「今年は赤字になってしまったから確定申告は不要だろう」と考えているフリーランスや個人事業主の方、実は大きな損をしている可能性があります。事業が赤字でも確定申告をすることで、翌年以降の税金を大幅に減らせる「純損失の繰越控除」という強力な節税制度が利用できるのです。この制度を知らずに申告しないと、将来の黒字年度で本来払わなくてよい税金を納めることになってしまいます。
本記事では、赤字でも確定申告すべき理由を税制の仕組みから徹底解説します。純損失の繰越控除の具体的なメリット、青色申告と白色申告での違い、実際の節税額シミュレーション、申告手続きの方法まで、フリーランス・個人事業主が知っておくべき情報を網羅的にお届けします。年収500万円のフリーランスが赤字100万円を繰り越した場合の具体例も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読むことで、赤字年度の確定申告が将来の節税にどれほど効果的か理解でき、損失申告の正しい手続き方法が分かります。創業初年度で赤字になった方、事業拡大のための設備投資で一時的に赤字になった方は特に必見です。正しい知識を身につけて、賢く節税しましょう。
赤字でも確定申告が必要な理由とは
個人事業主やフリーランスとして事業を営んでいる場合、収入から経費を差し引いた所得が赤字(マイナス)になることがあります。特に開業初年度や、大型設備投資を行った年、または売上が一時的に落ち込んだ年などは赤字決算になるケースが少なくありません。
多くの方が「所得がマイナスなら税金は発生しないし、確定申告も不要だろう」と考えがちですが、これは大きな誤解です。赤字の年こそ確定申告をすることで、将来的に大きな節税メリットを得られる可能性があります。
所得税法上の赤字申告の位置づけ
所得税法では、事業所得が赤字(純損失)になった場合、その損失を翌年以降に繰り越したり、前年に繰り戻したりできる制度が設けられています。この制度を利用するためには、赤字であっても必ず確定申告を行う必要があります。
確定申告をしなければ、税務署はあなたの事業が赤字だったことを把握できません。そのため、損失の繰越や繰戻しといった制度の適用を受けることができず、翌年以降に黒字になったときに本来払わなくてよい税金を納めることになってしまいます。
確定申告義務がない場合でも申告すべき理由
個人事業主の確定申告義務は、原則として「所得が基礎控除額(48万円)を超える場合」に発生します。赤字の場合は所得がマイナスですから、厳密には確定申告の法的義務はありません。しかし、以下の理由から申告を強く推奨します。
- 純損失の繰越控除:青色申告の場合、最大3年間赤字を繰り越せる
- 純損失の繰戻還付:前年の所得税の還付を受けられる可能性がある
- 国民健康保険料の軽減:所得が低い(赤字)ことの証明になり保険料が下がる
- 融資審査での信用:金融機関からの借入時に事業実態の証明になる
- 各種控除の適用:医療費控除や寄附金控除などが受けられる
特に純損失の繰越控除は、翌年以降に黒字になったときの節税効果が非常に大きいため、赤字年度の申告を怠ると数十万円単位で損をする可能性があります。
赤字申告のメリット一覧表
| メリット項目 | 青色申告 | 白色申告 | 具体的な効果 |
|---|---|---|---|
| 純損失の繰越控除 | 最大3年間 | 不可(一部例外あり) | 翌年以降の黒字と相殺できる |
| 純損失の繰戻還付 | 可能 | 不可 | 前年の所得税が還付される |
| 国民健康保険料の軽減 | ○ | ○ | 所得ゼロの証明で保険料減額 |
| 各種控除の適用 | ○ | ○ | 医療費控除等で還付の可能性 |
| 事業実態の証明 | ○ | ○ | 融資審査や各種申請に有利 |
| 住民税非課税の証明 | ○ | ○ | 各種減免制度の適用条件になる |
ご覧の通り、青色申告の場合は赤字申告のメリットが特に大きくなります。青色申告の承認を受けていない方は、まず青色申告65万円控除の要件を確認して、次年度からの青色申告承認申請を検討することをおすすめします。
純損失の繰越控除とは?仕組みを徹底解説
純損失の繰越控除は、個人事業主の節税において非常に強力な制度です。この制度を正しく理解し活用することで、赤字年度の損失を将来の税負担軽減に変えることができます。
純損失の繰越控除の基本的な仕組み
純損失の繰越控除とは、事業で生じた赤字(純損失)を翌年以降最大3年間にわたって繰り越し、将来の黒字所得から差し引くことができる制度です。これにより、黒字になった年の課税所得を減らし、所得税・住民税を軽減できます。
例えば、令和5年に100万円の赤字が出た場合、この損失を令和6年、令和7年、令和8年の所得から順次差し引くことができます。令和6年に150万円の黒字が出た場合、前年の赤字100万円を差し引いて、課税所得は50万円になります。
令和5年:事業所得 -100万円(赤字)
令和6年:事業所得 150万円(黒字)
→ 繰越控除適用後の課税所得:150万円 – 100万円 = 50万円
→ 大幅な節税効果!
