」「貸方合計:1,200,000円」といった形で表示されます。この合計試算表では、全ての勘定科目の借方合計と貸方合計が一致する必要があります。

合計試算表のメリット:

  • 取引の総量が把握できる
  • 記帳の網羅性を確認できる
  • 仕訳帳や総勘定元帳との照合がしやすい

ただし、合計試算表だけでは各勘定科目の「残高」が分からないため、財政状態の把握には不十分です。そのため、実務では残高試算表や合計残高試算表の方がよく使われます。

残高試算表とは

残高試算表(ざんだかしさんひょう)は、各勘定科目の期末残高(または集計時点の残高)を表示した試算表です。最も実用的で、実務で広く使われているのがこの残高試算表です。

残高試算表では、各勘定科目について借方残高または貸方残高のいずれかが表示されます。例えば、現金勘定であれば「借方残高:300,000円」、買掛金であれば「貸方残高:150,000円」といった形です。全ての勘定科目の借方残高合計と貸方残高合計が一致する必要があります。

残高試算表の活用場面: 月次決算や経営会議で最もよく使われるのが残高試算表です。資産・負債・資本の残高、収益・費用の累計額が一目で分かるため、経営状況の把握に最適です。金融機関への提出資料としても、通常は残高試算表が求められます。

合計残高試算表とは

合計残高試算表(ごうけいざんだかしさんひょう)は、合計試算表と残高試算表の両方の情報を併せ持った試算表です。各勘定科目について、借方合計・貸方合計・借方残高・貸方残高の全てが表示されます。

最も情報量が多く、記帳の正確性確認と財政状態の把握を同時に行えるメリットがありますが、表が複雑になるため、実務では必要に応じて使い分けられます。会計ソフトでは、これら3種類の試算表を自動生成できるものが多くなっています。

試算表の種類 表示内容 主な用途 実務での使用頻度
合計試算表 借方合計・貸方合計 取引量の把握、記帳の検証 低い(教育目的で使用)
残高試算表 借方残高・貸方残高 財政状態の把握、経営管理 非常に高い(最も一般的)
合計残高試算表 合計と残高の両方 詳細分析、監査対応 中程度(必要時のみ)

実務で最もよく使われる残高試算表

個人事業主やフリーランスが日常的に使うのは、ほぼ「残高試算表」です。理由は以下の通りです。

  • 現時点での資産・負債の状況が一目で分かる
  • 売上や経費の累計額を確認できる
  • 前月との比較がしやすい
  • 金融機関が求めるのも通常は残高試算表
  • 決算書(貸借対照表・損益計算書)の基礎データとなる

会計ソフトを使っていれば、通常は「試算表」といえば残高試算表を指します。本記事でも以降、特に断りがない限り「試算表」は残高試算表を意味するものとして解説します。

▲ 試算表の種類と基本的な見方を解説した動画

試算表の構造と勘定科目の分類

試算表を正しく読み解くためには、その構造と勘定科目の分類を理解する必要があります。試算表は大きく「資産」「負債」「資本(純資産)」「収益」「費用」の5つのグループに分かれています。

試算表における5つの勘定科目グループの関係図
試算表の勘定科目は5つのグループに分類される

資産グループの勘定科目

資産は、事業が保有する財産や権利のことです。試算表では借方(左側)に残高が表示されます。資産グループは、さらに「流動資産」と「固定資産」に分類されます。

流動資産の主な勘定科目:

  • 現金:手元にある現金
  • 普通預金・当座預金:銀行口座の預金
  • 売掛金:商品やサービスを提供したが、まだ代金を受け取っていないもの
  • 受取手形:将来の支払いを約束する手形
  • 棚卸資産(商品・製品・仕掛品など):販売目的で保有する在庫
  • 前払費用:先払いした費用(家賃など)

固定資産の主な勘定科目:

  • 建物・建物附属設備:事業用の建物
  • 車両運搬具:事業用の車両
  • 工具器具備品:パソコン、机、機械など
  • 土地:事業用の土地
  • ソフトウェア:業務用ソフトウェア
ポイント: 資産は「将来の経済的利益をもたらすもの」です。現金や預金のように直接的に価値があるものだけでなく、売掛金のように「将来お金を受け取る権利」も資産に含まれます。

