個人事業主・フリーランスとして事業を営む方の中には、「配偶者や家族に手伝ってもらっているけれど、給料を支払って経費にできないだろうか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。実は、青色申告をしている事業主であれば、一定の要件を満たすことで家族への給料を「専従者給与」として全額経費計上でき、大きな節税効果が得られます。しかし、専従者給与には細かな要件があり、届出の提出期限や金額設定を誤ると税務署から否認されるリスクもあります。本記事では、専従者給与の基礎知識から青色事業専従者届出書の書き方、適正な給与額の設定方法、白色申告との比較、税務調査で指摘されやすいポイントまで、日本一詳しく解説します。年間で数十万円〜数百万円の節税につながる重要な制度ですので、ぜひ最後までお読みください。
専従者給与を活用すれば、事業所得を適正に分散させながら家族への報酬を経費化でき、所得税・住民税・国民健康保険料の負担を大幅に軽減できます。例えば、年間500万円の事業所得がある個人事業主が配偶者に年間200万円の専従者給与を支払った場合、所得分散により約40〜60万円の税金・社会保険料の削減が見込めます。しかし、専従者給与を正しく活用するには、青色申告の承認を受けていること、事前に専従者届出書を提出すること、適正な金額設定をすることなど、複数の要件を満たす必要があります。
この記事では、会計屋.comが10年以上の税務実務経験をもとに、専従者給与の仕組みから実務上の注意点まで網羅的に解説します。「専従者給与はいくらまで設定できるのか」「配偶者控除との併用は可能か」「税務調査で否認されないための証拠書類は何か」といった実務上の疑問にも、具体的な事例とともにお答えします。
個人事業主として適正に節税しながら家族と事業を成長させたい方、確定申告で専従者給与を初めて計上しようとしている方にとって、必読の内容です。読み終える頃には、専従者給与の全体像が明確になり、自信を持って届出書を提出し、適正な給与設定ができるようになるでしょう。
専従者給与とは?基礎知識と仕組みを理解する
専従者給与とは、個人事業主が生計を一にする配偶者や親族(15歳以上)に対して支払う給料のうち、一定の要件を満たすことで必要経費として認められる制度です。通常、個人事業主が家族に給料を支払っても経費として認められませんが、青色申告をしている事業主であれば「青色事業専従者給与」として全額を経費計上できます。
専従者給与が認められる理由と税法上の位置づけ
所得税法では、原則として「生計を一にする配偶者その他の親族に対する給与等の支払いは必要経費に算入しない」と定められています(所得税法56条)。これは、家族間での所得の付け替えによる租税回避を防ぐためです。しかし、実際に事業に従事している家族への対価を一切認めないのは不公平であることから、青色申告者には特例として「青色事業専従者給与の特例」(所得税法57条)が設けられています。
この特例により、青色申告をしている個人事業主は、一定の要件を満たすことで家族への給与を全額経費として計上できます。これは青色申告者だけの特権であり、白色申告者は「事業専従者控除」として一定額(配偶者86万円、その他の親族50万円)までしか控除できません。
青色専従者と白色専従者の違い
専従者には「青色事業専従者」と「白色事業専従者」の2種類があり、それぞれで取り扱いが大きく異なります。主な違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 青色事業専従者給与 | 白色事業専従者控除 |
|---|---|---|
| 申告方式 | 青色申告 | 白色申告 |
| 経費算入額 | 全額(適正な金額の範囲内) | 配偶者86万円、その他の親族50万円まで |
| 事前届出 | 必要(青色事業専従者給与に関する届出書) | 不要 |
| 給与支払の要否 | 実際に支払う必要あり | 支払不要(控除のみ) |
| 配偶者控除との併用 | 不可 | 不可 |
| 給与所得控除 | 専従者側で適用可能(最低55万円) | 適用なし |
| 賞与・昇給 | 届出の範囲内で可能 | 関係なし(定額控除) |
この表からわかるように、青色事業専従者給与は事前の届出や実際の給与支払いが必要というハードルはありますが、節税効果は白色申告の専従者控除を大きく上回ります。
専従者給与を活用した節税効果の具体例
実際にどれくらいの節税効果があるのか、具体的な事例で見てみましょう。
- 専従者給与なしの場合:事業所得500万円に対して所得税約48万円+住民税50万円+国民健康保険料約70万円=合計約168万円
