車を経費にする方法|減価償却・ローン・リース・カーシェアの会計処理比較


# 車を経費にする方法|減価償却・ローン・リース・カーシェアの会計処理比較

「車を事業用に購入したいけれど、経費にできるのか分からない」「ローンとリースではどちらが税務上有利なのか」と悩んでいる個人事業主・フリーランスの方は多いのではないでしょうか。車の購入は大きな支出ですが、正しく経費処理すれば大きな節税効果が期待できます。

本記事では、車を経費にするための具体的な方法を、購入・ローン・リース・カーシェアなど取得形態別に徹底解説します。減価償却の計算方法、按分比率の決め方、仕訳の実例、税務調査で指摘されないポイントまで、実務で必要な知識を網羅的にお伝えします。

年収500万円のフリーランスが200万円の車を購入した場合の節税効果シミュレーション、リースと購入の10年間トータルコスト比較など、具体的な数字を使った事例も豊富に掲載。この記事を読めば、あなたの事業に最適な車の経費化方法が見つかり、確定申告で自信を持って処理できるようになります。

会計屋.comが個人事業主の皆様に向けて、税理士監修のもと最新の税制に基づいた正確な情報をお届けします。

個人事業主が車を経費にするための帳簿と電卓
車の経費化は正しい知識があれば大きな節税効果を生む

個人事業主が車を経費にできる条件とは

個人事業主が車を経費にするためには、まず「事業に使用している」という事実が必要です。ただし、多くの個人事業主は事業とプライベートの両方で車を使用しているため、全額を経費にすることは通常できません。

経費として認められる基本条件

車を経費として計上するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 事業との関連性:取引先訪問、商品配送、現場移動など、事業遂行のために車を使用していること
  • 記録の保存:走行記録簿(運転日誌)や領収書などで事業使用の実態を証明できること
  • 合理的な按分:事業使用とプライベート使用を合理的な基準で区分していること
ポイント: 税務調査では「走行記録簿」の有無が重要視されます。最低でも1~3ヶ月分の詳細な記録を残しておくことで、按分比率の合理性を証明できます。

事業専用割合(按分比率)の決め方

車を事業とプライベートで併用している場合、事業使用割合(按分比率)を算出する必要があります。一般的には以下の方法が用いられます。

  1. 走行距離による按分:年間走行距離のうち事業使用分の距離で計算(最も一般的で合理的)
  2. 使用日数による按分:年間日数のうち事業に使用した日数で計算
  3. 使用時間による按分:1日の使用時間のうち事業時間で計算
按分方法 計算例 適用ケース
走行距離按分 年間15,000km中、事業使用10,000km = 67% 営業や配送で頻繁に使用
使用日数按分 年間365日中、事業使用200日 = 55% 週3-4日の事業使用
使用時間按分 1日12時間中、事業使用8時間 = 67% 1日の中で事業・私用が混在

税務署が認める按分比率の目安

按分比率に法律上の明確な基準はありませんが、税務実務上は以下が目安とされています。

  • 50%未満:客観的な記録があれば問題なく認められる
  • 50~80%:走行記録簿などの詳細な記録が望ましい
  • 80%以上:相当詳細な記録と合理的な説明が必要
  • 100%:事業専用車両であることを明確に証明できる場合のみ
注意: 按分比率を高く設定しすぎると税務調査の対象になりやすくなります。実態に即した合理的な比率を設定し、必ず根拠資料を保管しましょう。
車の走行記録簿のサンプル
走行記録簿は按分比率の根拠として重要な資料

経費にできる車関連費用の種類

車を経費にする場合、車両本体だけでなく、以下の関連費用も按分比率に応じて経費計上できます。

  • 車両本体価格:減価償却費として計上(詳細は後述)
  • ガソリン代・軽油代:燃料費として全額記録し按分
  • 駐車場代:月極駐車場は按分、事業用の都度駐車は全額可
  • 自動車保険料:任意保険・自賠責保険ともに按分対象
  • 車検費用:法定費用・整備費用ともに按分対象
  • 修理費・メンテナンス費:オイル交換、タイヤ交換なども按分対象
  • 高速道路料金・有料道路料金:事業使用分は全額経費可
  • 自動車税・重量税:按分して経費計上可能
  • 洗車代:事業に必要な範囲で按分可能

ガソリン代や高速道路料金など、個別に事業使用とプライベート使用を区分できる費用は、実際の使用実態に基づいて計上することもできます。詳しくはフリーランスエンジニアの経費はどこまでOK?認められる経費一覧と節税術もご参照ください。

