確定申告の税理士費用を経費にできる?仕訳方法と勘定科目を解説


「確定申告を税理士に依頼したいけれど、その費用は経費にできるの?」「税理士への顧問料や報酬はどう仕訳すればいいの?」多くの個人事業主やフリーランスがこの疑問を抱えています。税理士費用は決して安くない出費だからこそ、正しく経費計上して節税につなげたいものです。

この記事では、税理士費用が経費として認められる根拠から、具体的な仕訳方法、勘定科目の選び方、消費税の扱いまで、実務に即した形で徹底解説します。青色申告・白色申告それぞれのケースや、顧問契約・スポット契約の違いによる会計処理の違いも詳しく説明します。

さらに、税理士費用を経費にする際の注意点、税務調査で指摘されないためのポイント、実際の仕訳例まで、現役の個人事業主が知っておくべき情報を網羅的にお届けします。この記事を読めば、税理士費用の経費処理で迷うことはなくなり、自信を持って確定申告に臨めるようになるでしょう。

税理士費用を正しく経費計上することで、所得税・住民税の節税効果が期待できます。会計屋.comが、あなたの疑問をすべて解決します。

税理士費用の経費計上イメージ図
税理士費用は適切に経費計上することで節税につながります

税理士費用は経費にできる?基本的な考え方

税理士費用が経費として認められる理由

結論から言えば、個人事業主やフリーランスが事業に関連して支払った税理士費用は、全額経費として計上できます。これは所得税法上、「事業を営むために直接必要な費用」として認められているためです。

税理士費用が経費になる根拠は、事業所得の計算において必要経費と認められる要件を満たしているからです。所得税法第37条では、「その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする」と定められています。

税理士に支払う報酬は、正確な帳簿作成や適正な確定申告を行うための専門的なサービスであり、事業を円滑に運営するために必要不可欠な費用です。したがって、販売費及び一般管理費として必要経費に該当します。

ポイント: 税理士費用は「事業を営むために直接必要な費用」として所得税法上認められており、青色申告・白色申告のいずれでも経費計上が可能です。

経費にできる税理士費用の範囲

税理士費用として経費計上できる範囲は幅広く、以下のようなものが含まれます。

  • 顧問料・月次報酬: 税理士と顧問契約を結んでいる場合の月額料金
  • 確定申告書作成費用: 確定申告の代行や申告書作成にかかる費用
  • 記帳代行費用: 日々の取引の記帳を税理士に依頼した場合の費用
  • 税務相談料: スポット的な税務相談やアドバイスにかかる費用
  • 税務調査立会費用: 税務調査の際に税理士に立ち会ってもらう費用
  • 年末調整代行費用: 従業員の年末調整を依頼した場合の費用(従業員がいる場合)
  • 給与計算代行費用: 給与計算を税理士に委託した場合の費用
  • 届出書作成費用: 開業届や青色申告承認申請書などの作成・提出代行費用

これらすべてが事業に関連する支出であれば、経費として計上することができます。ただし、個人的な資産の相続や贈与に関する税理士費用は事業とは無関係なため、経費にはできません。

経費にできる税理士費用の一覧表
税理士費用にはさまざまな種類があり、事業関連のものはすべて経費計上可能です

経費にできない税理士費用の例

一方で、以下のような税理士費用は事業とは関係がないため、経費として計上することはできません。

  • 相続税申告の費用: 個人的な相続に関する税理士費用
  • 贈与税申告の費用: 個人間の贈与に関する税理士費用
  • 個人の不動産売却に関する相談料: 事業用でない個人資産の売却相談
  • プライベートな税務相談: 事業に関係しない個人的な税金の相談
注意: 事業所得の計算とは関係のない個人的な税務相談や申告代行費用は経費にできません。事業用と個人用が混在する場合は、合理的な基準で按分する必要があります。

税理士費用の勘定科目はどれを使うべきか

主な勘定科目の選択肢

税理士費用を経費計上する際、いくつかの勘定科目が考えられます。それぞれの特徴を理解して、自分の事業に適したものを選びましょう。

勘定科目 特徴 推奨度
支払手数料 最も一般的。専門家への報酬全般に使用 ★★★★★
外注費 外部専門家への業務委託として処理 ★★★★☆
顧問料 顧問契約がある場合に独立科目として使用 ★★★☆☆
雑費 金額が少額・頻度が低い場合のみ ★★☆☆☆
諸会費 税理士会への会費など(税理士側が使用) ×(不適切)

