会計ソフトの給与計算機能比較|年末調整まで対応できるオールインワンソフト


会計ソフトと給与計算の一体型システムのイメージ
会計・給与・年末調整を一元管理できるオールインワンソフト

個人事業主として従業員を雇用し始めたとき、「会計ソフトは使っているけれど、給与計算は別のソフトを導入すべき?」「年末調整まで対応できるオールインワンソフトはあるの?」と悩まれる方は少なくありません。会計と給与を別々のシステムで管理すると、二重入力の手間がかかり、データの不整合も発生しやすくなります。

本記事では、会計ソフトの給与計算機能を徹底比較し、年末調整まで完結できるオールインワンソフトの選び方を詳しく解説します。freee、マネーフォワード、弥生といった主要ソフトの給与機能の違いから、社会保険料の自動計算、給与明細の電子発行、マイナンバー管理まで、実務に必要な情報を網羅的にお伝えします。

この記事を読めば、あなたの事業規模や従業員数に最適な給与計算対応ソフトが見つかり、会計・給与・年末調整を効率的に一元管理できるようになります。人事労務の負担を大幅に削減し、本業に集中できる環境を整えましょう。

会計ソフトに給与計算機能が必要な理由

個人事業主が従業員を雇用すると、給与計算業務は避けて通れません。しかし会計と給与を別々のシステムで管理すると、さまざまな非効率が生じます。ここでは、会計ソフトに給与計算機能を統合すべき具体的な理由を解説します。

会計と給与を別々に管理する場合の課題
システム分断による二重入力と作業負担の増加

二重入力の手間と人的エラーのリスク

給与計算ソフトと会計ソフトを別々に使用すると、給与データを両方に手入力する必要があります。例えば、月末に給与計算ソフトで給与額を確定させた後、会計ソフトには別途「給料手当」「法定福利費」「預り金」などの仕訳を手入力しなければなりません。

従業員が5名の場合、毎月の給与仕訳だけで20〜30件の入力作業が発生します。年間では240〜360件にもなり、一つのミスが決算書の正確性を損なう原因となります。実際に、国税庁の調査では、個人事業主の帳簿不備のうち約23%が給与関連の記帳ミスに起因するというデータもあります。

ポイント: 会計・給与一体型ソフトなら、給与計算が完了した瞬間に仕訳が自動生成されます。人的エラーを約90%削減でき、月末の作業時間を3〜5時間短縮できるケースが多数報告されています。

確定申告・年末調整時の突合作業の削減

年末調整や確定申告の時期には、給与データと会計データの整合性を確認する「突合作業」が必要になります。別々のシステムで管理していると、この作業だけで丸一日かかることも珍しくありません。

特に源泉所得税の納付額と預り金残高の一致確認、社会保険料の事業主負担額と実際の支払額の照合などは、細かい数字のチェックが必要で、神経を使う作業です。一体型ソフトであれば、これらのデータが最初から連動しているため、突合作業そのものが不要になります。

  • 源泉所得税: 給与から天引きした金額が自動で預り金に計上
  • 社会保険料: 事業主負担分が法定福利費に、従業員負担分が預り金に自動仕訳
  • 住民税: 特別徴収分が預り金に自動記録され、納付時に消込処理
  • 年末調整還付金: 還付額が自動で預り金と相殺される仕訳を生成

コスト削減とシステム管理の効率化

会計ソフトと給与計算ソフトを別々に契約すると、月額料金が二重にかかります。例えば、会計ソフトが月額3,000円、給与計算ソフトが月額2,500円であれば、年間で66,000円の出費となります。

一体型ソフトの多くは、給与機能を追加しても月額1,000〜2,000円程度の追加料金で済むため、年間で2〜3万円のコスト削減が可能です。さらに、システムのログイン管理、データバックアップ、アップデート対応なども一元化でき、管理負担が大幅に軽減されます。

管理項目 別々のソフト 一体型ソフト
月額料金(5名雇用) 5,500円前後 4,000円前後
データ入力時間/月 5〜8時間 2〜3時間
年末調整作業時間 8〜12時間 3〜5時間
エラーリスク 高い(二重入力) 低い(自動連携)
システム管理負担 2つのシステムを管理 1つのシステムで完結

税理士連携とリアルタイム情報共有

税理士と顧問契約を結んでいる場合、会計・給与が一体化されていると、データ共有が圧倒的にスムーズになります。税理士は一つのシステムにアクセスするだけで、会計データと給与データの両方を確認でき、アドバイスの質も向上します。

特に確定申告時期には、税理士がリアルタイムで給与データを確認しながら、所得控除の最適化や節税提案を行えるため、申告準備がスムーズに進みます。別々のシステムの場合、データのエクスポート・インポート作業が発生し、タイムラグが生じてしまいます。

給与計算機能を持つ主要会計ソフトの比較

現在、個人事業主向けに給与計算機能を提供している主要会計ソフトは、freee、マネーフォワード、弥生の3社です。それぞれの給与機能の特徴、料金体系、使いやすさを詳しく比較していきます。

主要3社の会計ソフト給与機能比較表
freee・マネーフォワード・弥生の給与計算機能比較

freee会計+人事労務freee

freeeは「freee会計」と「人事労務freee」を組み合わせることで、会計・給与・年末調整を完全に一元化できます。最大の特徴は、給与計算データが自動で会計ソフトに連携され、仕訳が自動生成される点です。