青色申告と白色申告での違い
純損失の繰越控除の適用範囲は、青色申告と白色申告で大きく異なります。この違いを理解することが、赤字年度の確定申告戦略において極めて重要です。
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 繰越可能期間 | 最大3年間 | 原則不可 |
| 繰越可能な損失の種類 | すべての純損失 | 変動所得・被災事業用資産の損失のみ |
| 必要な手続き | 損失申告書の提出 | 該当する損失の場合のみ可能 |
| 繰戻還付 | 可能 | 不可 |
| 帳簿記帳要件 | 複式簿記が必要 | 簡易な記帳でよい |
白色申告でも一部の損失は繰り越せますが、一般的な事業の赤字は繰り越せません。これが青色申告を選択する最大のメリットの一つと言えるでしょう。
繰越控除の適用要件
純損失の繰越控除を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 青色申告の承認を受けていること:損失が生じた年とその後の各年において青色申告の承認を受けている必要があります
- 損失の生じた年に確定申告をしていること:赤字年度の申告を怠ると、その年の損失は繰り越せません
- 繰越期間中も連続して確定申告をすること:損失を繰り越す各年度も確定申告を行う必要があります
- 期限内申告であること:原則として確定申告期限内に申告する必要があります(やむを得ない事情がある場合は例外あり)
損失の種類と繰越可能な範囲
青色申告者が繰り越せる「純損失」には、以下のような種類があります。
- 事業所得の損失:通常の事業活動で生じた赤字
- 不動産所得の損失:賃貸経営等で生じた赤字(ただし土地取得に係る借入金利子は除く)
- 山林所得の損失:山林事業で生じた赤字
- 譲渡所得の損失:一定の資産を譲渡して生じた損失(一部制限あり)
なお、給与所得や雑所得は損失が生じても繰り越すことはできません。フリーランスの方で副業的に事業を行っている場合、事業所得として申告することで損失の繰越が可能になります。
▲ 純損失の繰越控除の仕組みと計算方法を解説した動画
赤字確定申告による節税効果の具体例
純損失の繰越控除がどれほどの節税効果をもたらすのか、具体的な数字で見てみましょう。実際のフリーランス・個人事業主のケースを想定したシミュレーションを紹介します。
ケース1:フリーランスWebデザイナーAさんの場合
Aさんは独立2年目のフリーランスWebデザイナーです。初年度は設備投資と営業活動で赤字、2年目から黒字化しました。
【Aさんの所得推移】
- 令和5年(独立1年目):事業所得 -150万円(設備投資・広告費等で赤字)
- 令和6年(2年目):事業所得 300万円(黒字化)
- 令和7年(3年目):事業所得 400万円
【赤字申告をした場合としなかった場合の税額比較】
| 年度 | 赤字申告あり | 赤字申告なし | 差額(節税額) |
|---|---|---|---|
| 令和5年 | 所得税・住民税 0円 | 所得税・住民税 0円 | 0円 |
| 令和6年 | 課税所得150万円 所得税約8万円 住民税約15万円 |
課税所得300万円 所得税約21万円 住民税約30万円 |
▲28万円 |
| 令和7年 | 課税所得400万円 所得税約38万円 住民税約40万円 |
課税所得400万円 所得税約38万円 住民税約40万円 |
0円 |
| 3年間合計 | 約101万円 | 約129万円 | ▲28万円の節税 |
このように、初年度の赤字150万円を申告しておくことで、2年目の税負担を約28万円も軽減できました。これは単に確定申告をするかしないかの違いだけで生まれる差です。
ケース2:フリーランスエンジニアBさんの場合
Bさんは会社員からフリーランスエンジニアに転身しました。独立1年目は準備期間が長く、2年目に大型案件を受注して大幅黒字となりました。
【Bさんの所得推移】
- 令和5年(独立1年目):事業所得 -80万円
- 令和6年(2年目):事業所得 600万円(大型案件受注)
- 令和7年(3年目):事業所得 500万円
令和6年の課税所得の計算
- 赤字申告ありの場合:600万円(事業所得) – 80万円(前年の損失) – 65万円(青色申告特別控除) – 48万円(基礎控除) = 407万円
