「毎月の売上は把握しているけど、利益がどれくらい出ているのか分からない」「資金繰りが厳しくなってから慌てて対策を考える」――こんな悩みを抱えている中小企業経営者の方は多いのではないでしょうか。年に一度の決算では経営判断のスピードに間に合わず、気づいたときには手遅れになることも少なくありません。そこで重要になるのが「月次決算」です。本記事では、中小企業が今日から始められる月次決算のやり方を、具体的な手順とともに徹底解説します。経営判断に活かせる管理会計の基本から、試算表の見方、効率化のポイントまで、実践的なノウハウをお伝えします。
月次決算とは?年次決算との違いと導入メリット
月次決算とは、毎月末を区切りとして会社の財務状況を把握するための経理業務です。年次決算が法律で義務付けられた正式な手続きであるのに対し、月次決算は任意で行う管理会計の一環となります。
月次決算と年次決算の主な違い
| 項目 | 月次決算 | 年次決算 |
|---|---|---|
| 法的義務 | 任意(管理目的) | 義務(会社法・税法) |
| 実施頻度 | 毎月 | 年1回 |
| 精度 | 概算で可(スピード重視) | 厳密(正確性重視) |
| 目的 | 経営判断・業績管理 | 税務申告・株主報告 |
| 締め切り | 翌月10日程度が目安 | 決算日から2ヶ月以内 |
中小企業が月次決算を導入する5つのメリット
- 早期に経営課題を発見できる:売上減少や経費増加などの異変に1ヶ月単位で気づけるため、迅速な対策が可能になります
- 資金繰りの予測精度が上がる:月次で現金の流れを把握することで、3ヶ月先、6ヶ月先の資金不足を予測できます
- 金融機関からの信頼度が向上:月次試算表を提出できる企業は経営管理がしっかりしていると評価され、融資審査で有利になります
- 予算管理と実績比較ができる:年間予算に対する進捗を毎月確認し、目標達成に向けた軌道修正ができます
- 年次決算の負担が軽減される:毎月コツコツと経理処理を進めることで、年度末の作業が大幅に楽になります
月次決算の基本的な手順とスケジュール
月次決算を効率的に進めるためには、標準的な手順を決めて毎月同じリズムで作業することが重要です。ここでは、中小企業が実践しやすい月次決算の7ステップをご紹介します。
月次決算の7ステップ(標準的なやり方)
銀行口座の残高と現金出納帳の残高を照合します。通帳記帳やインターネットバンキングで月末残高を確認し、会計システムの残高と一致しているかチェックします。
得意先別の売掛金残高、仕入先別の買掛金残高を確認します。請求書の発行漏れや計上漏れがないかをチェックし、必要に応じて追加入力を行います。
当月分のクレジットカード明細、交通費精算、経費精算書などを集計し、費用を計上します。領収書の整理と入力を完了させます。
在庫を持つ業種の場合、月末在庫の金額を算定します。毎月実地棚卸をするのが理想ですが、難しい場合は前月実績や仕入・売上から推定する方法もあります。
減価償却費の月割計上、前払費用・未払費用の計上、引当金の計上など、月次決算特有の調整仕訳を入力します。
月次試算表(損益計算書・貸借対照表)を出力し、異常な数値がないかチェックします。前月比較や予算比較を行い、大きな変動要因を確認します。
試算表と分析レポートを経営者に報告します。数字だけでなく、前月との変動要因や今後の見通しについても共有します。
月次決算スケジュールの例(翌月10日締めの場合)
| 日程 | 作業内容 | 担当者 |
|---|---|---|
| 月末日 | 現預金残高確認・通帳記帳 | 経理担当 |
| 翌月1〜3日 | 売掛金・買掛金確認、請求書発行 | 経理担当・営業 |
| 翌月3〜5日 | 経費精算・カード明細入力 | 経理担当・全社員 |
| 翌月5〜7日 | 決算整理仕訳・試算表作成 | 経理責任者 |
| 翌月8〜9日 | 数字チェック・分析レポート作成 | 経理責任者 |
| 翌月10日 | 経営者報告・経営会議 | 経営者・幹部 |
月次決算で押さえるべき決算整理仕訳
月次決算の精度を高めるためには、適切な決算整理仕訳が欠かせません。ただし、年次決算ほど厳密である必要
