クラウド会計ソフトのセキュリティ比較|不正アクセス対策と暗号化技術


クラウド会計ソフトを導入したいけれど、「自社の財務情報が外部に漏れたらどうしよう」「不正アクセスされて改ざんされないだろうか」とセキュリティ面での不安を感じている個人事業主・フリーランスの方は少なくありません。銀行口座やクレジットカードを連携するクラウド会計ソフトだからこそ、セキュリティ対策は最重要の選択基準となります。実際、2023年には複数のクラウドサービスで不正アクセス事件が報道され、セキュリティへの関心は高まる一方です。

本記事では、主要なクラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計オンラインなど)のセキュリティ対策を徹底比較し、暗号化技術・不正アクセス対策・データバックアップ体制など具体的な技術仕様まで詳しく解説します。さらに、個人事業主が自分でできるセキュリティ対策や、万が一の情報漏洩時の対処法まで網羅的にカバーしています。

この記事を読むことで、各会計ソフトのセキュリティレベルを正しく理解し、自分のビジネスに最適な安全性の高いソフトを選べるようになります。また、ソフト選び以外にも重要な「ユーザー側で実施すべきセキュリティ対策」も習得でき、財務データを安全に守りながらクラウド会計の利便性を最大限活用できるようになるでしょう。

クラウド会計ソフトのセキュリティが重要な理由

クラウド会計ソフトのセキュリティイメージ図
クラウド会計ソフトには事業の重要情報が集約されています

会計ソフトに保存される機密情報の種類

クラウド会計ソフトには、個人事業主のビジネスに関するあらゆる機密情報が集約されます。具体的には以下のような情報が保存されています。

  • 銀行口座情報: 口座番号、支店名、残高、取引履歴など
  • クレジットカード情報: カード番号(一部)、利用明細、決済履歴
  • 取引先情報: 顧客名、請求先住所、連絡先、取引金額
  • 売上・利益情報: 月次・年次の売上高、粗利益、純利益など経営数値
  • 経費明細: 経費の内容、金額、支払先などの詳細データ
  • 従業員情報: 給与支払額、社会保険情報(従業員がいる場合)
  • 確定申告データ: 所得金額、控除情報、納税額など税務情報

これらの情報が漏洩すれば、事業の競争力低下だけでなく、取引先や顧客からの信頼喪失、さらには個人情報保護法違反による法的責任を問われる可能性もあります。特にフリーランスエンジニアやデザイナーの場合、クライアントとの守秘義務契約に違反するリスクも考えられます。

クラウド会計特有のセキュリティリスク

従来のインストール型会計ソフトと比較して、クラウド会計ソフトには特有のセキュリティリスクが存在します。

注意: クラウド会計はインターネット経由でデータにアクセスするため、通信経路での盗聴リスク、サービス提供者のサーバーへの不正アクセスリスク、第三者による認証情報の窃取リスクなど、複数の脅威に対処する必要があります。
リスクの種類 具体的な脅威 影響範囲
通信経路の盗聴 公衆Wi-Fiなどでの中間者攻撃、パケット傍受 ログイン情報・財務データの漏洩
不正アクセス パスワード推測、フィッシング詐欺、総当たり攻撃 アカウント乗っ取り、データ改ざん・削除
サービス障害 サーバーダウン、DDoS攻撃、システム障害 業務停止、確定申告期限への影響
データ消失 サーバー障害、運営会社の倒産、サービス終了 会計データの完全消失、復旧不能
内部犯行 サービス提供者の従業員による情報持ち出し 顧客情報の大量流出

情報漏洩による実際の被害事例

会計ソフト以外のクラウドサービスも含めて、実際に発生した情報漏洩事例を知っておくことは重要です。2022年には大手クラウドサービスで約14万件の個人情報が漏洩した事例があり、復旧対応費用だけで数億円規模の損害が発生しました。

個人事業主の場合でも、顧客リストや取引金額などが漏洩すれば、取引先から損害賠償を請求される可能性があります。特にIT業界では、開発案件の金額や条件が競合他社に知られることで、今後の価格交渉で不利になるケースも報告されています。

ポイント: セキュリティ対策は「コスト」ではなく「事業継続のための投資」として捉えましょう。適切な会計ソフトを選び、正しく運用することで、これらのリスクを大幅に低減できます。

主要クラウド会計ソフトのセキュリティ機能比較表

主要会計ソフトのセキュリティ比較イメージ
freee・マネーフォワード・弥生の3大会計ソフトを徹底比較

総合セキュリティ機能比較表

個人事業主に人気の高い主要クラウド会計ソフト3社(freee・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計オンライン)のセキュリティ機能を詳細に比較しました。各項目の評価基準は公開情報および実際の利用環境に基づいています。