- 配偶者に年間200万円支払った場合:事業所得300万円に対して所得税約18万円+住民税30万円+国民健康保険料約45万円=合計約93万円(本人分のみ)
- 配偶者側:給与所得200万円(給与所得控除後132万円)に対して所得税約3万円+住民税約6万円=合計約9万円
- 合計負担額:約102万円
- 節税効果:168万円−102万円=約66万円の削減
このように、専従者給与を活用することで、同じ世帯収入でも税金・社会保険料の負担を年間数十万円単位で削減できます。特に事業所得が高い個人事業主ほど、所得税の累進課税により節税効果が大きくなります。
青色事業専従者給与の要件を完全理解する
青色事業専従者給与として認められるためには、税法上定められた複数の要件を満たす必要があります。一つでも欠けると経費として認められないため、すべての要件を正確に理解しておきましょう。
青色申告をしていること
専従者給与を経費計上するための大前提は、「青色申告の承認」を受けていることです。青色申告の承認を受けるためには、事業開始日から2ヶ月以内(または適用を受けようとする年の3月15日まで)に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
すでに事業を営んでいる方が今年から青色申告を始めたい場合は、原則として前年の3月15日までに申請書を提出しなければなりません。この期限を過ぎると、翌年からしか青色申告ができないため、専従者給与の適用も1年遅れることになります。
青色申告の要件や65万円控除については、青色申告65万円控除の要件とは?2024年最新版|e-Tax必須化の注意点で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
青色事業専従者給与に関する届出書を期限内に提出すること
専従者給与を経費にするためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。この届出書の提出期限は以下のとおりです。
- 新たに専従者を雇う場合:専従者がいることとなった日から2ヶ月以内
- 開業と同時に専従者を雇う場合:開業日から2ヶ月以内
- 年の途中から適用する場合:その年の3月15日まで(ただし1月16日以降の開業・専従開始の場合は2ヶ月以内)
例えば、1月1日から配偶者に専従者として働いてもらいたい場合、前年の12月中、遅くとも当年の3月15日までに届出書を提出する必要があります。届出書には以下の内容を記載します。
- 専従者の氏名・続柄・生年月日
- 従事する仕事の内容
- 従事の程度(月間何日程度など)
- 給与の金額・支払時期(月額・賞与等)
- 昇給の基準
生計を一にする配偶者その他の親族であること
専従者になれるのは「生計を一にする配偶者その他の親族」に限られます。「生計を一にする」とは、必ずしも同居している必要はありませんが、生活費を共有している関係を指します。
具体的には以下のような関係が該当します。
- 配偶者(事実婚は含まれず、法律上の配偶者のみ)
- 子・孫
- 父母・祖父母
- 兄弟姉妹
- その他の6親等内の血族、3親等内の姻族
別居していても仕送りをしている大学生の子や、別世帯だが生活費を援助している両親なども「生計を一にする」と認められる場合があります。ただし、完全に独立して生計を立てている親族は対象外です。
その年の12月31日現在で15歳以上であること
専従者になれるのは、その年の12月31日時点で満15歳以上の親族に限られます。これは義務教育を終えた年齢という基準です。例えば、12月31日時点で14歳の子どもに給料を払っても、専従者給与としては認められません。
なお、年齢判定は年末時点で行うため、年の途中で15歳になった場合でも、年末時点で15歳であればその年の1月から専従者給与を経費計上できます。
年間6ヶ月超(または従事可能期間の半分超)専ら従事すること
「専従者」の名のとおり、その事業に「専ら従事」することが要件です。具体的には、その年を通じて6ヶ月を超える期間、その事業に専従していることが必要です。
以下のようなケースでは専従者として認められない可能性が高いです。
- 配偶者が別の会社でフルタイム勤務している
- 学生として学業が本分である(大学に通いながら事業の手伝いをする程度)
- 他の事業で事業所得を得ている
- 年の途中で就職・転職した(専従期間が6ヶ月未満)
ただし、年の途中で開業した場合や、専従者が年の途中から従事し始めた場合は、「従事可能期間の2分の1を超える期間」専従していれば要件を満たします。例えば7月に開業した場合、7月〜12月の6ヶ月のうち3ヶ月超(実質4ヶ月以上)専従していればOKです。
