赤字でも確定申告は必要?損失申告のメリットと純損失の繰越控除


「今年は赤字だったけど、確定申告ってしなくていいのかな?」「赤字だからこそ確定申告すべきって聞いたけど本当?」個人事業主・フリーランスの方なら、一度は抱いたことがある疑問ではないでしょうか。実は赤字の年ほど確定申告をすることで大きなメリットが得られる可能性があります。

この記事では、赤字でも確定申告が必要なケース、不要なケース、そして赤字を申告することで得られる「純損失の繰越控除」などの節税メリットについて徹底解説します。青色申告と白色申告の違い、具体的な手続き方法、実際のケーススタディまで網羅的にご紹介するので、赤字の年でも最大限に税制優遇を受ける方法が分かります。

会計屋.comでは、個人事業主の皆さまが正しい税務知識を身につけ、適切な節税対策を行えるよう、最新の税制情報を分かりやすくお届けしています。ぜひ最後までお読みいただき、赤字申告のメリットを最大限に活用してください。

赤字確定申告の概要イメージ
赤字でも確定申告をすることで税制優遇を受けられる

赤字でも確定申告は必要?基本的なルールを理解しよう

まず最初に押さえておきたいのが、赤字の場合の確定申告義務についてです。結論から言えば、赤字の場合は原則として確定申告の義務はありません。しかし、「義務がない」と「しない方がいい」は全く別の話です。

確定申告が義務となるケースとは

所得税法では、確定申告が必要となる条件が定められています。個人事業主・フリーランスの場合、以下のケースで確定申告義務が発生します。

  • 事業所得や不動産所得などの所得金額の合計が基礎控除額(48万円)を超える場合
  • 給与所得があり、副業の所得が20万円を超える場合
  • 源泉徴収された税金の還付を受けたい場合
  • 消費税の課税事業者である場合(消費税の申告は別途必要)

赤字の場合は、所得金額がマイナスとなるため、基礎控除額を超えることはありません。したがって、法律上の申告義務は発生しないということになります。

ポイント: 赤字の年は確定申告の義務はありませんが、「損失申告」をすることで将来の税負担を軽減できる可能性があります。義務がないからといって何もしないのは、節税のチャンスを逃すことになります。

赤字でも確定申告した方がいい理由

では、なぜ赤字でも確定申告をすべきなのでしょうか。主な理由は以下の通りです。

  1. 純損失の繰越控除・繰戻還付が受けられる(青色申告の場合)
  2. 所得証明として活用できる(住宅ローン、賃貸契約、保育園申請など)
  3. 源泉徴収された税金の還付を受けられる
  4. 国民健康保険料や住民税の減額・免除の根拠となる
  5. 事業の実態を公的に証明できる

特に青色申告をしている個人事業主の場合、純損失の繰越控除によって最大3年間、赤字を翌年以降の黒字と相殺できるという大きなメリットがあります。これについては後ほど詳しく解説します。

白色申告と青色申告での違い

赤字申告のメリットは、白色申告と青色申告で大きく異なります。この違いを理解することが非常に重要です。

項目 白色申告 青色申告
純損失の繰越控除 原則不可(例外あり) 3年間繰越可能
純損失の繰戻還付 不可 前年分の税金還付可能
記帳義務 簡易な帳簿でOK 複式簿記が必要
赤字申告のメリット 限定的 非常に大きい
事前申請 不要 必要(開業2ヶ月以内)

このように、青色申告の方が赤字申告において圧倒的に有利です。まだ青色申告の承認を受けていない方は、青色申告65万円控除の要件とは?2024年最新版|e-Tax必須化の注意点で詳しい要件を確認してみてください。

青色申告と白色申告の損失繰越の違い比較表
青色申告なら赤字を3年間繰り越せる大きなメリットがある

純損失の繰越控除とは?最大のメリットを徹底解説

赤字申告の最大のメリットである「純損失の繰越控除」について、具体的に見ていきましょう。この制度を理解し活用することで、数十万円から数百万円の節税効果を得られる可能性があります。

純損失の繰越控除の仕組み

純損失の繰越控除とは、ある年に発生した事業の赤字(純損失)を、翌年以降最大3年間にわたって繰り越し、黒字の所得から差し引くことができる制度です。これは青色申告をしている個人事業主だけが利用できる特典です。