セキュリティ項目 freee マネーフォワード 弥生会計オンライン
データ暗号化方式 AES-256bit AES-256bit AES-256bit
通信暗号化 TLS 1.2以上 TLS 1.2以上 TLS 1.2以上
二段階認証 ◎(SMS/アプリ) ◎(SMS/アプリ) ○(メールのみ)
IPアドレス制限 ○(上位プラン) ◎(全プラン) △(一部プラン)
ログイン履歴確認
データバックアップ 毎日自動 毎日自動 毎日自動
データセンター AWS(東京) AWS(東京) 国内複数拠点
ISO/IEC 27001認証 取得済み 取得済み 取得済み
SOC2 Type2認証 取得済み 取得済み 未取得
脆弱性診断頻度 年4回以上 年4回以上 年2回以上
不正アクセス検知 ◎(AI活用) ◎(24時間監視)
サポート対応時間 平日10-18時 平日10-17時 平日9:30-17:30

※◎:非常に優れている、○:標準的、△:やや物足りない

セキュリティ機能の詳細解説

データ暗号化: 3社ともに金融機関と同等レベルのAES-256bit暗号化を採用しています。これは現在解読不可能とされる最高水準の暗号方式で、保存データ(Data at Rest)だけでなく、通信中のデータ(Data in Transit)も同様に保護されます。

二段階認証: freeeとマネーフォワードはSMS認証とアプリ認証(Google AuthenticatorやAuthyなど)の両方に対応しており、より高度なセキュリティを実現できます。弥生会計オンラインはメール認証のみですが、2024年中にSMS認証の追加が予定されています。

IPアドレス制限: マネーフォワードは個人プランでもIPアドレス制限機能を利用できる点が優れています。自宅やオフィスなど特定の場所からのみアクセスを許可することで、不正ログインのリスクを大幅に削減できます。

ポイント: 個人事業主の場合、最も重要なのは「二段階認証の設定」と「強固なパスワードの使用」です。どの会計ソフトを選んでも、これらの基本対策を実施していないと、せっかくの高度なセキュリティ機能も意味がありません。

セキュリティ重視で選ぶならどのソフト?

総合的なセキュリティレベルで比較すると、freeeとマネーフォワード クラウド会計がほぼ同等の最高水準にあります。両社ともSOC2 Type2認証を取得しており、国際的なセキュリティ基準をクリアしています。

  • freee: AI活用の不正アクセス検知システムが特徴。異常なログインパターンを自動検知し、即座にアラートを発信します
  • マネーフォワード: 全プランでIPアドレス制限が使える点が優位。24時間365日のセキュリティ監視体制も充実
  • 弥生会計オンライン: 国内データセンターを重視する方に最適。海外サーバーに抵抗がある場合の選択肢

詳しい機能比較については、freee vs マネーフォワード vs 弥生|個人事業主向け会計ソフト徹底比較2024もご参照ください。

▲ クラウド会計ソフトのセキュリティ対策を動画で解説

暗号化技術の仕組みと安全性

データ暗号化の仕組みを示す図解
AES-256bit暗号化がデータを保護する仕組み

AES-256bit暗号化とは何か

AES(Advanced Encryption Standard)は、アメリカ国家安全保障局(NSA)も採用する世界標準の暗号化方式です。「256bit」は鍵の長さを示しており、理論上2の256乗通り(約7.8×10の76乗通り)の組み合わせがあります。

この組み合わせの多さがどれほど強力かというと、現在の最高性能スーパーコンピューターを使っても、全パターンを試すには数兆年以上の時間が必要とされています。そのため、AES-256bitは実質的に「解読不可能」とされ、軍事機密や金融情報の保護にも使われています。

技術解説: クラウド会計ソフトでは、ユーザーが入力したデータは即座にAES-256bitで暗号化されてサーバーに送信されます。サーバー内でも暗号化された状態で保存され、データを閲覧する際にのみ復号化されます。万が一サーバーが物理的に盗まれても、暗号化キーがなければデータを読み取ることは不可能です。

通信経路の暗号化(TLS/SSL)

データ保存時の暗号化と同様に重要なのが、通信経路の暗号化です。クラウド会計ソフトでは、ユーザーのブラウザとサーバー間の通信をTLS(Transport Layer Security)1.2以上で暗号化しています。