▲ 青色事業専従者給与の要件と届出書の書き方を動画で解説
青色事業専従者給与に関する届出書の書き方と提出方法
専従者給与を経費にするためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を正確に記入し、期限内に税務署へ提出する必要があります。ここでは届出書の具体的な書き方と提出方法を解説します。
届出書の入手方法
青色事業専従者給与に関する届出書は、以下の方法で入手できます。
- 国税庁ホームページからダウンロード:国税庁の「[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続」ページからPDFをダウンロードして印刷
- 税務署で入手:管轄の税務署に行けばその場で用紙をもらえます
- 郵送請求:税務署に電話して郵送してもらうことも可能
用紙はA4サイズ1枚で、記入項目はそれほど多くありません。控え用として2部作成することをおすすめします。
届出書の記入項目と書き方
届出書には以下の項目を記入します。各項目について詳しく見ていきましょう。
- 提出先:「○○税務署長」と記入(納税地を管轄する税務署)
- 提出日:実際に提出する日付
- 納税地:住所地・居所地・事業所等のいずれかにチェック
- 住所:郵便番号・住所を記入
- 電話番号:日中連絡がとれる番号
- 氏名・屋号:事業主の氏名と屋号(あれば)、押印
- 氏名・続柄:専従者の氏名と続柄(例:妻、父、長男など)
- 生年月日:15歳以上であることを確認できるように正確に記入
- 経験年数等:その業務に従事した年数(初年度なら「0年」)
- 従事の程度:「毎日」「週5日」など、具体的に記入
- 仕事の内容:具体的な業務内容を記入(例:「経理・記帳業務全般」「顧客対応・事務作業」「Web制作補助」など)
- 給与の金額:月額または年額を記入(例:「月額200,000円」「年額2,400,000円」)
- 賞与の金額:賞与を支給する場合は記入(例:「夏・冬各300,000円」「年2回 各500,000円」)
- 支払時期:給与・賞与それぞれの支払時期(例:「毎月25日」「6月・12月」)
- 昇給の基準:昇給する場合の基準(例:「業績に応じて年1回見直し」「物価上昇率に応じて改定」など)
記入時の注意点とよくある間違い
届出書を記入する際、以下の点に注意してください。
| 項目 | よくある間違い | 正しい記入方法 |
|---|---|---|
| 給与の金額 | 「適宜」「応相談」など曖昧な記載 | 具体的な金額を明記(後で変更可能なので余裕を持った金額に) |
| 仕事の内容 | 「手伝い」「雑務」など抽象的 | 具体的な業務を列挙(経理、記帳、顧客対応、書類作成など) |
| 従事の程度 | 「時々」「暇なとき」 | 「毎日」「週5日」など専従を証明できる記載 |
| 提出期限 | 期限後に提出 | 3月15日まで、または専従開始から2ヶ月以内に必ず提出 |
| 賞与 | 賞与を支払う予定がないのに記載 | 支払う予定がなければ空欄でOK(後で変更届で追加可能) |
給与の金額は届出書に記載した額が上限となりますが、実際に支払う金額は届出額以下であれば問題ありません。そのため、余裕を持った金額(実際に支払う予定額よりやや多め)を記載しておくと安心です。ただし、あまりに過大な金額(業務内容に見合わない金額)は避けましょう。
提出方法と提出期限
記入した届出書は、以下のいずれかの方法で税務署に提出します。
- 税務署窓口に直接持参:控え用も持参し、受領印をもらいましょう
- 郵送:控え用と返信用封筒(切手貼付)を同封すれば、受領印を押した控えが返送されます
- e-Taxで電子申請:マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば自宅から提出可能
提出期限は以下のとおりです。
- 既存事業で年初から適用:その年の3月15日まで
- 年の途中から専従者を雇う場合:専従者がいることとなった日から2ヶ月以内
- 新規開業の場合:開業日から2ヶ月以内(開業が1月1日〜1月15日の場合は3月15日まで)
届出内容を変更する場合の手続き
届出書を提出した後で、給与の金額や支払時期を変更したい場合は、変更後の内容を記載した新しい届出書を提出します。この場合、届出書の上部に「変更届出書」と明記します。
変更届は、変更しようとする年の3月15日までに提出する必要があります(年の途中で変更する場合は変更日から2ヶ月以内)。例えば、今年の途中で給与を月15万円から20万円に増額したい場合、増額する月から2ヶ月前までに変更届を提出すれば、増額後の金額まで経費計上できます。