例えば、令和5年に100万円の赤字が出た場合、この赤字を令和6年、7年、8年の所得から差し引くことができます。令和6年に150万円の黒字が出れば、前年の赤字100万円を差し引いて、課税所得は50万円になります。

計算例:

  • 令和5年:赤字100万円(繰越損失として記録)
  • 令和6年:黒字150万円 – 繰越損失100万円 = 課税所得50万円
  • 節税額:100万円 × 税率(所得税+住民税)= 約15万円〜33万円の節税

繰越控除を受けるための要件

純損失の繰越控除を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 青色申告の承認を受けていること
  • 赤字が発生した年に確定申告(損失申告)をすること
  • その後も連続して確定申告を提出すること(黒字・赤字に関わらず)
  • 期限内に申告書を提出すること(期限後申告では適用されない)
注意: 赤字の年に確定申告をしないと、その赤字を繰り越すことはできません。また、翌年以降に申告を怠ると、繰越控除の権利を失ってしまいます。連続して申告することが絶対条件です。

具体的なケーススタディ:フリーランスデザイナーの場合

より理解を深めるため、具体例を見てみましょう。

【ケース1】フリーランスデザイナーAさん(青色申告)

  • 令和4年:事業所得 +300万円(所得税・住民税合計 約36万円)
  • 令和5年:独立してオフィス開設、機材購入で赤字200万円
  • 令和6年:事業軌道に乗り所得 +400万円

繰越控除を利用した場合:

  • 令和6年の課税所得:400万円 – 200万円(繰越損失)= 200万円
  • 令和6年の税額:約20万円(本来なら約48万円)
  • 節税効果:約28万円

繰越控除を利用しなかった場合:

  • 令和5年:申告せず(赤字なので義務なし)
  • 令和6年:課税所得400万円、税額約48万円
  • 節税効果:0円(28万円の損失)

このように、赤字の年に確定申告をするかしないかで、翌年以降の税負担が大きく変わってきます。

▲ 純損失の繰越控除の仕組みを分かりやすく解説

繰越期間と優先順位

純損失の繰越控除には、知っておくべき重要なルールがあります。

  • 繰越期間は最大3年間(令和5年の赤字は令和8年まで繰越可能)
  • 古い年度の損失から優先的に控除される(先入先出法)
  • 3年以内に使い切れなかった損失は消滅する

複数年にわたって赤字が続いた場合や、大きな赤字が出た場合は、3年間の繰越期間内に使い切れるかどうかを計画的に考える必要があります。

純損失繰越控除の3年間のタイムライン図
純損失は最大3年間繰り越せるが、古い年度から優先的に使われる

純損失の繰戻還付:前年の税金が戻ってくる制度

繰越控除と並んで重要なのが「純損失の繰戻還付」という制度です。これは前年に納めた所得税の還付を受けられるという、即効性のある節税手段です。

繰戻還付の仕組み

純損失の繰戻還付とは、今年発生した赤字を前年の黒字所得と相殺し、前年に納めた所得税の還付を受けられる制度です。青色申告者のみが利用できます。

例えば、令和5年に所得300万円で税金30万円を納め、令和6年に100万円の赤字が出た場合、令和6年の赤字100万円を令和5年の所得から差し引いて、納めすぎた税金の還付を受けることができます。

計算例:

  • 令和5年:所得300万円、所得税30万円を納税済み
  • 令和6年:赤字100万円発生
  • 繰戻計算:所得300万円 – 赤字100万円 = 200万円
  • 200万円に対する所得税:約20万円
  • 還付金:30万円 – 20万円 = 10万円

繰越控除と繰戻還付、どちらを選ぶべき?