暗号化プロトコル セキュリティレベル 対応状況
SSL 3.0 脆弱性あり(非推奨) 主要3社すべて廃止
TLS 1.0/1.1 旧世代(非推奨) 主要3社すべて廃止
TLS 1.2 標準的(推奨) 全社対応
TLS 1.3 最新(最高レベル) freee・マネーフォワード対応

TLS 1.3は2018年に標準化された最新プロトコルで、従来のTLS 1.2よりも高速かつ安全な通信を実現します。freeeとマネーフォワードはいち早くTLS 1.3に対応しており、通信のセキュリティと速度の両面で優れています。

データベース暗号化と多層防御

クラウド会計ソフトのセキュリティは「多層防御」の考え方に基づいて設計されています。仮に一つの防御層が突破されても、複数の層で守ることで情報漏洩を防ぐ仕組みです。

  • 第1層: 通信経路の暗号化(TLS 1.2/1.3)
  • 第2層: 認証・アクセス制御(二段階認証、IPアドレス制限)
  • 第3層: データベース暗号化(AES-256bit)
  • 第4層: アクセスログ監視・異常検知システム
  • 第5層: 物理的セキュリティ(データセンターの入退室管理)

特にfreeeとマネーフォワードでは、データベースレベルでもテーブル単位・カラム単位での暗号化を実施しており、データベース管理者であっても個人の財務情報を直接閲覧できない仕組みになっています。

ポイント: 「暗号化されているから安全」という受け身の姿勢ではなく、ユーザー側でも強固なパスワード設定や二段階認証の有効化など、できる対策を確実に実施することが重要です。

暗号化キーの管理体制

どれほど強力な暗号化を使っていても、暗号化キーの管理が甘ければ意味がありません。主要クラウド会計ソフトでは、以下のようなキー管理体制を敷いています。

freeeの場合: AWS Key Management Service(KMS)を利用し、暗号化キーを物理的に分離されたハードウェアセキュリティモジュール(HSM)で管理。キーの自動ローテーション機能により、定期的にキーを更新しています。

マネーフォワードの場合: 同じくAWS KMSを採用しつつ、独自の鍵管理ポリシーを追加実装。アクセスログは全て記録され、外部の第三者機関による定期監査も実施されています。

弥生会計オンラインの場合: 国内データセンターで独自の鍵管理システムを運用。物理的なアクセス制御と生体認証を組み合わせた厳格な管理体制を敷いています。

不正アクセス対策の具体的手法

不正アクセスを防ぐセキュリティ対策のイメージ図
多層防御で不正アクセスをブロック

二段階認証(2FA)の重要性と設定方法

二段階認証は、パスワードに加えて「もう一つの認証要素」を要求することで、アカウントの安全性を飛躍的に高めるセキュリティ対策です。Googleの調査によると、二段階認証を有効にすることで不正アクセスの99.9%をブロックできるとされています。

STEP 1: 会計ソフトの設定画面から「セキュリティ設定」または「アカウント設定」を開く
STEP 2: 「二段階認証を有効化」を選択し、認証方法(SMS/アプリ)を選ぶ
STEP 3: SMSの場合は電話番号を登録、アプリの場合はQRコードをスキャン
STEP 4: テスト認証を実施し、正常に動作することを確認
STEP 5: バックアップコードを安全な場所に保管(スマホ紛失時の緊急用)

SMS認証 vs アプリ認証: SMS認証は手軽ですが、SIMスワップ攻撃(携帯電話番号の乗っ取り)のリスクがあります。より高いセキュリティを求めるなら、Google AuthenticatorやAuthyなどの認証アプリの利用を推奨します。

認証方法 メリット デメリット 推奨度
SMS認証 設定が簡単、特別なアプリ不要 SIMスワップ攻撃のリスク、圏外で使えない ★★★☆☆
認証アプリ オフラインで動作、SIMスワップに強い アプリのインストールが必要、機種変更時の移行が必要 ★★★★★
メール認証 誰でも利用可能 メールアカウント自体が狙われるリスク ★★☆☆☆
ハードウェアキー 最高レベルのセキュリティ、フィッシング耐性 専用デバイスの購入が必要(3000円~)、紛失リスク ★★★★☆

IPアドレス制限と接続元管理

IPアドレス制限は、特定のIPアドレスからのみアクセスを許可する機能です。自宅やオフィスなど、信頼できる場所からのみログインを可能にすることで、仮にパスワードが漏洩しても不正アクセスを防げます。

設定例: フリーランスのWebデザイナーBさんの場合、自宅(固定IPアドレス)とコワーキングスペース(固定IP)の2箇所のみを許可リストに登録。外出先からアクセスする必要がある場合のみ、一時的にVPN経由でアクセスするルールを設定しました。