車購入時の減価償却の仕組みと計算方法

車を購入した場合、原則として購入金額を一度に経費にすることはできません。「減価償却」という方法で、耐用年数にわたって分割して経費計上します。

減価償却とは何か

減価償却とは、固定資産の取得価額を使用可能期間(耐用年数)にわたって費用配分する会計処理です。車のように長期間使用する資産は、購入年度に全額を経費にするのではなく、使用する期間に応じて費用化していきます。

ポイント: 減価償却は税法で定められた「強制」のルールです。任意で一括経費にすることはできません(ただし、少額資産の特例があります)。

車の法定耐用年数

税法上、車の耐用年数は車種や用途によって以下のように定められています(令和5年度時点)。

車種 法定耐用年数 備考
普通自動車(一般用) 6年 乗用車(定員10人以下)
普通自動車(貨物用) 5年 トラック、バンなど
軽自動車(一般用) 4年 軽乗用車
軽自動車(貨物用) 3年 軽トラック、軽バンなど
二輪車(排気量125cc超) 3年 事業用バイク
中古車 計算式あり 後述の計算式で算出

減価償却の計算方法:定額法と定率法

個人事業主の場合、原則として「定額法」で減価償却を行います。税務署に届出を提出すれば「定率法」も選択できますが、ここでは一般的な定額法を中心に解説します。

定額法による計算式

定額法では、毎年同じ金額を減価償却費として計上します。

減価償却費 = 取得価額 × 定額法償却率

※事業使用割合が100%でない場合は、さらに按分比率を乗じます

耐用年数 定額法償却率 該当する車両
3年 0.334 軽貨物、二輪車
4年 0.250 軽乗用車
5年 0.200 普通貨物
6年 0.167 普通乗用車
減価償却費の計算イメージ図
定額法では毎年均等に減価償却費を計上する

具体的な計算例:新車200万円の普通乗用車を購入

ケース:年収500万円のフリーランスWebデザイナーAさんが、事業用に200万円の普通乗用車(新車)を購入。事業使用割合は60%。

計算:

  • 取得価額:2,000,000円
  • 耐用年数:6年(普通乗用車)
  • 定額法償却率:0.167
  • 年間減価償却費:2,000,000円 × 0.167 = 334,000円
  • 経費計上額:334,000円 × 60% = 200,400円/年

つまり、Aさんは購入初年度から6年間にわたって、毎年約20万円を減価償却費として経費計上できます。

中古車の耐用年数計算

中古車を購入した場合、新車の法定耐用年数ではなく、以下の計算式で耐用年数を算出します。

【法定耐用年数を超えている場合】

耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2(端数切り捨て、最低2年)

【法定耐用年数の一部を経過している場合】

耐用年数 = (法定耐用年数 - 経過年数) + 経過年数 × 0.2(端数切り捨て、最低2年)

中古車の計算例

例1:新車登録から7年経過した普通乗用車(法定耐用年数6年)を購入

耐用年数 = 6年 × 0.2 = 1.2年 → 2年(最低2年のため)

例2:新車登録から3年経過した普通乗用車を購入

耐用年数 = (6年 – 3年) + 3年 × 0.2 = 3.6年 → 3年

中古車は耐用年数が短くなるため、より早く減価償却を進められ、短期間での節税効果が高まります。特に4年落ち以上の中古車は2年償却となるため、個人事業主に人気があります。

▲ 個人事業主の車購入と減価償却の基礎を動画で解説

少額減価償却資産の特例(青色申告者限定)

青色申告を行っている個人事業主には、非常に有利な特例があります。

少額減価償却資産の特例: 取得価額が30万円未満の資産は、年間300万円まで一括で経費計上できる(令和6年3月31日まで延長)

この特例を活用すれば、軽自動車や中古車など比較的低価格の車両を購入初年度に全額経費化できます。ただし、以下の条件があります。

  • 青色申告を行っていること
  • 取得価額が30万円未満であること(1台あたり)
  • 年間合計300万円が上限(事業全体での合計)
  • 確定申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付すること

青色申告の要件について詳しくは、青色申告65万円控除の要件とは?2024年最新版|e-Tax必須化の注意点をご確認ください。

年度途中での購入と月割計算

車を年度途中で購入した場合、減価償却費は月割計算します。

月割計算式:

初年度減価償却費 = 年間償却額 × 使用月数 / 12ヶ月

※1ヶ月未満の端数は1ヶ月とする

例えば、9月15日に購入した場合、9月から12月までの4ヶ月分を計上します。

減価償却費の月割計算カレンダー
年度途中購入時は使用月数に応じて月割計算する

車購入時の仕訳と帳簿への記載方法

車を購入した際の会計処理は、支払方法(現金・ローン)や購入形態によって異なります。ここでは実務で使える具体的な仕訳例を紹介します。

現金一括購入の場合の仕訳

200万円の普通乗用車を現金で一括購入した場合の仕訳例です。

【購入時】令和6年4月1日

(借方)車両運搬具 2,000,000円 / (貸方)普通預金 2,000,000円

【決算時】令和6年12月31日

(借方)減価償却費 250,500円 / (貸方)減価償却累計額 250,500円

※計算:2,000,000円 × 0.167 × 9ヶ月/12ヶ月 × 60%(按分比率)= 250,500円

自動車ローン(オートローン)利用時の仕訳

ローンで購入した場合、車両本体は資産として計上し、ローン残高は負債として処理します。

【購入時】頭金30万円、ローン170万円

(借方)車両運搬具 2,000,000円 / (貸方)普通預金 300,000円
                                / (貸方)長期借入金 1,700,000円

【毎月の返済時】元本3万円、利息5千円の場合

(借方)長期借入金 30,000円 / (貸方)普通預金 35,000円
(借方)支払利息 5,000円 /

※事業使用割合60%の場合、支払利息も5,000円 × 60% = 3,000円を経費計上

ポイント: ローンの利息部分は「支払利息」として経費計上できますが、元本返済部分は経費になりません。車両本体は減価償却で経費化します。

付随費用(諸費用)の処理方法

車を購入する際には、本体価格以外に様々な諸費用が発生します。これらの処理方法を整理しておきましょう。

費用項目 勘定科目 処理方法
自動車税 租税公課 按分して経費計上
自動車重量税 租税公課 按分して経費計上
自賠責保険料 損害保険料 按分して経費計上
登録代行費用 車両運搬具に含める 取得価額に加算して減価償却
納車費用 車両運搬具に含める 取得価額に加算して減価償却
リサイクル料金 預託金(資産) 廃車時まで資産として保有
任意保険料(初年度分) 損害保険料 按分して経費計上
注意: 登録代行費用や納車費用など、車の取得に直接必要な費用は取得価額に含めて減価償却します。一度に経費にできないので注意しましょう。

会計ソフトでの記帳方法

freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを使用すると、減価償却費の計算が自動化されます。

  1. 固定資産台帳に車両情報を登録(取得日、取得価額、耐用年数など)
  2. 事業使用割合(按分比率)を設定
  3. 決算時に自動で減価償却費を計算・仕訳作成

会計ソフトの選び方については、freee vs マネーフォワード vs 弥生|個人事業主向け会計ソフト徹底比較2024で詳しく解説しています。

会計ソフトの固定資産台帳画面
会計ソフトなら固定資産台帳から自動で減価償却費を計算

カーリース・サブスクの会計処理と税務メリット

近年、個人事業主の間でカーリースやサブスクリプション型の車利用が増えています。購入とは異なる会計処理が必要ですが、メリットも多くあります。

カーリースの仕組みと種類

カーリースは、リース会社が購入した車を月々定額で借りる契約形態です。主に以下の種類があります。

  • ファイナンスリース(所有権移転外):契約期間中解約不可、期間満了後は返却または買取
  • メンテナンスリース:車検・整備・保険などをパッケージ化したリース
  • オペレーティングリース:短期契約可能、柔軟性が高い

リース料の会計処理方法

個人事業主の場合、カーリースは原則として「賃借料(リース料)」として処理します。

【毎月の支払時】月額リース料5万円の場合

(借方)賃借料 50,000円 / (貸方)普通預金 50,000円

【決算時】事業使用割合60%で按分

(借方)事業主貸 240,000円 / (貸方)賃借料 240,000円

※年間600,000円のうち、プライベート分40%(240,000円)を事業主貸に振替

リースの税務メリット: リース料は全額(按分後)を当年度の経費にできるため、減価償却のように数年に分ける必要がありません。資金繰りと節税のバランスが取りやすい手法です。

購入 vs リースの税務比較

200万円の車を購入した場合とリースした場合の5年間の経費計上額を比較してみましょう。

項目 購入(現金一括) リース
初期費用 200万円 0~数万円
初年度経費 約20万円 約36万円
2~5年目経費(年額) 約20万円 約36万円
5年間合計経費 約100万円 約180万円
5年後の資産価値 約60~80万円 0円(返却)
メンテナンス費用 別途必要 込み(プランによる)

※事業使用割合60%、リース料月額5万円(メンテナンス込み)、普通乗用車(耐用年数6年)で試算

購入とリースの経費計上額グラフ比較
リースは毎年均等に経費計上できるのが特徴

リースが有利なケース・購入が有利なケース

リースが有利なケース:

  • 初期費用を抑えたい(キャッシュフロー重視)
  • 数年ごとに新車に乗り換えたい
  • メンテナンス管理を簡素化したい
  • 毎年安定した経費計上をしたい
  • 減価償却の計算が面倒