「支払手数料」が最も推奨される理由

個人事業主が税理士費用を計上する際には、「支払手数料」の勘定科目を使うのが最も一般的で推奨されます。この科目は、専門家に支払う報酬やサービス対価を処理するために設けられており、税理士費用にぴったり合致します。

支払手数料を使うメリットは以下の通りです。

  • 税理士費用であることが明確に分かる
  • 税務署や金融機関からも理解されやすい
  • 決算書上で適切に分類できる
  • 他の専門家報酬(弁護士、司法書士など)とも統一して管理できる

会計ソフトを使用している場合、多くのソフトでデフォルトで「支払手数料」という科目が用意されています。freee vs マネーフォワード vs 弥生|個人事業主向け会計ソフト徹底比較2024でも紹介していますが、主要な会計ソフトではすべてこの科目が標準で設定されています。

STEP 1: 会計ソフトで「支払手数料」の勘定科目を選択
STEP 2: 摘要欄に「税理士顧問料○月分」「確定申告書作成費用」など具体的に記載
STEP 3: 金額と日付を入力して登録
会計ソフトでの支払手数料入力画面
会計ソフトでは支払手数料の勘定科目を選択して入力します

「外注費」を使用するケース

「外注費」という勘定科目を使うこともできます。これは外部の専門家に業務を委託したという意味合いが強い科目です。記帳代行や給与計算代行など、継続的な業務を委託している場合は外注費として処理しても問題ありません。

ただし、外注費は本来、製造業における外部工場への加工委託や、サービス業における業務委託など、事業の中核的な業務を外部に委託する際に使われることが多い科目です。税理士費用を外注費として処理しても誤りではありませんが、支払手数料のほうがより適切と言えます。

「雑費」は避けるべき

金額が少額で年に数回しか発生しない場合、「雑費」として処理したくなるかもしれません。しかし、税理士費用を雑費で処理するのは避けるべきです。

その理由は以下の通りです。

  • 雑費が多いと税務署から「管理が甘い」と見られる可能性がある
  • 決算書を見たときに何の費用か分かりにくい
  • 金融機関からの評価が下がる可能性がある
  • 自分自身の経営分析にも役立たない

一般的に、雑費は売上の1〜3%以内に抑えるのが望ましいとされています。明確に分類できる支出は、適切な勘定科目で処理しましょう。

▲ 税理士費用の勘定科目選択について解説した動画

税理士費用の具体的な仕訳方法

基本的な仕訳パターン

税理士費用の仕訳は、支払方法や契約形態によって多少異なりますが、基本的なパターンは以下の通りです。

【パターン1】現金で税理士費用を支払った場合


借方: 支払手数料 33,000円 / 貸方: 現金 33,000円
摘要: 税理士顧問料 1月分

【パターン2】銀行口座から振込で支払った場合


借方: 支払手数料 33,000円 / 貸方: 普通預金 33,660円
借方: 支払手数料 660円(振込手数料)
摘要: 税理士顧問料 1月分(振込手数料含む)

振込手数料も支払手数料として処理できますが、「支払手数料」または「雑費」として別途計上することもできます。金額が少額なので、税理士費用と一緒に支払手数料としてまとめて処理するのが簡便です。

消費税の扱いと税込・税抜の仕訳

税理士費用には消費税が課税されます。消費税の処理方法には「税込経理方式」と「税抜経理方式」の2種類があり、どちらを採用しているかで仕訳が変わります。

【税込経理方式の場合】

税込経理方式では、消費税を含めた金額を経費として計上します。個人事業主で免税事業者(年間売上1,000万円以下)の場合は、必ず税込経理方式になります。


借方: 支払手数料 33,000円 / 貸方: 普通預金 33,000円
摘要: 税理士顧問料 1月分(税込)

【税抜経理方式の場合】

税抜経理方式では、本体価格と消費税を分けて処理します。課税事業者で消費税の申告義務がある場合に選択できます。


借方: 支払手数料 30,000円 / 貸方: 普通預金 33,000円
借方: 仮払消費税 3,000円
摘要: 税理士顧問料 1月分(税抜30,000円+消費税3,000円)