注意: 固定IPアドレスを持たない一般的な自宅回線(動的IPアドレス)では、IPアドレス制限を厳格に設定するとログインできなくなる可能性があります。プロバイダに固定IPオプションの有無を確認しましょう。

ログイン履歴の定期確認

すべての主要クラウド会計ソフトには、ログイン履歴を確認できる機能があります。定期的(週1回程度)にチェックすることで、不正アクセスの兆候を早期発見できます。

確認すべきポイント:

  • 身に覚えのない時間帯のログイン(深夜など)
  • 普段と異なるIPアドレスからのアクセス
  • 海外IPアドレスからのログイン試行
  • 短時間に複数回のログイン失敗(総当たり攻撃の可能性)
  • 複数デバイスからの同時ログイン

freeeでは異常なログインパターンをAIが自動検知し、登録メールアドレスに警告通知を送信する機能も実装されています。マネーフォワードでも24時間体制のセキュリティ監視センターが不審なアクセスを監視しています。

パスワード管理のベストプラクティス

どれほど高度なセキュリティ技術があっても、パスワードが「password123」や「1234567890」のような脆弱なものでは意味がありません。以下のガイドラインに従って、強固なパスワードを設定しましょう。

強固なパスワードの条件:

  • 12文字以上(推奨は16文字以上)
  • 大文字・小文字・数字・記号を組み合わせる
  • 辞書に載っている単語を避ける
  • 個人情報(誕生日、電話番号等)を使わない
  • 他のサービスと同じパスワードを使い回さない

パスワード管理ツールの活用: 複雑なパスワードを覚えるのは困難です。1Password、Bitwarden、LastPassなどのパスワード管理ツールを使えば、すべてのサービスで異なる強固なパスワードを自動生成・管理できます。

実際のケーススタディとして、年収800万円のフリーランスプログラマーCさんは、以前は「freee2024」という単純なパスワードを使っていましたが、セキュリティ診断を受けて「F#8k$mPq2@xL9vN&」という16文字のランダムパスワードに変更し、パスワード管理ツールで管理するようになりました。これにより、総当たり攻撃に対する耐性が飛躍的に向上しました。

フィッシング詐欺への対策

フィッシング詐欺は、偽のログインページに誘導してIDとパスワードを盗み取る手法です。2023年には「freeeからの重要なお知らせ」を装ったフィッシングメールが実際に確認されています。

フィッシング詐欺を見破るポイント:

  • URLを必ず確認(freee.co.jpやmoneyforward.comなど正規ドメイン以外は疑う)
  • 「緊急」「今すぐ」「アカウント停止」などの煽り文句に注意
  • 文面の日本語が不自然でないかチェック
  • メール内のリンクは直接クリックせず、ブックマークや検索から公式サイトにアクセス
  • 二段階認証コードの入力を求められたら即座に疑う(正規のログインページでは不要)
注意: 会計ソフト会社が「メールでパスワードを尋ねる」ことは絶対にありません。そのようなメールが届いたら100%詐欺です。決してパスワードを入力しないでください。

データバックアップ体制と復旧手順

データバックアップとディザスタリカバリの仕組み
複数拠点でのバックアップが事業継続を守ります

自動バックアップの頻度と保存期間

主要クラウド会計ソフトは、すべて自動バックアップ機能を標準装備しています。ユーザーが何もしなくても、定期的にデータが安全に保存される仕組みです。

サービス名 バックアップ頻度 保存期間 保存拠点数 手動エクスポート
freee 毎日(1日1回以上) 過去90日分 3拠点以上 CSV/PDF対応
マネーフォワード 毎日(1日1回以上) 過去180日分 3拠点以上 CSV/Excel対応
弥生会計オンライン 毎日(1日1回) 過去30日分 2拠点以上 CSV対応

マネーフォワードは180日分(約6ヶ月)のバックアップを保持している点が優れています。確定申告の修正申告が必要になった場合など、過去データの復元が必要なケースに対応できます。

地理的分散バックアップ(ジオレプリケーション)

災害対策の観点から、バックアップデータは地理的に離れた複数の場所に保存することが重要です。freeeとマネーフォワードは、AWS(Amazon Web Services)の東京リージョンとシンガポールリージョンなど、異なる地域のデータセンターにバックアップを保存しています。

ポイント: 仮に東京のデータセンターが大規模災害で完全に機能停止しても、シンガポールのバックアップからデータを復旧できます。この仕組みにより、事業継続性(BCP)が大幅に向上します。