負債グループの勘定科目

負債は、将来支払わなければならない義務のことです。試算表では貸方(右側)に残高が表示されます。「流動負債」と「固定負債」に分類されます。

流動負債の主な勘定科目:

  • 買掛金:商品や原材料を仕入れたが、まだ代金を支払っていないもの
  • 支払手形:将来の支払いを約束した手形
  • 未払金:商品以外の購入代金で未払いのもの
  • 未払費用:サービスを受けたが未払いの費用
  • 短期借入金:1年以内に返済予定の借入金
  • 預り金:従業員の源泉所得税など一時的に預かっているお金

固定負債の主な勘定科目:

  • 長期借入金:1年超の返済期間がある借入金
  • 退職給付引当金:将来の退職金支払いに備えた引当金

資本(純資産)グループの勘定科目

資本(純資産)は、資産から負債を差し引いた「正味の財産」です。個人事業主の場合は「元入金」という勘定科目が中心となります。試算表では貸方(右側)に残高が表示されます。

  • 元入金:事業開始時の元手や、前年度の利益の繰越額
  • 事業主借:事業資金を個人的な支出に使った場合(資本の減少要因)
  • 事業主貸:個人のお金を事業に入れた場合(資本の増加要因)
注意: 個人事業主の場合、「事業主借」と「事業主貸」は法人の会計にはない特有の勘定科目です。事業用と個人用の資金の出入りを記録するために使います。混同しやすいので注意が必要です。

収益グループの勘定科目

収益は、事業活動によって得られた収入です。試算表では貸方(右側)に残高が表示されます。

  • 売上高:本業から得た収入
  • 受取利息:預金利息など
  • 雑収入:本業以外の収入(補助金、助成金など)

収益が増えると利益が増えるため、最終的には資本(純資産)を増加させます。

費用グループの勘定科目

費用は、収益を得るために使った支出です。試算表では借方(左側)に残高が表示されます。

  • 売上原価(仕入高):販売した商品の仕入れコスト
  • 給料賃金:従業員への給与
  • 地代家賃:事務所や店舗の賃料
  • 水道光熱費:電気・ガス・水道料金
  • 通信費:電話代、インターネット料金など
  • 旅費交通費:出張費、交通費など
  • 消耗品費:文房具や少額の備品
  • 減価償却費:固定資産の価値減少分

費用が増えると利益が減るため、最終的には資本(純資産)を減少させます。フリーランスエンジニアの経費はどこまでOK?認められる経費一覧と節税術の記事でも詳しく解説していますが、適正な経費計上は節税の基本です。

グループ 試算表での位置 増加時の仕訳 主な性質
資産 借方(左側) 借方に記入 保有する財産・権利
負債 貸方(右側) 貸方に記入 支払う義務
資本(純資産) 貸方(右側) 貸方に記入 正味の財産
収益 貸方(右側) 貸方に記入 収入・利益の源泉
費用 借方(左側) 借方に記入 支出・利益の減少要因

試算表の見方:7つの重要チェックポイント

試算表を単に眺めるだけでは意味がありません。経営判断に活かすためには、どこをどう見るべきかを知る必要があります。ここでは、試算表を見る際の7つの重要チェックポイントを解説します。

試算表のチェックポイントを示した実例画面
試算表で確認すべき重要ポイントの例

1. 貸借平均の原則:借方と貸方が一致しているか

試算表の最も基本的なチェックポイントは、「借方合計」と「貸方合計」が一致しているかどうかです。複式簿記では必ず借方と貸方が同額になるため、一致していない場合は記帳ミスや転記ミスがあることを意味します。

注意: ただし、貸借が一致していても、全ての記帳が正しいとは限りません。例えば、借方と貸方を逆に記入する「逆仕訳」のミスや、金額が同額のまま勘定科目を間違えた場合は、貸借は一致したまま誤りが残ります。

会計ソフトを使っている場合、システムが自動的に貸借を一致させるため、このミスは起こりにくくなっています。手書きや表計算ソフトで試算表を作成している場合は、必ず確認しましょう。