税込経理と税抜経理の比較図
消費税の処理方法によって仕訳が異なります
ポイント: 年間売上1,000万円以下の免税事業者は税込経理方式を使用します。課税事業者でも、多くの個人事業主は処理が簡単な税込経理方式を選んでいます。

顧問契約とスポット契約の仕訳の違い

税理士との契約形態によって、仕訳のタイミングや処理方法が異なります。

【顧問契約の場合】毎月定額

税理士と顧問契約を結んでいる場合、毎月一定額の顧問料を支払います。この場合は毎月同じ仕訳を繰り返します。


1月分: 借方: 支払手数料 33,000円 / 貸方: 普通預金 33,000円
2月分: 借方: 支払手数料 33,000円 / 貸方: 普通預金 33,000円
3月分: 借方: 支払手数料 33,000円 / 貸方: 普通預金 33,000円
(以下毎月同様)

【スポット契約の場合】確定申告時など

確定申告時期だけ税理士に依頼するスポット契約の場合、年1回の仕訳になります。


3月15日: 借方: 支払手数料 110,000円 / 貸方: 普通預金 110,000円
摘要: 令和5年分確定申告書作成費用

スポット契約の場合、支払時期が年をまたぐこともあります。例えば、令和5年分の確定申告を令和6年3月に依頼し、令和6年4月に支払った場合でも、令和6年の経費として計上します。

前払い・後払いの処理方法

税理士費用を前払いした場合や後払いする場合の処理方法も理解しておきましょう。

【前払いした場合】

例えば、12月に翌年1月分の顧問料を先払いした場合、「前払費用」として処理します。


12月25日(支払時):
借方: 前払費用 33,000円 / 貸方: 普通預金 33,000円
摘要: 税理士顧問料 翌年1月分前払

1月1日(年明け):
借方: 支払手数料 33,000円 / 貸方: 前払費用 33,000円
摘要: 税理士顧問料 1月分計上

【後払いする場合(未払い)】

12月分の顧問料を翌年1月に支払う場合、12月末時点で「未払費用」として計上します。


12月31日(決算時):
借方: 支払手数料 33,000円 / 貸方: 未払費用 33,000円
摘要: 税理士顧問料 12月分未払計上

1月15日(支払時):
借方: 未払費用 33,000円 / 貸方: 普通預金 33,000円
摘要: 税理士顧問料 12月分支払

個人事業主の場合、決算日は12月31日ですので、年末に未払いの税理士費用があれば未払費用として計上することで、その年の経費として認識できます。

実際のケーススタディ:年収別の税理士費用と仕訳例

ケース1:年収300万円のフリーランスデザイナーAさん

Aさんは独立1年目のフリーランスデザイナーで、年収は300万円です。確定申告だけを税理士に依頼することにしました。

  • 契約形態: スポット契約(確定申告のみ)
  • 税理士費用: 50,000円(税込55,000円)
  • 支払時期: 令和6年3月
  • 会計方式: 税込経理方式(免税事業者のため)

仕訳例:


3月15日:
借方: 支払手数料 55,000円 / 貸方: 普通預金 55,000円
摘要: 令和5年分確定申告書作成費用

Aさんのように年収が少ない段階では、スポット契約で必要最小限のサポートを受けるのが現実的です。確定申告書作成費用55,000円を経費計上することで、所得税・住民税の節税効果があります。仮に所得税率10%、住民税率10%とすると、55,000円×20%=11,000円の税負担が軽減されます。

フリーランスデザイナーの確定申告書類
年収300万円程度のフリーランスはスポット契約が現実的な選択肢です

ケース2:年収800万円のフリーランスエンジニアBさん

Bさんはフリーランスエンジニアとして独立3年目で、年収は800万円です。記帳や確定申告に時間を取られるのを避けるため、税理士と顧問契約を結んでいます。

  • 契約形態: 顧問契約(記帳代行なし、月次相談+確定申告)
  • 月額顧問料: 20,000円(税込22,000円)
  • 確定申告報酬: 80,000円(税込88,000円)
  • 年間合計: 20,000円×12ヶ月+80,000円=320,000円(税込352,000円)
  • 会計方式: 税込経理方式

仕訳例:


毎月(1月〜12月):
借方: 支払手数料 22,000円 / 貸方: 普通預金 22,000円
摘要: 税理士顧問料 ○月分

3月(確定申告時):
借方: 支払手数料 88,000円 / 貸方: 普通預金 88,000円
摘要: 令和5年分確定申告報酬

Bさんの場合、年間で352,000円の税理士費用を経費計上できます。年収800万円で所得税率が23%、住民税率が10%とすると、352,000円×33%=116,160円の税負担軽減効果があります。さらに、税理士に任せることで本業に集中でき、時間的価値も大きいと言えます。

フリーランスエンジニアの経費については、フリーランスエンジニアの経費はどこまでOK?認められる経費一覧と節税術でも詳しく解説しています。

ケース3:年収1,500万円の個人事業主Cさん(従業員2名)

Cさんはコンサルティング業を営む個人事業主で、年収は1,500万円、従業員2名を雇用しています。税理士には記帳代行から給与計算、確定申告までフルサポートを依頼しています。

  • 契約形態: 顧問契約(記帳代行・給与計算・確定申告)
  • 月額顧問料: 40,000円(税込44,000円)
  • 記帳代行費用: 月額15,000円(税込16,500円)
  • 給与計算費用: 月額10,000円(税込11,000円)
  • 確定申告報酬: 150,000円(税込165,000円)
  • 年末調整費用: 30,000円(税込33,000円)
  • 年間合計: (40,000+15,000+10,000)×12+150,000+30,000=960,000円(税込1,056,000円)
  • 会計方式: 税抜経理方式(課税事業者のため)

仕訳例(税抜経理方式):


毎月(1月〜12月):
借方: 支払手数料 40,000円 / 貸方: 普通預金 71,500円
借方: 支払手数料 15,000円
借方: 支払手数料 10,000円
借方: 仮払消費税 6,500円
摘要: 税理士顧問料・記帳代行・給与計算 ○月分

3月(確定申告時):
借方: 支払手数料 150,000円 / 貸方: 普通預金 165,000円
借方: 仮払消費税 15,000円
摘要: 令和5年分確定申告報酬

12月(年末調整時):
借方: 支払手数料 30,000円 / 貸方: 普通預金 33,000円
借方: 仮払消費税 3,000円
摘要: 従業員年末調整費用

Cさんの場合、年間で1,056,000円の税理士費用を経費計上できます。年収1,500万円だと所得税率が33%、住民税率が10%なので、税負担軽減効果は非常に大きくなります(実際の節税額は所得金額により異なります)。

ポイント: 年収が高くなるほど、また従業員を雇用している場合は、税理士への業務委託範囲が広がり、費用も高くなります。しかし、その分経費計上額も大きくなり、節税効果も高まります。
年収別の税理士費用相場グラフ
年収が増えるほど税理士費用も高くなりますが、節税効果も大きくなります

▲ フリーランスの税理士費用相場と選び方を解説した動画

青色申告と白色申告での税理士費用の扱い

青色申告での税理士費用

青色申告を選択している個人事業主は、税理士費用をそのまま経費として計上できます。青色申告の場合、複式簿記による帳簿記帳が必要ですが、これを税理士に依頼する費用も当然経費になります。

青色申告には最大65万円の青色申告特別控除という大きなメリットがあります。青色申告65万円控除の要件とは?2024年最新版|e-Tax必須化の注意点で詳しく解説していますが、e-Taxでの電子申告または電子帳簿保存を行えば65万円控除が受けられます。

税理士に依頼することで、この65万円控除の要件を確実に満たせるというメリットもあります。自分で帳簿をつけて要件を満たせなかった場合、65万円ではなく10万円控除しか受けられないため、55万円分の控除を失うことになります。これは所得税率20%の人なら11万円、30%の人なら16.5万円の税負担増になります。

項目 青色申告 白色申告
税理士費用の経費計上 可能(全額) 可能(全額)
特別控除 最大65万円 なし
帳簿の複雑さ 複式簿記(難しい) 簡易帳簿(簡単)
税理士依頼の必要性 中〜高 低〜中
赤字の繰越 3年間可能 不可

白色申告での税理士費用

白色申告を選択している個人事業主も、税理士費用を経費として計上できます。白色申告は簡易帳簿で済むため、税理士に依頼する必要性は低いと考える人もいますが、正確な申告のために税理士を利用するケースもあります。

