インボイス制度が始まり、請求書の保存要件が厳格化されたことで「経理処理の仕訳方法が今までと何が違うの?」「会計ソフトの設定を変更する必要はあるの?」と戸惑っている経理担当者や個人事業主の方は多いのではないでしょうか。適格請求書(インボイス)か否かで消費税の仕入税額控除の可否が変わるため、経理処理も対応が必要になります。
この記事では、インボイス制度における経理処理の変更点を、具体的な仕訳例とともに分かりやすく解説します。適格請求書発行事業者からの仕入れと免税事業者からの仕入れの処理方法の違い、経過措置期間中の80%・50%控除の会計処理、主要会計ソフトの設定方法まで網羅的に紹介します。
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インボイス制度で経理処理が変わる理由
インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、令和5年10月1日から開始された消費税の仕入税額控除に関する新しい制度です。この制度導入により、経理処理における最大の変更点は「誰から仕入れたか」によって消費税の控除可否が変わるという点にあります。
区分記載請求書方式との違い
令和5年9月30日までの区分記載請求書等保存方式では、請求書に一定の事項が記載されていれば、売手が適格請求書発行事業者であるか否かに関わらず仕入税額控除を受けることができました。しかし、インボイス制度開始後は以下のように変わりました。
| 項目 | 区分記載請求書方式 (〜R5.9.30) |
インボイス制度 (R5.10.1〜) |
|---|---|---|
| 仕入税額控除の要件 | 区分記載請求書の保存 | 適格請求書の保存 |
| 免税事業者からの仕入れ | 全額控除可能 | 原則控除不可(経過措置あり) |
| 登録番号の記載 | 不要 | 必須(Tから始まる13桁) |
| 経理処理での区分 | 軽減税率・標準税率の区分のみ | 適格請求書の有無でも区分が必要 |
経理担当者が確認すべき3つのポイント
インボイス制度開始後、経理処理で特に注意すべきポイントは以下の3つです。
- 請求書に登録番号(Tから始まる13桁)の記載があるかを確認し、適格請求書か否かを判別する
- 適格請求書でない場合、経過措置による控除割合(80%または50%)を正しく適用する
- 会計ソフトで適格請求書の有無を区分して入力し、消費税申告時に正確な税額計算ができるようにする
適格請求書あり・なしの仕訳例【具体的なケース別】
実際の経理処理では、適格請求書の有無によって仕訳方法を変える必要があります。ここでは具体的なケース別に仕訳例を紹介します。
ケース1:適格請求書発行事業者からの仕入れ(原則処理)
適格請求書の交付を受けた場合は、従来通り消費税の全額控除が可能です。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入高 仮払消費税等 |
100,000円 10,000円 |
買掛金 | 110,000円 |
この場合、仮払消費税等10,000円は全額仕入税額控除の対象となります。従来の区分記載請求書方式と処理方法は変わりません。
ケース2:免税事業者からの仕入れ(適格請求書なし・原則処理)
令和5年10月1日以降、適格請求書の交付を受けられない免税事業者からの仕入れは、原則として仕入税額控除ができません。
税込処理の場合(推奨):
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入高 | 110,000円 | 買掛金 | 110,000円 |
適格請求書がない場合は、消費税部分を区分せず税込金額で処理する方法が実務上シンプルです。仮払消費税等の計上はありません。
ケース3:経過措置期間中の処理(80%控除)
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの期間は、免税事業者からの仕入れでも消費税相当額の80%を仕入税額控除できる経過措置があります。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入高 仮払消費税等(80%控除) |
102,000円 8,000円 |
買掛金 | 110,000円 |
消費税相当額10,000円のうち、80%の8,000円を仮払消費税等として計上し、残りの2,000円は仕入高に含めます(控除対象外消費税)。
▲ インボイス制度の仕訳処理と経過措置の具体的な解説動画
ケース4:経過措置期間中の処理(50%控除)
令和8年10月1日から令和11年9月30日までの期間は、控除割合が50%に引き下げられます。
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