2. 現金・預金残高:実際の残高と一致しているか

試算表に表示されている現金や預金の残高が、実際の現金有高や通帳残高と一致しているかを確認します。これは「現金実査」「預金照合」と呼ばれる重要な作業です。

確認方法:

  • 現金:実際に手元にある現金を数えて試算表の残高と照合
  • 預金:通帳やネットバンキングの残高と試算表の残高を照合
  • 差異がある場合は、記帳漏れや記帳ミスを疑い、原因を調査

現金や預金の不一致は、経営判断を誤らせる原因になります。月次で必ず確認する習慣をつけましょう。

3. 売掛金・買掛金:回収や支払いの状況

売掛金(得意先への売上代金の未回収分)と買掛金(仕入先への未払い分)の残高を確認します。これらは「資金繰り」に直結する重要な項目です。

チェックポイント:

  • 売掛金が増加傾向:売上は立っているが、現金回収が遅れている可能性
  • 長期未回収の売掛金:得意先別の内訳を確認し、回収遅延や貸倒れリスクをチェック
  • 買掛金の支払時期:資金繰り計画と照らし合わせ、支払い資金が確保できているか確認

売掛金が多いのに現金が少ない状態は「黒字倒産」のリスクがあります。早めの回収努力や支払いサイトの見直しを検討しましょう。

4. 売上高と売上原価:利益率の確認

試算表の損益部分(収益・費用)から、売上高と売上原価を確認し、粗利益(売上総利益)と粗利益率を計算します。

粗利益の計算式:

粗利益 = 売上高 - 売上原価

粗利益率 = (粗利益 ÷ 売上高)× 100

例えば、売上高が500万円、売上原価が300万円の場合、粗利益は200万円、粗利益率は40%となります。この粗利益率を前月や前年同期と比較することで、収益性の変化を把握できます。

業種 一般的な粗利益率の目安 特徴
小売業 20〜30% 商品仕入が主で原価率が高い
飲食業 60〜70% 材料費が相対的に低い
製造業 30〜50% 業種により大きく変動
IT・サービス業 50〜80% 人件費主体で原価率が低い
卸売業 10〜20% 薄利多売のビジネスモデル

5. 経費の内訳:異常値や前月比較

各経費科目の金額を確認し、前月や前年同月と比較して異常に高い項目や低い項目がないかチェックします。特に以下の点に注意しましょう。

  • 急激な増加:記帳ミスや重複計上の可能性
  • 通常と異なるパターン:例えば、毎月5万円程度の水道光熱費が突然20万円になっている場合など
  • ゼロまたは極端に少ない:記帳漏れの可能性
  • 固定費の変動:家賃など固定費が変動している場合、契約変更や記帳ミスの確認が必要
STEP: 経費分析の実践手順

  1. 試算表の当月の各経費科目の金額を確認
  2. 前月の試算表と並べて比較
  3. 前年同月の試算表とも比較(季節変動を考慮)
  4. 異常値を発見したら、該当する取引の詳細を総勘定元帳で確認
  5. 誤りがあれば修正仕訳を入力

6. 借入金残高:返済計画との整合性

借入金がある場合、試算表の借入金残高が返済計画通りに減少しているか確認します。金融機関からの借入れは、多くの場合「元金均等返済」や「元利均等返済」で毎月返済していくため、毎月一定額ずつ残高が減少するはずです。

残高が予定と異なる場合は、返済の記帳漏れや誤った勘定科目への計上(経費に計上してしまったなど)の可能性があります。

7. 当期利益(または損失)の確認

試算表から当期の利益(または損失)を計算します。残高試算表の場合、以下の式で算出できます。

当期純利益 = 収益合計 - 費用合計

または、

当期純利益 = (資産合計 - 負債合計)- 期首資本金

この利益額が予想や目標と比べてどうか、前年同期と比べてどうかを確認します。赤字(損失)の場合は、早急に原因分析と対策が必要です。

ポイント: 試算表から読み取った利益は「税引前利益」です。実際に納める税金は、この利益額に各種控除や調整を加えて計算されます。詳しくは青色申告65万円控除の要件とは?2024年最新版|e-Tax必須化の注意点の記事をご参照ください。