白色申告でも税理士費用は全額経費になりますが、青色申告特別控除がない分、節税効果は青色申告より限定的です。年収がある程度ある場合(目安として300万円以上)は、青色申告に切り替えたほうが税理士費用を払ってもトータルで節税になる可能性が高いです。

注意: 白色申告を続けている場合、税理士からも青色申告への切り替えを勧められることが多いでしょう。青色申告承認申請書は、その年の3月15日まで(または開業日から2ヶ月以内)に提出する必要があります。

青色申告と税理士費用のコストパフォーマンス

「税理士に依頼する費用を払うなら、自分でやったほうが安いのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、青色申告65万円控除を確実に受けることと、税理士に依頼するコストを比較すると、多くの場合で税理士に依頼したほうが有利になります。

【計算例】年収600万円、経費150万円の場合

  • 所得金額: 600万円 – 150万円 = 450万円
  • 青色申告特別控除: 65万円
  • 課税所得: 450万円 – 65万円 – 各種控除 = 約300万円(基礎控除48万円のみと仮定)
  • 所得税率: 10%(195万円超330万円以下)
  • 青色控除による所得税軽減: 65万円×10% = 6.5万円
  • 住民税軽減: 65万円×10% = 6.5万円
  • 合計軽減額: 13万円

税理士費用が年間10万円程度であれば、青色申告控除の節税効果だけで十分にカバーできる計算になります。さらに、正確な申告による税務調査リスクの低減や、時間の節約という目に見えない価値も大きいです。

税理士費用を経費にする際の注意点

領収書・請求書の保管は必須

税理士費用を経費計上する際は、必ず領収書または請求書を保管してください。税務調査が入った際に、経費の証拠として提示する必要があります。

保管すべき書類は以下の通りです。

  • 税理士からの請求書: サービス内容、金額、消費税額が明記されたもの
  • 領収書: 支払った証拠となるもの
  • 振込明細: 銀行振込の場合、振込明細書や通帳記録
  • 契約書: 顧問契約書やサービス契約書

これらの書類は、個人事業主の場合は原則として7年間保存する義務があります(青色申告の場合)。白色申告の場合は5年間です。

保管のポイント: 紙の書類はファイルに年度別に整理し、デジタルデータも合わせて保管しておくと便利です。会計ソフトに領収書の写真を添付する機能がある場合は積極的に活用しましょう。
税理士費用の請求書と領収書の保管例
請求書や領収書は必ず保管し、年度別にファイリングしましょう

個人的な相談と事業の相談を区別する

税理士への相談内容が個人的なもの(相続税、贈与税、個人の不動産売却など)と事業に関するもの(確定申告、記帳代行、税務相談など)が混在している場合、事業に関する部分のみが経費になります。

例えば、税理士に以下の相談をした場合を考えてみましょう。

  • 事業の確定申告相談: 50,000円 → 経費計上可能
  • 親の相続税相談: 30,000円 → 経費計上不可

この場合、請求書に明細が分かれていれば50,000円のみを経費計上します。もし一括請求されている場合は、税理士に事業分と個人分を区別した請求書の再発行を依頼するか、自分で合理的な基準で按分する必要があります。

高額な税理士費用は税務署から注目される可能性

税理士費用が売上や所得に対して不自然に高額な場合、税務調査で指摘される可能性があります。一般的に、税理士費用は売上の1〜3%程度が相場とされています。

例えば、年間売上500万円の個人事業主が、税理士費用として年間200万円を計上していたら、明らかに不自然です。このような場合、税務署は「実際には別の支出を税理士費用として偽装しているのでは?」と疑います。

もちろん、複雑な取引や特殊な税務案件があれば税理士費用が高くなることもありますが、その場合は合理的な説明ができるようにしておきましょう。

注意: 税理士費用が不自然に高額な場合、税務調査で「架空経費ではないか」と疑われる可能性があります。適正な範囲内であることを説明できるよう、契約内容やサービス内容を明確にしておきましょう。

源泉徴収の必要性について

個人事業主が税理士に報酬を支払う場合、原則として源泉徴収の義務はありません。源泉徴収が必要なのは、従業員を雇用している事業主や、税理士以外の専門家(ライター、デザイナーなど)に報酬を支払う場合です。

