年末調整と確定申告の違いとは?両方必要なケースと会社員の副業申告


「年末調整を受けたのに確定申告も必要なの?」「会社員だけど副業を始めたら手続きはどうなる?」年末が近づくと多くの会社員や副業フリーランスが抱えるこうした疑問。年末調整と確定申告は似ているようで全く異なる手続きであり、場合によっては両方が必要になることもあります。

本記事では、年末調整と確定申告の基本的な違いから、両方が必要になる具体的なケース、会社員の副業申告の注意点まで、税務の専門知識を分かりやすく解説します。医療費控除やふるさと納税など、確定申告でしか受けられない控除についても詳しく紹介しますので、自分がどの手続きを行うべきか正確に判断できるようになります。

正確な知識を身につけることで、余計な税金を払わず、また申告漏れによるペナルティを避けることができます。会計屋.comでは、中小企業経理担当者や個人事業主の皆様に役立つ税務・会計情報を発信しています。

年末調整と確定申告の書類を比較する会社員のデスク
年末調整と確定申告、どちらが必要かは個人の状況によって異なります

年末調整と確定申告の基本的な違い

年末調整と確定申告は、どちらも1年間の所得税額を確定させる手続きですが、誰が行うか、対象者、タイミングなど多くの点で異なります。まずはこの2つの制度の基本を理解しましょう。

年末調整とは

年末調整は、会社が従業員のために行う所得税の精算手続きです。会社は毎月の給与から概算の所得税を源泉徴収していますが、年末に正確な税額を計算し直し、過不足を調整します。

  • 実施者: 勤務先の会社(給与支払者)
  • 対象者: 給与所得者(会社員、パート、アルバイト)
  • 実施時期: 毎年12月(年末賞与の支給時期)
  • 提出書類: 扶養控除等申告書、保険料控除申告書など
  • 還付時期: 12月または1月の給与と一緒に還付・徴収
ポイント: 年末調整は会社が行うため、従業員は必要書類を提出するだけで、自分で税務署に申告する必要はありません。

確定申告とは

確定申告は、納税者本人が自ら所得税額を計算し、税務署に申告・納税する手続きです。1年間(1月1日〜12月31日)のすべての所得と控除を集計し、正確な税額を確定させます。

  • 実施者: 納税者本人
  • 対象者: 個人事業主、フリーランス、一定の条件に該当する会社員など
  • 申告期間: 翌年2月16日〜3月15日(令和6年分は令和7年2月17日〜3月17日)
  • 提出先: 所轄税務署(e-Taxでの電子申告も可能)
  • 納付期限: 申告期限と同じ3月15日

両者の違いを表で比較

項目 年末調整 確定申告
実施者 勤務先の会社 納税者本人
対象所得 給与所得のみ すべての所得
実施時期 12月 翌年2月16日〜3月15日
医療費控除 不可 可能
住宅ローン控除(初年度) 不可 必須
副業収入の申告 不可 必要(20万円超)

会社員でも確定申告が必要になる7つのケース

年末調整を受けた会社員であっても、一定の条件に該当する場合は確定申告が必要、または確定申告することで還付が受けられるケースがあります。

確定申告が必要な会社員の条件を示すチェックリスト
自分が確定申告の対象かどうか、各条件を確認しましょう

1. 給与収入が2,000万円を超える場合(義務)

年間の給与収入が2,000万円を超える高額所得者は、年末調整の対象外となり、確定申告が義務付けられています。これは国税庁が定める基準であり、該当する場合は必ず申告が必要です。

2. 副業の所得が20万円を超える場合(義務)

会社員として給与をもらいながら副業をしている場合、副業の所得(収入から経費を引いた金額)が年間20万円を超えると確定申告が必要です。

計算例: フリーランスのライティング副業で年間収入50万円、経費(通信費、書籍代など)15万円の場合→所得35万円となり、確定申告が必要
  • 雑所得(原稿料、講演料、アフィリエイト収入など)
  • 事業所得(継続的な事業として行っている副業)
  • 不動産所得(賃貸物件からの家賃収入)
注意: 20万円以下でも住民税の申告は必要です。また、副業が給与所得の場合は20万円以下でも確定申告が必要なケースがあります。

3. 2か所以上から給与を受けている場合(義務)

複数の会社から給与をもらっている場合、主たる給与以外の給与収入と他の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。例えば、正社員として働きながらアルバイトもしている、複数の派遣会社から給与を受けているなどのケースが該当します。

4. 医療費控除を受ける場合(任意・還付)

1年間に支払った医療費が一定額(通常10万円、または総所得金額の5%)を超える場合、医療費控除を受けることで税金が還付されます。年末調整では医療費控除を適用できないため、確定申告が必要です。

  • 本人および生計を一にする家族の医療費が対象
  • 令和4年分以降、セルフメディケーション税制との選択適用
  • 医療費控除の明細書の添付が必要(領収書の保管は5年間)

▲ 医療費控除の申告方法と注意点を動画で解説

5. 住宅ローン控除の初年度(義務)

住宅ローンを組んでマイホームを購入・新築した場合、初年度は必ず確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で対応できますが、初年度のみ確定申告で住宅借入金等特別控除の適用を受ける必要があります。

  • 必要書類:住宅借入金等特別控除額の計算明細書、住宅ローンの残高証明書、登記事項証明書、売買契約書の写しなど
  • 令和4年・令和5年の税制改正により控除率や控除期間が変更されています

6. ふるさと納税が6自治体以上の場合(義務)

ふるさと納税は「ワンストップ特例制度」を利用すれば確定申告不要ですが、寄附先が6自治体以上になると確定申告が必要になります。また、他の理由で確定申告をする場合は、ふるさと納税の控除も確定申告に含める必要があります。

7. 年の途中で退職し再就職していない場合(任意・還付)

年の途中で退職し、年内に再就職しなかった場合、前職の会社では年末調整が行われていません。確定申告をすることで源泉徴収された所得税が還付される可能性が高いです。

ポイント: 退職した会社から「源泉徴収票」を必ず受け取り、確定申告に使用します。還付申告は5年間遡って行うことができます。

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