購入が有利なケース:

  • 長期間(7年以上)同じ車を使う予定
  • まとまった資金がある(購入資金確保済み)
  • 車を資産として保有したい
  • 中古車を安く購入できる
  • トータルコストを抑えたい

サブスクリプション型カーシェアの処理

KINTO、トヨタ車のサブスクなど、月額定額のサブスクサービスも増えています。会計処理はリースと同様に「賃借料」として処理します。

【毎月の支払時】

(借方)賃借料 45,000円 / (貸方)普通預金 45,000円

サブスクの場合、任意保険・税金・メンテナンスがすべて含まれているため、管理が非常に楽です。ただし、走行距離制限や契約期間の縛りがあるため、自分の使用実態に合っているか確認しましょう。

カーローン(自動車ローン)の経費処理

ローンで車を購入した場合、購入時は全額を資産計上し、毎月の返済では元本と利息を分けて処理します。

カーローンの種類と特徴

ローン種類 特徴 金利目安
銀行マイカーローン 所有権が自分に。審査厳しめ 1.5~4%
ディーラーローン 審査通りやすい。所有権はディーラー 4~8%
残価設定ローン 数年後の残価を除いた額を分割 3~6%
事業者向けローン 個人事業主専用。審査に決算書必要 2~5%

ローン支払時の仕訳(元本と利息の区分)

ローン返済額は「元本返済部分」と「利息支払部分」に分かれます。経費にできるのは利息部分のみです。

【例】毎月の返済額35,000円の内訳

・元本返済:30,000円 → 経費にならない(負債の減少)

・利息支払:5,000円 → 経費になる(按分後)

(借方)長期借入金 30,000円 / (貸方)普通預金 35,000円
(借方)支払利息 5,000円 /

※事業使用割合60%の場合:5,000円 × 60% = 3,000円が実際の経費

よくある間違い: 毎月の返済額全額を経費計上してしまうケース。元本返済部分は経費になりません。必ず元本と利息を区別して記帳しましょう。

ローンの利息計算と年間経費額

ローンの利息は毎月の残高に応じて変動します(元利均等返済の場合)。

具体例:200万円を金利3%、5年(60回)で借入

  • 月々返済額:約35,900円
  • 5年間の利息総額:約155,000円
  • 初年度の利息:約58,000円
  • 事業使用60%の場合の初年度経費:58,000円 × 60% = 約35,000円

※購入時の減価償却費(約20万円)とは別に、利息分も経費計上できます

自動車ローンの元本と利息の推移グラフ
ローンは返済が進むにつれて利息部分が減少していく

残価設定ローンの特殊な会計処理

残価設定ローン(残クレ)は、数年後の車の残存価値(残価)を差し引いた金額を分割払いする仕組みです。

会計処理は通常のローンと同じですが、契約満了時の選択肢によって処理が変わります。

  • 返却する場合:車両を手放すため、固定資産から除却処理
  • 残価を支払って購入する場合:残価部分を追加の資産計上
  • 新車に乗り換える場合:旧車の除却と新車の取得を同時処理
ポイント: 残価設定ローンは月々の支払が少ないため、初期のキャッシュフロー負担は軽くなります。ただし、契約満了時の選択によって追加費用が発生する可能性があります。

カーシェア・レンタカーの経費処理

所有せずに車を利用する方法として、カーシェアやレンタカーも選択肢に入ります。使用頻度が低い場合は、購入よりもコスト効率が良いケースがあります。

カーシェアの会計処理

タイムズカーシェア、オリックスカーシェアなどの利用料金は「賃借料」または「旅費交通費」として処理します。

【カーシェア利用時】3時間5,000円の利用

(借方)旅費交通費 5,000円 / (貸方)普通預金 5,000円

摘要:取引先訪問のためカーシェア利用(○○社訪問)

カーシェアのメリット: 事業目的の利用であれば全額経費計上できます。按分計算が不要で、記録も明細に残るため税務署への説明も容易です。

レンタカーの会計処理

レンタカー利用も同様に処理します。出張や遠方の取引先訪問などで使用した場合は全額経費にできます。

【レンタカー利用】1日10,000円

(借方)旅費交通費 10,000円 / (貸方)クレジットカード 10,000円

摘要:地方出張時レンタカー利用(○○県出張)

購入 vs カーシェア コスト比較

年間の使用頻度によって、どちらが経済的かが変わります。

使用頻度 カーシェア年間費用 購入時年間費用 推奨
週1回(月4回) 約24万円 約60万円 カーシェア
週2回(月8回) 約48万円 約60万円 カーシェア