ただし、税理士との契約内容によっては源泉徴収が必要なケースもあります。一般的には以下のようになります。

事業主の状況 源泉徴収義務 詳細
従業員を雇用していない個人事業主 原則不要 源泉徴収なしで全額支払い可能
従業員を雇用している個人事業主 必要 報酬の10.21%を源泉徴収
法人 必要 報酬の10.21%を源泉徴収

従業員を雇用している個人事業主の場合、税理士への報酬支払い時に10.21%(100万円超の部分は20.42%)の源泉所得税を差し引いて支払い、翌月10日までに税務署に納付する必要があります。

源泉徴収が必要な場合の仕訳例:


借方: 支払手数料 33,000円 / 貸方: 普通預金 29,631円
                / 貸方: 預り金(源泉税)3,369円
摘要: 税理士顧問料 1月分(源泉徴収後)

家族が経営する税理士事務所への支払い

配偶者や親族が経営する税理士事務所に報酬を支払う場合でも、通常の税理士費用として経費計上できます。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 報酬額が相場と比べて著しく高額でないこと
  • 実際にサービスの提供を受けていること
  • 契約書や請求書など、適切な証拠書類があること
  • 私的な金銭のやり取りと混同していないこと

親族間の取引は税務署から注目されやすいため、より慎重な証拠保全と説明責任が求められます。

会計ソフトを使った税理士費用の入力方法

freeeでの入力方法

freeeで税理士費用を入力する手順は以下の通りです。

STEP 1: ホーム画面から「取引」→「取引を登録」をクリック
STEP 2: 取引日を入力
STEP 3: 勘定科目で「支払手数料」を選択(または「外注費」)
STEP 4: 金額を入力(税込または税抜)
STEP 5: 取引先に「○○税理士事務所」と入力
STEP 6: 品目で「税理士顧問料」などと入力
STEP 7: 決済口座で「普通預金」または「現金」を選択
STEP 8: 「登録」をクリック

freeeは自動仕訳機能が優れており、銀行口座やクレジットカードを連携しておけば、税理士費用の振込も自動で取り込んで仕訳候補を表示してくれます。初回登録時に勘定科目を「支払手数料」に設定しておけば、2回目以降は自動で正しい勘定科目が提案されます。

freee確定申告の評判は?実際に使った個人事業主100人の口コミ調査でも紹介していますが、freeeは初心者でも使いやすく、税理士費用の入力もシンプルです。

freeeの取引入力画面
freeeでは直感的な操作で税理士費用を入力できます

マネーフォワードクラウド確定申告での入力方法

マネーフォワードクラウド確定申告での税理士費用の入力手順は以下の通りです。

STEP 1: メニューから「仕訳帳入力」を選択
STEP 2: 取引日を入力
STEP 3: 借方勘定科目で「支払手数料」を選択
STEP 4: 借方金額を入力
STEP 5: 貸方勘定科目で「普通預金」または「現金」を選択
STEP 6: 貸方金額を入力(借方と同額)
STEP 7: 摘要欄に「税理士顧問料 ○月分」などと入力
STEP 8: 「登録」をクリック

マネーフォワードは複式簿記の知識がある人にとっては直感的に使いやすい設計になっています。仕訳帳入力のほか、簡単入力モードもあるので、初心者でも安心です。

弥生会計オンラインでの入力方法

弥生会計オンラインでの税理士費用の入力手順は以下の通りです。

STEP 1: 「かんたん取引入力」を選択
STEP 2: 「支出」タブをクリック
STEP 3: 取引日を入力
STEP 4: 科目で「支払手数料」を選択
STEP 5: 取引先に「○○税理士事務所」と入力
STEP 6: 金額を入力
STEP 7: 摘要欄に「税理士顧問料」などと入力
STEP 8: 決済方法で「銀行」または「現金」を選択
STEP 9: 「登録」をクリック

弥生会計は長年の実績があり、特に税理士との連携機能に優れています。税理士に記帳代行を依頼している場合でも、自分で一部の入力を行う際に使いやすい設計です。

各会計ソフトの詳しい比較は、freee vs マネーフォワード vs 弥生|個人事業主向け会計ソフト徹底比較2024で解説しています。