予定納税とは?対象者・計算方法・減額申請のやり方を分かりやすく解説


「予定納税の通知が突然届いたけれど、これは何?どうして前年は支払わなくて済んだのに今年は納めないといけないの?」フリーランスや個人事業主の方なら、こんな疑問を抱いたことがあるかもしれません。予定納税とは、簡単に言えば所得税の「前払い制度」です。前年の所得が一定額を超えると自動的に対象となり、7月・11月の年2回に分けて納税する必要があります。

しかし、事業が順調だった昨年と比べて今年は売上が減少している場合、本来納めるべき税額よりも多く前払いすることになり、資金繰りが厳しくなってしまうことも。そんなときに活用できるのが「減額申請」という制度です。

この記事では、予定納税の基本的な仕組みから対象者の条件、具体的な計算方法、さらには減額申請のやり方まで、個人事業主・フリーランスの方が知っておくべき情報を網羅的に解説します。会計屋.comが、あなたの税務理解をサポートします。

予定納税とは?所得税の前払い制度の基本

予定納税とは、前年の所得税額が一定額以上だった場合に、今年の所得税を事前に納める制度です。国税庁が定めるこの制度により、納税者は年3回に分けて所得税を納めることになります。

予定納税の目的と仕組み

予定納税制度が設けられている主な目的は、以下の2点です。

  • 国の税収を安定的に確保する:確定申告時期(翌年3月)まで待たずに、年の途中で税金を徴収できる
  • 納税者の負担を分散する:一度に多額の税金を納めるのではなく、3回に分けることで支払いやすくする

会社員の場合は毎月の給料から源泉徴収という形で所得税が天引きされていますが、個人事業主やフリーランスにはこの仕組みがありません。予定納税は、この源泉徴収に近い役割を果たしていると言えます。

予定納税の年間スケジュールと納付タイミングを示したカレンダー図
予定納税は7月・11月に納付し、翌年3月の確定申告で精算する仕組み

予定納税の納付スケジュール

予定納税は年2回に分けて納付します。

納付期 納付期限 納付額(目安)
第1期 7月1日〜7月31日 予定納税基準額の1/3
第2期 11月1日〜11月30日 予定納税基準額の1/3
確定申告 翌年2月16日〜3月15日 残りの税額を精算
ポイント: 予定納税の対象者には、毎年6月中旬頃に税務署から「予定納税額の通知書」が送付されます。この通知が届いたら、必ず期限内に納付しましょう。

予定納税の対象者となる条件

予定納税は、すべての個人事業主・フリーランスが対象となるわけではありません。前年分の所得税額が一定基準を超えた場合にのみ対象となります。

予定納税基準額とは

予定納税の対象となるかどうかは、「予定納税基準額」で判定されます。予定納税基準額とは、前年分の所得税額から以下のものを差し引いた金額です。

  • 源泉徴収税額
  • 予定納税額(前年に予定納税をしていた場合)

具体的には、予定納税基準額が15万円以上になると、予定納税の対象者となります。

対象となる・ならない具体例

ケース 前年の所得税額 源泉徴収税額 予定納税基準額 対象
Aさん 30万円 0円 30万円 ○ 対象
Bさん 20万円 8万円 12万円 × 対象外
Cさん 50万円 33万円 17万円 ○ 対象

Bさんのケースでは、所得税額は20万円ありますが、源泉徴収税額を差し引いた予定納税基準額が12万円となり、15万円未満のため対象外となります。

予定納税の対象判定フローチャート図
前年の所得税額から源泉徴収税額を引いて15万円以上なら対象

突然対象になるケース

次のような場合、これまで予定納税の対象でなかった方が突然対象になることがあります。

  • 事業の売上が大きく伸びた年の翌年
  • 青色申告特別控除額が変わった年の翌年(65万円→55万円など)
  • 扶養家族が減った年の翌年(子どもが独立したなど)
  • 医療費控除など大型控除がなくなった年の翌年
注意: 予定納税の対象となった場合、通知書が届かなくても納税義務は発生します。6月中旬を過ぎても通知が届かない場合でも、前年の確定申告書を確認して自己判断が必要です。

予定納税額の計算方法を具体例で解説

予定納税額は、前年の所得税額をもとに自動的に計算されます。計算方法を理解しておくことで、事前に納税資金を準備できるようになります。

基本的な計算式

予定納税額の計算は、以下の式で行います。

予定納税額(年間) = 予定納税基準額
第1期納付額 = 予定納税基準額 × 1/3
第2期納付額 = 予定納税基準額 × 1/3

つまり、予定納税基準額の3分の2を年内に前払いし、残りの3分の1と実際の税額との差額を翌年3月の確定申告で精算する仕組みです。

計算シミュレーション

具体的な数字で見てみましょう。

【前提条件】

  • 前年の所得税額:45万円
  • 源泉徴収税額:0円
  • 前年の予定納税額:0円

【計算】

予定納税基準額 = 45万円 − 0円 − 0円 = 45万円

第1期納付額 = 45万円 × 1/3 = 15万円(7月末まで)

第2期納付額 = 45万円 × 1/3 = 15万円(11月末まで)

予定納税合計 = 30万円

この場合、7月と11月にそれぞれ15万円ずつ、合計30万円を前払いすることになります。

確定申告での精算イメージ

翌年3月の確定申告では、実際の所得に基づいて計算した所得税額と、予定納税額との差額を精算します


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