専従者給与はいくらに設定すべきか?適正金額の考え方
専従者給与の金額設定は、節税効果を最大化しつつ税務署から否認されないバランスが重要です。「いくらまで認められるのか」は多くの方が気になるポイントですが、明確な上限額は法律で定められていません。ただし、「適正な金額」である必要があり、業務内容・労働時間・同業他社の水準などを総合的に勘案して決定する必要があります。
「適正な金額」の判断基準
国税庁の通達では、専従者給与が適正かどうかは以下の観点から判断されます。
- 労務の対価として相当であること:その専従者が従事する仕事の内容、性質、提供の程度等を考慮して相当と認められる金額
- 同業種・同規模の使用人給与との比較:同じような事業規模・業種で、同じような仕事をしている従業員の給与水準
- 事業主の所得との均衡:専従者給与が事業主本人の取り分より極端に多い場合は否認されるリスクあり
- 過去の支給実績との整合性:前年と比べて業務内容が変わらないのに給与が2倍になったなどは説明が必要
業種・業務内容別の相場感
業種や業務内容によって適正とされる金額の相場は異なります。以下は一般的な目安です。
| 業種・業務内容 | 業務例 | 月額の目安 | 年額の目安 |
|---|---|---|---|
| 一般事務・記帳業務 | 帳簿記帳、書類整理、電話応対 | 10万円〜15万円 | 120万円〜180万円 |
| 経理・総務業務 | 会計ソフト入力、請求書発行、給与計算 | 15万円〜25万円 | 180万円〜300万円 |
| 営業・接客業務 | 顧客対応、営業活動、販売業務 | 18万円〜30万円 | 216万円〜360万円 |
| 専門業務(有資格者) | 税理士補助、設計補助、プログラミング | 25万円〜40万円 | 300万円〜480万円 |
| パート程度の勤務 | 週3-4日、1日4-6時間程度の業務 | 8万円〜12万円 | 96万円〜144万円 |
これらはあくまで目安であり、実際の業務内容や地域、事業規模によって変動します。重要なのは、「なぜその金額なのか」を合理的に説明できることです。
節税効果を最大化する給与設定のシミュレーション
節税効果を最大化するには、事業主と専従者の所得を適切に分散させることが重要です。具体的なシミュレーションを見てみましょう。
パターン1:専従者給与なし
- 事業所得:800万円
- 所得税:約104万円
- 住民税:約80万円
- 国民健康保険料:約95万円(上限)
- 合計負担:約279万円
パターン2:専従者給与年240万円(月20万円)
- 事業主の事業所得:560万円
- 事業主の税金等:所得税約56万円+住民税56万円+国保約75万円=187万円
- 専従者の給与所得:240万円(給与所得控除後:162万円)
- 専従者の税金等:所得税約4万円+住民税約10万円+国保約15万円=29万円
- 世帯合計負担:216万円
- 節税効果:279万円−216万円=63万円
パターン3:専従者給与年360万円(月30万円)
- 事業主の事業所得:440万円
- 事業主の税金等:所得税約38万円+住民税44万円+国保約65万円=147万円
- 専従者の給与所得:360万円(給与所得控除後:246万円)
- 専従者の税金等:所得税約10万円+住民税約18万円+国保約30万円=58万円
- 世帯合計負担:205万円
- 節税効果:279万円−205万円=74万円
このように、専従者給与の金額によって節税効果は変わります。ただし、金額を高くすればするほど良いわけではなく、以下の点に注意が必要です。
- 業務内容との見合い:月30万円を支払うなら、それに見合った業務量・専門性が必要
- 事業主の生活費確保:専従者給与を払いすぎて事業主本人の生活費が不足しては本末転倒
- 給与所得控除の活用:専従者側では給与所得控除(最低55万円)が適用されるため、年間55万円以上支払うと控除の恩恵を受けられる
- 社会保険料の負担増:専従者の給与が増えると、その分の国民健康保険料・国民年金保険料の負担も増える
配偶者控除・扶養控除との関係
専従者給与を支払う場合の重要な注意点として、配偶者控除・扶養控除との関係があります。
そのため、以下のような検討が必要です。
- 専従者給与が年間86万円以下の場合:白色申告の事業専従者控除(配偶者86万円)と同等なので、わざわざ青色専従者にする意味は薄い
- 専従者給与が年間100万円程度の場合:配偶者控除(38万円〜48万円の控除)を失うデメリットと、専従者給与による経費化のメリットを比較検討する