T勘定から試算表への流れ:仕訳から作成まで

試算表は突然できあがるものではなく、日々の仕訳帳への記録から始まり、総勘定元帳(T勘定)への転記を経て作成されます。ここでは、仕訳から試算表作成までの一連の流れを解説します。

仕訳帳からT勘定、試算表への流れを示した図解
仕訳から試算表作成までのプロセス

ステップ1:取引の発生と仕訳

まず、日々の取引が発生したら、それを「仕訳」として記録します。仕訳とは、取引を「借方」と「貸方」に分けて記録する複式簿記の基本です。

仕訳の例:

例えば、5万円の商品を現金で仕入れた場合:

借方 金額 貸方 金額
仕入高 50,000 現金 50,000

この仕訳を「仕訳帳」に記録します。仕訳帳は、取引を発生順に時系列で記録していく帳簿です。

STEP 1: 全ての取引を仕訳帳に記録する。日付、勘定科目、金額、摘要(取引内容のメモ)を正確に記入することが重要です。

ステップ2:総勘定元帳(T勘定)への転記

仕訳帳に記録された仕訳を、各勘定科目ごとに整理した帳簿が「総勘定元帳」です。一般的にT字型の表記で表されるため「T勘定」とも呼ばれます。

先ほどの仕訳例では、「仕入高」のT勘定の借方に50,000円、「現金」のT勘定の貸方に50,000円を転記します。

T勘定のイメージ(現金勘定の例):

現金
借方(増加)
前月繰越 200,000
売上 100,000
貸方(減少)
仕入 50,000
家賃 80,000
合計 300,000 合計 130,000
残高(借方):170,000

この転記作業により、各勘定科目の増減が一目で分かるようになります。会計ソフトを使っている場合は、仕訳を入力すれば自動的に総勘定元帳に転記されます。

ステップ3:合計・残高の計算

各T勘定について、期間内の借方合計・貸方合計を計算し、差額として残高を算出します。

  • 資産・費用の勘定:借方が多ければ借方残高、貸方が多ければ貸方残高
  • 負債・資本・収益の勘定:貸方が多ければ貸方残高、借方が多ければ借方残高

ただし、通常の取引では、資産・費用は借方残高、負債・資本・収益は貸方残高となるのが原則です。もし逆の残高が出た場合は、記帳ミスの可能性があります。

注意: 例えば、現金勘定が貸方残高(マイナス)になっている場合、実際には現金がマイナスということはあり得ないため、どこかで記帳ミスがある可能性が高いです。このような異常値は必ず確認しましょう。

ステップ4:試算表の作成

全ての勘定科目について合計と残高を計算したら、それらを一覧表にまとめます。これが試算表です。

残高試算表の例:

勘定科目 借方残高 貸方残高
現金 170,000
普通預金 1,500,000
売掛金 300,000
買掛金 200,000
元入金 1,000,000
売上高 2,500,000
仕入高 1,500,000
家賃 180,000
水道光熱費 50,000
合計 3,700,000 3,700,000

借方合計と貸方合計が一致していることを確認します。一致していれば、少なくとも「貸借平均の原則」は守られていることになります。

会計ソフトを使った効率的な作成方法

手作業での試算表作成は時間がかかり、ミスも発生しやすいため、現在ではほとんどの事業者が会計ソフトを使用しています。会計ソフトを使えば、以下のメリットがあります。

  • 自動転記:仕訳を入力すれば、自動的に総勘定元帳に転記される
  • 自動集計:試算表がリアルタイムで自動生成される
  • 貸借チェック:仕訳入力時に借方と貸方が一致しないとエラーが出る
  • 比較機能:前月比較や前年同月比較が簡単にできる
  • グラフ表示:視覚的に経営状況を把握できる

freee vs マネーフォワード vs 弥生|個人事業主向け会計ソフト徹底比較2024の記事で詳しく解説していますが、個人事業主向けの主要な会計ソフトには以下のようなものがあります。

ソフト名 特徴 試算表機能
freee 初心者向け、自動仕訳が豊富 リアルタイム生成、グラフ表示
マネーフォワード バランス型、連携機能が強力 詳細な試算表、比較分析機能
弥生会計 伝統的、経理経験者向け 3種類の試算表に対応、詳細

▲ 会計ソフトでの試算表作成手順を解説した動画