赤字が発生した場合、「翌年以降に繰り越す(繰越控除)」か「前年に繰り戻す(繰戻還付)」かを選択できます。どちらを選ぶべきでしょうか。

比較項目 繰越控除 繰戻還付
メリット ・3年間使える
・将来の高所得時に使える
・手続きが簡単
即座に現金が戻る
・資金繰り改善に有効
デメリット ・還付まで時間がかかる
・黒字にならないと使えない
・前年の所得が必要
・税務調査リスクがやや高まる
適するケース ・今後の事業成長を見込む
・前年の所得が少ない
・資金繰りが厳しい
・前年の税額が大きい
対象税金 所得税・住民税 所得税のみ(住民税は対象外)
申告期限 通常の確定申告期限 通常の確定申告期限
選択のポイント: 資金繰りが厳しい場合は繰戻還付で即座に現金を回収、将来的に所得が増える見込みがあれば繰越控除で税率の高い年に使う、というのが基本戦略です。なお、両方を併用することもできます(一部を繰戻、残りを繰越)。

繰戻還付の手続き方法

繰戻還付を受けるには、確定申告書と一緒に以下の書類を提出します。

  1. 確定申告書(第一表・第二表)
  2. 青色申告決算書
  3. 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書(様式第四表(一)・(二))
STEP 1: 確定申告書第一表の「損失額又は所得金額」欄に赤字金額を記入
STEP 2: 第四表(一)の「繰戻し還付される所得税額」を計算
STEP 3: 第四表(二)で前年所得から赤字を差し引いた金額を計算
STEP 4: 還付請求書と一緒に税務署へ提出
STEP 5: 通常1〜2ヶ月で指定口座に還付金が振り込まれる
確定申告書第四表(繰戻還付用)の記入例
第四表を使って繰戻還付の計算と請求を行う

赤字確定申告の具体的な手続き方法

ここからは、実際に赤字の確定申告(損失申告)を行う際の具体的な手続きについて解説します。【2024年版】個人事業主の確定申告やり方完全ガイド|初めてでも安心の手順も合わせて参照してください。

必要書類の準備

赤字の確定申告でも、通常の確定申告と同じ書類が必要です。青色申告の場合は以下の書類を準備します。

  • 確定申告書B(第一表・第二表)
  • 青色申告決算書(一般用または不動産所得用)
  • 確定申告書第三表(譲渡所得などがある場合)
  • 確定申告書第四表(損失申告用)(繰越・繰戻を申請する場合)
  • 各種控除証明書(社会保険料控除証明書、生命保険料控除証明書など)
  • 収支内訳書・帳簿(複式簿記で記帳したもの)
注意: 赤字申告でも、収入や経費の根拠資料(請求書、領収書、通帳など)は7年間保存する義務があります。税務調査で提示を求められた際に説明できるよう、きちんと整理保管しておきましょう。

確定申告書の記入方法(赤字の場合)

赤字の場合の確定申告書記入には、いくつか注意点があります。

青色申告決算書の記入

まず青色申告決算書を作成します。収入金額よりも経費が多い場合、損益計算書の「所得金額」欄はマイナス表示になります。

  • 収入金額:300万円
  • 必要経費:450万円
  • 所得金額:△150万円(マイナス表示または△で記載)

確定申告書第一表の記入

確定申告書第一表の「収入金額等」「所得金額等」欄に、青色申告決算書の金額を転記します。赤字の場合は、所得金額欄に△をつけて赤字であることを明示します。

  • 「事業・営業等」の収入金額:300万円
  • 「事業・営業等」の所得金額:△150万円

確定申告書第四表の記入(損失申告用)

繰越控除または繰戻還付を受ける場合は、第四表(一)・(二)を記入します。

第四表(一):損失額や繰越額を記入

  • 「損失額又は所得金額」:△150万円
  • 「翌年以降に繰り越す損失額」:150万円(繰越の場合)
  • 「繰戻し還付される所得税額」:(繰戻の場合に計算)

第四表(二):損失の生じた所得の明細を記入

  • 事業所得の赤字の内訳を詳細に記載
赤字申告時の確定申告書第一表の記入例
赤字の場合は△記号を付けて所得金額を記入する

e-Taxでの提出がおすすめの理由

赤字申告の場合でも、e-Taxでの電子申告が推奨されます。理由は以下の通りです。

  • 添付書類の省略が可能(控除証明書などをPDFで添付またはデータ保管のみでOK)
  • 24時間いつでも提出可能(税務署の開庁時間を気にしなくてよい)
  • 還付金の振込が早い(書面提出より1〜2週間早い)
  • 青色申告特別控除65万円の要件(e-Tax提出が必須)
  • 提出履歴が電子で残る(連続申告の証明が容易)

