「確定申告に会計ソフトって本当に必要なの?」「少しでもコストを抑えたいからエクセルや手書きで済ませられないか…」と悩んでいる個人事業主・フリーランスの方は多いのではないでしょうか。特に開業したばかりの方や、取引件数が少ない副業の方にとって、会計ソフトの導入は大きな決断に感じられるかもしれません。
結論から言えば、会計ソフトなしでも確定申告は可能です。しかし、実際にエクセルや手書きで申告を行うと、どれだけの手間とリスクが生じるのか、正確に理解している方は少ないでしょう。一方で、会計ソフトには初期コストや学習コストがかかるため、「本当に必要なのか」という疑問も当然です。
本記事では、会計ソフトを使わない方法(エクセル・手書き)と会計ソフト導入のメリット・デメリットを徹底比較。それぞれの手間、コスト、リスクを具体的に解説し、あなたの事業規模や状況に最適な選択ができるようサポートします。
会計ソフトなしでも確定申告はできる!法律上の要件
まず押さえておきたいのは、法律上、会計ソフトの利用は義務ではありません。所得税法では、青色申告の承認を受けている事業者に対して「正規の簿記の原則に従った記帳」を求めていますが、その方法までは指定されていません。
法律で求められる記帳・保存要件
青色申告で65万円控除(または55万円控除)を受けるために必要な要件は以下の通りです:
- 複式簿記による記帳:借方・貸方の両面から取引を記録
- 貸借対照表と損益計算書の作成:確定申告書に添付して提出
- 帳簿書類の保存:7年間(一部は5年間)の保存義務
- 電子帳簿保存法の要件(e-Tax提出で65万円控除の場合)
白色申告なら記帳はもっと簡単
白色申告の場合は、簡易な記帳(単式簿記)で構いません。収入と支出を日付順に記録する「現金出納帳」程度で十分なため、エクセルや手書きでも比較的容易に対応できます。ただし、青色申告特別控除(最大65万円)が受けられないため、税額面では不利になります。
エクセルで確定申告する方法と実際の手間
「無料でできるならエクセルで十分」と考える方もいるでしょう。実際、エクセルで確定申告書類を作成することは可能です。しかし、その実態を詳しく見ていきましょう。
エクセルで必要な作業工程
エクセル処理の具体的な時間コスト
実際にエクセルで確定申告を行った場合の作業時間を、取引件数別に試算してみましょう。
| 月間取引件数 | 年間作業時間 | 時給換算(2,000円) |
|---|---|---|
| 20件以下 | 約40時間 | 80,000円相当 |
| 50件程度 | 約80時間 | 160,000円相当 |
| 100件以上 | 約120時間以上 | 240,000円以上相当 |
エクセルのメリットとデメリット
メリット:
- ソフト購入費用が不要(エクセルがあれば追加費用ゼロ)
- 自由にカスタマイズできる
- オフラインで作業できる
デメリット:
- 複式簿記の知識が必須
- 転記ミスや計算ミスのリスクが高い
- 勘定科目の残高確認に時間がかかる
- 税制改正への対応を自分で行う必要がある
- e-Taxの電子申告に別途対応が必要
- 税務調査時の説明資料作成が困難
▲ エクセルで複式簿記を行う方法の解説動画
手書きで確定申告する方法と現実的な難易度
「パソコンが苦手だから手書きで」という選択肢もありますが、令和の時代において手書きでの確定申告は、かなり限定的な状況でのみ現実的と言えます。
手書き申告が現実的なケース
- 白色申告で取引件数が月10件以下
- 現金取引のみで銀行口座やクレジットカードを使わない
- 経費の種類が限定的(2〜3種類程度)
- 在庫管理や減価償却資産がない
これらの条件を満たす場合、市販の「青色申告用帳簿」や国税庁の様式を使って手書きで記帳することは可能です。ただし、青色申告で65万円控除を受けるには、手書きでもe-Tax提出が必要(令和2年分以降)という点に注意が必要です。
手書きの圧倒的なデメリット
| 項目 | 手書きの問題点 |
|---|---|
| 修正 | 書き直しが必要。修正液は税務上好ましくない |
| 集計 | 電卓で手動計算、ミスのリスク大 |
| 検索性 | 過去の取引を探すのに膨大な時間 |
| バックアップ | 紛失・破損のリスク、コピー保管が必須 |
| 電子申告 | 手書き帳簿から別途データ入力が必要 |
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