- 赤字申告なしの場合:600万円(事業所得) – 65万円(青色申告特別控除) – 48万円(基礎控除) = 487万円
課税所得の差:80万円
税額の差
- 所得税の差:約16万円
- 住民税の差:約8万円
- 合計:約24万円の節税
さらに、課税所得が減ることで国民健康保険料も年間約5〜10万円程度減額される可能性があり、トータルでの節約効果は30万円以上になります。
ケース3:複数年にわたる損失繰越の例
Cさんは飲食店を開業しましたが、コロナ禍の影響で2年連続赤字、3年目から黒字化しました。
【Cさんの所得推移】
- 令和4年:事業所得 -200万円
- 令和5年:事業所得 -100万円
- 令和6年:事業所得 250万円
- 令和7年:事業所得 300万円
損失繰越の適用順序
- 令和6年:250万円 – 200万円(令和4年の損失) = 50万円の課税所得
- 令和7年:300万円 – 50万円(令和5年の損失の残り) = 250万円の課税所得
※令和5年の損失100万円のうち、令和6年で使い切れなかった50万円が令和7年に繰り越されます。
このように、複数年の赤字も順次繰り越すことができ、黒字化後の税負担を大幅に軽減できます。Cさんの場合、2年間で累積300万円の損失を申告しておいたことで、黒字化後2年間の税負担が約50万円以上軽減されました。
赤字年度の確定申告がいかに重要か、これらの具体例からご理解いただけたでしょうか。詳しい経費計上の方法については、フリーランスエンジニアの経費はどこまでOK?認められる経費一覧と節税術の記事も参考にしてください。
純損失の繰戻還付とは?前年の税金が戻ってくる制度
純損失の繰越控除とは別に、青色申告者には「純損失の繰戻還付」という制度もあります。これは、当年の赤字を前年の黒字所得から差し引き、すでに納めた前年分の所得税の還付を受けられるという制度です。
繰戻還付の仕組み
繰戻還付は、繰越控除とは逆方向に損失を適用する制度です。翌年以降の黒字から差し引くのではなく、前年に戻って所得を修正し、払いすぎた税金を取り戻します。
令和5年:事業所得 300万円(所得税約21万円を納付)
令和6年:事業所得 -150万円(赤字)
→ 繰戻還付を申請すると、令和5年の所得を150万円に修正
→ 修正後の所得税は約8万円となり、差額の約13万円が還付される
繰戻還付の適用要件
繰戻還付を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 青色申告を行っていること:損失が生じた年とその前年の両方で青色申告の承認を受けている必要があります
- 前年も確定申告を行っていること:前年に確定申告をして所得税を納付していることが前提です
- 期限内に繰戻還付の申請書を提出すること:確定申告期限内に「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を提出します
- 帳簿書類を保存していること:損失の根拠となる帳簿や証憑書類を適切に保存している必要があります
繰越控除と繰戻還付、どちらを選ぶべきか
青色申告者は、純損失が生じた場合に「繰越控除」と「繰戻還付」のどちらかを選択できます(両方同時には適用できません)。どちらを選ぶかは、以下の基準で判断しましょう。
| 判断基準 | 繰越控除が有利 | 繰戻還付が有利 |
|---|---|---|
| 前年の所得 | 前年の所得が少ない(還付額が小さい) | 前年の所得が多い(還付額が大きい) |
| 翌年以降の見込み | 翌年以降の所得増加が見込まれる | 翌年以降も赤字または低所得の可能性 |
| 資金繰り | 資金繰りに余裕がある | すぐに現金が必要 |
| 税務調査リスク | 税務調査を避けたい | 帳簿に自信があり調査も問題ない |
| 手続きの簡便性 | 通常の申告だけで済む(簡単) | 別途還付請求書が必要(やや複雑) |
一般的な推奨:多くの場合、繰越控除の方が有利です。特に事業が成長段階にあり、翌年以降の所得増加が見込まれる場合は、損失を繰り越して将来の高い税率の所得から差し引く方が節税効果が大きくなります。
一方、事業縮小や廃業を検討している場合、または資金繰りが厳しく即座に現金が必要な場合は、繰戻還付を選択して前年の税金を取り戻すことも有効な選択肢です。
繰戻還付の申請方法
繰戻還付を申請する場合は、確定申告書と一緒に「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」(第四表)を提出します。