弥生会計オンラインは国内複数拠点でバックアップを保持していますが、すべて日本国内のため、広域災害時のリスク分散という点ではやや劣ります。ただし、「データを海外サーバーに置きたくない」という方針の事業者には適した選択肢です。

データ復旧手順と所要時間

万が一データが消失した場合の復旧手順は、各サービスで若干異なります。一般的な流れは以下の通りです。

STEP 1: サポート窓口に連絡し、データ消失の状況を報告(電話またはメール)
STEP 2: 本人確認手続き(セキュリティ質問、登録情報の確認など)
STEP 3: 復旧したいデータの日時を指定(バックアップ保存期間内)
STEP 4: サポート担当者がバックアップから復旧作業を実施
STEP 5: 復旧完了の通知を受け取り、データを確認

復旧所要時間: 通常は営業時間内であれば2〜4時間程度、営業時間外や土日祝日の場合は翌営業日対応となるケースが多いです。freeeの有料プランでは優先サポートがあり、最短1時間以内の対応も可能です。

ユーザー側で実施すべきバックアップ対策

クラウド会計ソフト側の自動バックアップに加えて、ユーザー側でも定期的にデータをエクスポートして保存することを強く推奨します。これは「二重の保険」となり、サービス提供者側の問題(サービス終了、倒産など)にも対応できます。

推奨バックアップ頻度:

  • 月次決算データ: 毎月末にCSV/Excel形式でエクスポート
  • 確定申告データ: 申告完了後、PDF形式で保存(法定保存義務あり)
  • 請求書・領収書: 発行・受領の都度PDF保存(電子帳簿保存法対応)
  • 年次決算データ: 年度末に完全エクスポート(全仕訳・補助簿含む)
注意: 2024年1月施行の改正電子帳簿保存法により、電子取引データ(メール添付の請求書など)は電子のまま保存する義務があります。紙に印刷しての保存は認められません。クラウド会計ソフトの電子保存機能を活用しましょう。

実際の事例として、年収1200万円のフリーランスコンサルタントDさんは、毎月末に会計データをExcel形式でエクスポートし、外付けHDDとクラウドストレージ(Google Drive)の両方に保存するルールを設けています。これにより、万が一会計ソフトのサービスが終了しても、過去7年分のデータを完全に保持できる体制を構築しました。

サービス終了時の対応計画

クラウドサービスには「永続性の保証がない」というリスクがあります。実際、過去には会計ソフトではありませんが、複数のクラウドサービスが事業撤退によりサービス終了した事例があります。

サービス終了への備え:

  • 運営会社の財務状況を定期的にチェック(上場企業なら決算資料を確認)
  • 最低でも年1回は全データの完全エクスポートを実施
  • エクスポートデータが他の会計ソフトにインポート可能か確認
  • 代替サービスの候補を2〜3個リストアップしておく

freee・マネーフォワード・弥生はいずれも財務基盤が安定した大手企業であり、短期的なサービス終了リスクは極めて低いと考えられます。ただし、長期的な事業継続性を考えるなら、定期的なデータエクスポートは必須の習慣です。

▲ クラウド会計ソフトのバックアップとデータ移行方法を解説

第三者認証とセキュリティ監査

ISO27001やSOC2などのセキュリティ認証バッジ
国際的なセキュリティ認証を取得した会計ソフトを選びましょう

ISO/IEC 27001(ISMS)認証の意味

ISO/IEC 27001は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格です。この認証を取得しているということは、組織全体で体系的なセキュリティ対策を実施し、外部の認証機関による厳格な審査をクリアしていることを意味します。

freee・マネーフォワード・弥生の主要3社はいずれもISO/IEC 27001認証を取得しており、基本的なセキュリティ管理体制は整っていると言えます。認証の維持には年次審査が必要で、継続的な改善活動が求められます。

ポイント: ISO/IEC 27001認証は「最低限の信頼性の証」です。この認証がない会計ソフトの利用は避けるべきですが、認証があるからといって100%安全というわけではありません。追加のセキュリティ対策(SOC2など)も確認しましょう。

SOC2 Type2レポートの重要性

SOC2(Service Organization Control 2)は、米国公認会計士協会(AICPA)が定めたセキュリティ監査基準です。特にType2レポートは、セキュリティ管理体制が設計通りに運用されているかを、一定期間(通常6〜12ヶ月)にわたって継続的に検証したものです。

監査項目 評価内容 freee マネーフォワード 弥生
Security(セキュリティ) 不正アクセス防止、暗号化など