▲ e-Taxを使った確定申告の手順を動画で分かりやすく解説

会計ソフトを使った赤字申告の効率化

赤字申告でも、日々の記帳と決算書作成は通常通り行う必要があります。会計ソフトを使えば、赤字の計算や申告書の作成が自動化され、ミスも防げます。

主要な会計ソフトの赤字申告対応機能は以下の通りです。

ソフト名 赤字自動判定 第四表作成 繰越管理 料金(年額)
freee会計 ◎ 自動作成 ◎ 自動繰越 12,936円〜
マネーフォワード ◎ 自動作成 ◎ 自動繰越 10,560円〜
弥生会計 ◎ 自動作成 ◎ 自動繰越 9,680円〜

どのソフトも赤字申告に対応していますが、使いやすさや料金には差があります。詳しい比較はfreee vs マネーフォワード vs 弥生|個人事業主向け会計ソフト徹底比較2024をご覧ください。

白色申告での赤字申告はどうなる?

ここまで主に青色申告の赤字申告について解説してきましたが、白色申告の場合はどうなるのでしょうか。白色申告でも赤字申告は可能ですが、メリットは限定的です。

白色申告で繰越できる損失の種類

白色申告の場合、原則として純損失の繰越はできませんが、以下の特定の損失は繰越が認められています

  • 変動所得の損失(漁業、養殖業、原稿料・印税など著述業の所得)
  • 被災事業用資産の損失(災害により事業用資産に損害を受けた場合)

通常の事業での赤字(例えば開業初年度の設備投資による赤字など)は、白色申告では繰越できません。これが青色申告との最も大きな違いです。

白色申告から青色申告への切り替え

もし今年赤字が出そうで、来年以降も事業を続ける予定なら、今からでも青色申告への切り替えを検討すべきです。

青色申告への切り替え手順:

  1. 「青色申告承認申請書」を税務署に提出(その年の3月15日まで、または開業後2ヶ月以内)
  2. 複式簿記での記帳を開始
  3. 翌年の確定申告から青色申告で提出

注意: 今年の赤字を繰り越したい場合、今年中に青色申告の承認を受けている必要があります。すでに年が明けている場合は、残念ながら今年の赤字は繰越できませんが、来年以降のために今すぐ申請しましょう。

白色申告でも確定申告した方がいい理由

繰越控除が使えなくても、白色申告で赤字の確定申告をするメリットはあります。

  • 所得証明書が発行される(金融機関、賃貸契約、保育園申請などで必要)
  • 住民税・国民健康保険料の計算根拠となる(所得が低いことの証明)
  • 源泉徴収された税金の還付(報酬から源泉徴収されている場合)
  • 事業を継続している証明(融資や助成金申請時に有利)
白色申告と青色申告の赤字繰越の違い図解
白色申告では原則として事業の赤字繰越ができない

赤字を減らすための経費計上のポイント

赤字であることにもメリットはありますが、当然ながら黒字経営が理想です。適切な経費計上で、無駄な赤字を避けつつ、正しく節税することが重要です。

経費として認められるもの・認められないもの

事業の経費として認められるのは、「事業を営むために直接必要な費用」です。以下が基準となります。

経費として認められる基準:

  • 事業関連性:事業遂行に直接必要な支出であること
  • 合理性:金額や支出目的が合理的であること
  • 証拠能力:領収書や請求書などの証拠書類があること
費用項目 経費として認められる 注意点・条件
家賃 事業使用割合分のみ(按分計算が必要)
水道光熱費 事業使用割合分のみ(按分計算が必要)
通信費 事業専用回線なら100%、兼用なら按分
接待交際費 事業関連の接待のみ。相手・目的を記録
PC・機材購入 10万円以上は減価償却(または一括償却・少額減価償却資産の特例)
車両費 事業使用割合分のみ。走行記録を保管
書籍・研修費 事業に直接関連するもののみ
健康診断 × 個人事業主本人の健康診断は経費不可
生命保険 × 経費不可(所得控除として別途控除可能)

フリーランスエンジニアの方は、フリーランスエンジニアの経費はどこまでOK?認められる経費一覧と節税術も参考にしてください。

過度な経費計上のリスク

節税のために経費を増やすことは正当な権利ですが、事業実態に合わない過度な経費計上には以下のリスクがあります。

過度な経費計上のリスク:

  • 税務調査の対象になりやすい:同業他社と比べて経費率が極端に高いと調査対象に
  • 融資審査で不利:赤字が続くと金融機関から「経営力不足」と判断される
  • 加算税・延滞税:否認された経費は修正申告が必要。追徴課税も
  • 青色申告の取り消し:悪質な場合、青色申告の承認が取り消される可能性

適切な経費率の目安

業種によって適切な経費率は異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • IT・エンジニア:経費率30〜50%
  • デザイナー・クリエイター:経費率40〜60%
  • コンサルタント:経費率20〜40%
  • 物販業:経費率60〜80%(仕入原価含む)

これらはあくまで目安ですが、大幅に外れる場合は計上内容を見直す必要があるかもしれません。

業種別の平均経費率グラフ
業種によって適切な経費率は大きく異なる

赤字申告のメリット・デメリット総まとめ

ここまでの内容を踏まえて、赤字申告のメリットとデメリットを整理しましょう。

赤字申告のメリット

赤字申告には以下のような多くのメリットがあります。

【税務面でのメリット】

  • 純損失の繰越控除:最大3年間赤字を繰り越せる(青色申告のみ)
  • 純損失の繰戻還付:前年の税金が還付される(青色申告のみ)
  • 源泉徴収税の還付:報酬から引かれた源泉税が戻る
  • 住民税・国民健康保険料の減額:所得が低いことで保険料も下がる

【生活面でのメリット】

  • 所得証明書の発行:各種手続きで必要な証明書が取得できる
  • 保育料の減額:所得に応じた保育料が安くなる
  • 公営住宅の申請:低所得証明として利用できる
  • 各種支援制度の利用:所得制限のある制度が利用可能に

赤字申告のデメリット

一方で、以下のようなデメリットも存在します。

【信用面でのデメリット】

  • 融資審査で不利:金融機関は黒字企業を優遇する傾向
  • クレジットカード審査:所得が低いと審査が通りにくい
  • 賃貸契約の審査:赤字が続くと家賃支払い能力を疑われる
  • ビジネス上の信用:継続的な赤字は経営能力の懸念材料に

【その他のデメリット】

  • 税務調査リスク:特に繰戻還付を申請すると調査対象になりやすい
  • 記帳・申告の手間:赤字でも青色申告なら複式簿記が必要

メリット・デメリットの比較表

状況 申告する 申告しない 推奨
青色申告で今後黒字見込み × 必ず申告(繰越控除で大幅節税)
青色申告で前年黒字 × 必ず申告(繰戻還付で即還付)
白色申告で一時的赤字 申告推奨(所得証明のため)
事業廃止予定で赤字 源泉税還付がなければ任意
融資申請予定 × 黒字化してから申請推奨
赤字申告のメリットとデメリットの天秤イメージ
状況に応じて赤字申告のメリット・デメリットを比較検討しよう

実際のケーススタディ:赤字申告の節税効果

理論だけでなく、具体的なケーススタディで赤字申告の効果を見てみましょう。

ケース1:開業初年度で大きな設備投資をしたWebデザイナー

【プロフィール】

  • Bさん(28歳・Webデザイナー)
  • 令和5年4月に開業、青色申告承認済み
  • 開業時にPC、ソフトウェア、オフィス家具など120万円投資

【令和5年の収支】

  • 収入:180万円(4月〜12月の9ヶ月間)
  • 経費:250万円(設備投資120万円含む)
  • 所得:△70万円(赤字)

【赤字申告をした場合】

  • 令和5年:確定申告で純損失70万円を申告
  • 令和6年:所得400万円 – 繰越損失70万円 = 課税所得330万円
  • 令和6年の税額:所得税約19万円 + 住民税33万円 = 合計52万円

【赤字申告をしなかった場合】

  • 令和5年:申告せず(義務なし)
  • 令和6年:課税所得400万円
  • 令和6年の税額:所得税約33万円 + 住民税40万円 = 合計73万円

💰 節税効果:約21万円の差額!

ケース2:コロナで売上激減したフリーランス講師

【プロフィール】

  • Cさん(45歳・セミナー講師)
  • 青色申告歴5年
  • 令和4年まで順調に黒字

【令和4年の実績】