STEP 2: 確定申告書第四表(損失申告用)の「繰戻還付」欄に必要事項を記入
STEP 3: 前年の確定申告書の控えを用意(還付額計算に必要)
STEP 4: すべての書類を確定申告期限内に税務署に提出
STEP 5: 税務署での審査後、還付金が指定口座に振り込まれる(通常1〜2ヶ月)
還付請求の書き方については、国税庁のホームページに詳しい記載例が掲載されています。また、会計ソフトを使用すれば、必要事項を入力するだけで自動的に書類が作成されます。会計ソフトの選び方は、freee vs マネーフォワード vs 弥生|個人事業主向け会計ソフト徹底比較2024で詳しく解説していますので参考にしてください。
赤字確定申告の具体的な手順と必要書類
赤字の確定申告は、通常の黒字申告と基本的な流れは同じですが、いくつか追加の書類や記入欄があります。ここでは、赤字申告の具体的な手順を詳しく解説します。
青色申告で赤字申告する場合の必要書類
青色申告で赤字を申告する場合、以下の書類が必要です。
- 確定申告書第一表:基本的な所得と税額を記入
- 確定申告書第二表:所得の内訳や控除の詳細を記入
- 確定申告書第四表(損失申告用):赤字を繰越または繰戻す場合に必須
- 青色申告決算書:損益計算書と貸借対照表(1〜4ページ)
- 各種控除証明書:社会保険料控除証明書、生命保険料控除証明書など
確定申告書第四表(損失申告用)の記入方法
赤字申告で最も重要なのが「確定申告書第四表」です。この書類を正しく記入することで、損失の繰越や繰戻が可能になります。
1. 損失額または所得金額:事業所得の赤字額を記入
2. 損益通算:他の所得と通算する場合に記入
3. 翌年以降に繰り越す損失額:繰越控除を選択する場合の金額
4. 繰戻還付を受ける損失額:繰戻還付を選択する場合の金額
具体的な記入手順:
- 所得金額の記入:青色申告決算書の所得金額(赤字の場合はマイナス)を第四表の該当欄に記入します
- 損益通算の計算:他に給与所得などがある場合、赤字と通算して計算します
- 繰越損失額の決定:損益通算後も残る赤字があれば、それを翌年以降に繰り越す損失額として記入します
- 前年からの繰越損失の記入:前年以前に繰り越した損失がある場合、それを当年の所得から差し引きます
会計ソフトを使った赤字申告の手順
会計ソフトを使用すれば、赤字申告も簡単に行えます。ここではfreeeを例に手順を紹介します。
STEP 2: 決算・申告メニューから「確定申告書類の作成」を選択
STEP 3: 所得・控除の質問に答える(ガイドに従って入力)
STEP 4: 「損失が発生しています」と表示されたら、繰越または繰戻を選択
STEP 5: 前年からの繰越損失がある場合は金額を入力
STEP 6: 自動生成された申告書類を確認・印刷またはe-Tax送信
freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトを使えば、複雑な第四表の計算も自動で行ってくれるため、初めての赤字申告でも安心です。実際の使い勝手については、freee確定申告の評判は?実際に使った個人事業主100人の口コミ調査をご覧ください。
e-Taxでの赤字申告方法
e-Taxを利用すれば、税務署に行かずに自宅から赤字申告ができます。令和2年分以降、青色申告特別控除65万円を受けるにはe-Taxまたは電子帳簿保存が必須となっているため、e-Taxの利用をおすすめします。
e-Taxで赤字申告する手順:
- マイナンバーカードとICカードリーダーを準備(またはスマホのマイナンバーカード読み取り機能を利用)
- e-Taxソフトまたは確定申告書等作成コーナーにアクセス
- 申告書作成開始:所得・控除の情報を入力
- 損失申告の選択:赤字が発生している場合、自動的に第四表の入力画面が表示されます
- 繰越または繰戻の選択:どちらを適用するか選択
- 電子署名して送信:マイナンバーカードで電子署名し、データを送信
- 受付完了メッセージを保存:送信完了の証明として保存しておきます
申告後の手続きと注意点
赤字の確定申告を提出した後も、いくつか注意すべき点があります。
- 申告書の控えを保管:税務署の受付印があるもの(またはe-Taxの受信通知)を必ず保管してください。翌年以降の繰越控除の計算に必要です