- 専従者給与が年間150万円以上の場合:明らかに専従者給与のメリットが大きいので積極的に活用すべき
実際に業務を手伝ってもらっている場合、年間で150万円以上の給与を支払えるのであれば、配偶者控除を諦めて専従者給与を選択する方が有利になるケースが多いです。
給与額設定の具体的な手順
適正な専従者給与額を設定するための手順をまとめます。
- 業務内容を明確化:専従者が担当する業務を具体的にリストアップ
- 労働時間を算定:週何日、1日何時間働くのかを明確にする
- 同業他社の給与水準を調査:ハローワークの求人情報や業界の給与相場を参考にする
- 事業所得とのバランスを確認:専従者給与を払った後の事業主の所得が極端に少なくならないか確認
- 複数パターンでシミュレーション:月15万円、20万円、25万円など、複数の金額で税負担を試算
- 賞与の有無を検討:業績連動で賞与を設定することで柔軟性を持たせる
- 届出額は余裕を持って設定:実際に支払う予定額より1〜2割多めに届出(上限を確保)
なお、会計ソフトを使えば専従者給与のシミュレーションも簡単にできます。freeeやマネーフォワードなどの主要会計ソフトについては、freee vs マネーフォワード vs 弥生|個人事業主向け会計ソフト徹底比較2024で詳しく比較していますので、ご参照ください。
専従者給与の実務処理|給与の支払い方と帳簿記入
専従者給与を経費として認めてもらうためには、適切な実務処理が不可欠です。給与を「支払ったことにする」のではなく、実際に支払い、証拠を残し、正確に記帳する必要があります。
給与の支払い方法と証拠書類
専従者給与は、以下のいずれかの方法で実際に支払う必要があります。
- 銀行振込:最も推奨される方法。振込記録が証拠として残る
- 現金手渡し:可能だが、給与台帳と領収書(受取印)を必ず作成する
- 事業用口座から専従者口座への振替:銀行振込と同様、記録が残るため安心
専従者給与の支払いに関して、以下の書類を作成・保管しておくことが重要です。
- 給与台帳:支払日、支払額、源泉徴収税額などを記録
- 給与明細書:専従者に交付し、控えも保管
- 源泉徴収簿:月々の源泉徴収税額を記録(年末調整にも使用)
- 銀行振込の記録:通帳のコピーやネットバンキングの振込明細
- 出勤簿・勤務記録:必須ではないが、「専ら従事」を証明するために有効
給与の仕訳と帳簿記入
専従者給与を支払った際の仕訳方法を具体例で見てみましょう。
借方:専従者給与 200,000円 / 貸方:普通預金 200,000円
※源泉徴収税額がある場合は、実際の振込額は源泉徴収後の金額になります。
借方:専従者給与 200,000円 / 貸方:普通預金 197,000円
預り金(源泉税)3,000円
翌月10日に源泉所得税を納付する際:
借方:預り金(源泉税)3,000円 / 貸方:普通預金 3,000円
主要な会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)では、専従者給与の入力項目が用意されており、自動で適切な勘定科目に振り分けられます。freeeの使い勝手についてはfreee確定申告の評判は?実際に使った個人事業主100人の口コミ調査で詳しくレビューしていますので参考にしてください。
源泉徴収の要否と計算方法
専従者給与から源泉徴収が必要かどうかは、事業主が「源泉徴収義務者」かどうかによって異なります。
| 事業主の状況 | 源泉徴収の要否 |
|---|---|
| 常時2人以下の家事使用人のみを雇用 | 源泉徴収不要(税務署への届出も不要) |
| 専従者以外に従業員(パート・アルバイト含む)を雇用している | 源泉徴収必要(給与支払事務所等の開設届出書を提出) |
| 専従者のみで他に従業員なし | 源泉徴収不要 |
多くの個人事業主の場合、専従者以外に従業員を雇っていなければ源泉徴収は不要です。ただし、源泉徴収をしなくても年末調整は必要なく、専従者自身が確定申告で納税することになります。
源泉徴収が必要な場合、給与額に応じた源泉徴収税額を「給与所得の源泉徴収税額表」に基づいて計算します。月額給与が20万円(扶養親族なし)の場合、源泉徴収税額は約4,000円程度です。
年末調整と源泉徴収票の発行
源泉徴収をしている場合は、年末に年末調整を行い、翌年1月末までに専従者に源泉徴収票を交付する必要があります。また、税務署には「給与支払報告書」と「源泉徴収票」を提出します(1月末まで)。
源泉徴収をしていない場合でも、専従者が確定申告をするために給与の支払額を証明する書類(支払証明書など)を作成しておくと親切です。専従者