- 帳簿書類の保存:青色申告の場合、帳簿や領収書などは7年間保存義務があります
- 翌年以降も継続して申告:損失を繰り越す場合、翌年以降も必ず確定申告を行ってください
- 税務調査への備え:特に繰戻還付を申請した場合、税務調査が入る可能性があります。根拠資料をしっかり整理しておきましょう
▲ 確定申告書第四表の記入方法を実演解説した動画
赤字申告で受けられるその他のメリット
純損失の繰越控除以外にも、赤字年度に確定申告をすることで得られるメリットがいくつかあります。これらの副次的なメリットも見逃せません。
国民健康保険料の軽減
国民健康保険料は前年の所得に基づいて計算されます。赤字申告をして所得がゼロまたはマイナスであることを証明すれば、国民健康保険料が大幅に減額されます。
| 前年所得 | 国民健康保険料(年額・目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 500万円 | 約70万円 | 通常の高所得者 |
| 300万円 | 約45万円 | 中程度の所得 |
| 100万円 | 約20万円 | 低所得者 |
| 0円以下(赤字) | 約10万円以下 | 均等割のみ(7割軽減の場合) |
※保険料は自治体により異なります。上記は東京都の例です。
赤字申告により、前年所得500万円の人が所得ゼロになった場合、国民健康保険料が年間60万円以上も減額される可能性があります。これは非常に大きなメリットです。
各種控除・還付の適用
事業所得が赤字でも、他の控除を適用することで税金の還付を受けられる場合があります。
- 医療費控除:年間の医療費が10万円を超えた場合、控除が受けられます
- 寄附金控除(ふるさと納税):ふるさと納税をした場合の控除
- 住宅ローン控除:住宅ローンがある場合の控除(所得がプラスの場合のみ)
- 源泉徴収税の還付:報酬から源泉徴収された税金が還付される可能性
特にフリーランスの場合、取引先から報酬を受け取る際に10.21%の源泉徴収税が天引きされています。年間の所得が赤字やゼロであれば、この源泉徴収税は本来払う必要のないものなので、確定申告によって全額還付されます。
源泉徴収税:500万円 × 10.21% = 約51万円
→ 確定申告により51万円全額が還付される!
住民税非課税世帯の認定
所得が一定額以下(多くの自治体で45万円以下)の場合、住民税が非課税になります。赤字申告により所得がゼロであることを証明すれば、住民税非課税世帯として以下のメリットがあります。
- 住民税が課税されない(均等割・所得割ともにゼロ)
- 国民健康保険料の軽減(7割軽減など)
- 高等教育の修学支援新制度の対象になる可能性
- 各種減免制度(保育料、水道料金など)の対象になる
- 臨時給付金などの対象になる場合がある
これらの恩恵を受けるには、確定申告で所得を正式に申告することが必須条件です。
融資審査・各種申請での事業実態証明
確定申告書は、事業を行っている公式な証明書類となります。赤字であっても申告書があることで、以下のような場面で有利になります。
- 日本政策金融公庫などからの融資:事業実態の証明として必須
- 銀行口座の開設:屋号付き口座開設時に求められることがある
- 賃貸契約:事務所や自宅を借りる際の収入証明として
- クレジットカード審査:事業用カードの審査で有利
- 各種助成金・補助金の申請:事業者であることの証明に使用
「赤字だから申告しない」を続けると、事業の存在自体を証明できず、こうした場面で不利になります。
将来の事業拡大に備える
現在は赤字でも、将来事業が軌道に乗って大きく成長する可能性があります。その際に、創業当初からの申告実績があることは以下の点で有利です。
- 金融機関からの信用:継続的な申告実績が信用評価につながる
- 取引先からの信頼:きちんと納税している事業者として評価される
- 法人化の際の実績:個人事業時代の申告書が法人設立時の資料になる
将来を見据えた事業運営のためにも、赤字の年から正しく申告しておくことが重要です。
白色申告でも赤字を繰り越せるケースとは
基本的に損失の繰越控除は青色申告者の特典ですが、白色申告でも一部の損失は繰り越すことができます。白色申告者の方も、該当する場合は必ず申告しましょう。
白色申告で繰越可能な損失の種類
白色申告の場合、以下の2種類の損失に限り、翌年以降3年間の繰越が認められています。