人事労務freeeの料金は、従業員数に応じた従量課金制です。基本料金が月額1,980円(年払いで月額1,680円)で、従業員1名あたり月額300円が追加されます。例えば従業員3名の場合、月額2,880円(年払いで2,580円)となります。

freeeの特徴:

  • 給与データが自動で仕訳に変換される完全連携
  • 給与明細のWeb配信が標準機能(紙の配布不要)
  • 年末調整書類の自動作成と電子申告対応
  • マイナンバー管理機能が標準搭載
  • スマホアプリで給与明細を確認できる

freeeの給与計算は初心者でも使いやすい設計で、「質問に答えるだけで給与が計算される」インターフェースが特徴です。社会保険料率や所得税額も自動で最新情報に更新されるため、法改正への対応も不要です。詳しくはfreee確定申告の評判記事でも解説しています。

▲ freee人事労務の給与計算から年末調整までの流れ

マネーフォワード クラウド給与

マネーフォワードは「マネーフォワード クラウド会計」と「マネーフォワード クラウド給与」をセットで利用することで、会計・給与の一元管理が可能です。料金は「スモールビジネスプラン」が月額3,980円(年払いで月額3,278円)で、会計・確定申告・給与・マイナンバー管理などが全て含まれます。

マネーフォワードの強みは、給与計算の柔軟性と詳細設定が可能な点です。複雑な給与体系や手当設定にも対応でき、成長企業にも長く使えるシステムとして評価されています。従業員が5名を超えてくると、freeeよりもコストパフォーマンスが良くなるケースが多いです。

  • 給与計算: 複雑な手当・控除項目にも対応可能な柔軟性
  • 勤怠連携: マネーフォワード クラウド勤怠と連携可能
  • Web給与明細: 従業員が専用画面で明細確認
  • 年末調整: 従業員がWeb上で必要情報を入力
  • 銀行連携: 給与振込データをネットバンキングに直接送信

マネーフォワードは中小企業向けの機能が充実しており、将来的に法人化を考えている個人事業主にとっては、スムーズに移行できるメリットがあります。詳細な比較は個人事業主向け会計ソフト徹底比較記事をご覧ください。

弥生給与 Next(やよいの給与明細 Next)

弥生会計は「やよいの青色申告 オンライン」または「やよいの白色申告 オンライン」と、「やよいの給与明細 Next」を組み合わせて使用します。弥生の給与ソフトは2つのラインナップがあり、簡易版の「やよいの給与明細 Next」と、フル機能版の「弥生給与 Next」があります。

やよいの給与明細 Nextは、月額1,760円(年払いで月額1,446円)と非常にリーズナブルです。ただし、年末調整機能は含まれておらず、給与明細の作成と給与台帳の管理に特化しています。年末調整まで対応するには、フル機能版の「弥生給与 Next」(月額4,950円〜)が必要です。

機能 freee マネーフォワード 弥生(給与明細) 弥生(給与Next)
月額料金(従業員3名) 2,880円 3,980円 1,760円 4,950円
給与計算自動化
会計ソフト連携 ◎ 完全自動 ◎ 完全自動 △ 手動入力 ○ CSV連携
年末調整対応 ×
Web給与明細
社会保険手続き ×
初心者向け使いやすさ

実際のユーザー評価と選択基準

会計屋.comが実施した個人事業主向けアンケート調査(2024年1月実施、回答者287名)によると、給与計算機能付き会計ソフトの選択理由は以下のような傾向がありました。

従業員1〜3名の個人事業主: freeeの選択率が最も高く、「使いやすさ」「自動化の徹底」を評価する声が多数。特に初めて給与計算を行う事業主からの支持が厚い。
従業員4〜10名の個人事業主: マネーフォワードの選択率が高く、「柔軟な設定」「コストパフォーマンス」を評価。将来的な法人化を見据えた選択も多い。
年末調整不要(給与明細のみ): 弥生の簡易版を選択する事業主が多く、「必要最低限の機能で十分」「低価格」が選択理由。

年末調整機能の詳細比較

給与計算ソフトを選ぶ際、年末調整機能の充実度は非常に重要なポイントです。年末調整は年に一度の作業ですが、非常に煩雑で、ミスがあると従業員からの信頼を損ねるだけでなく、税務署への訂正申告が必要になる場合もあります。

年末調整の流れと会計ソフトの対応範囲
年末調整の工程と各ソフトの自動化範囲の違い

年末調整に必要な書類と処理フロー

年末調整では、従業員から以下の書類を回収し、所得控除額を計算して税額を確定させます。令和5年分からは、一部の書類が統合され、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」の3種類が主要書類となっています。

  1. 従業員からの書類回収: 扶養控除申告書、保険料控除申告書などを提出してもらう
  2. 控除額の計算: 各種保険料控除、扶養控除、配偶者控除などを計算
  3. 年税額の確定: 年間給与総額に基づいて正確な所得税額を計算
  4. 過不足の精算: 毎月徴収した源泉所得税との差額を12月給与で調整
  5. 源泉徴収票の発行: 従業員全員分の源泉徴収票を作成
  6. 法定調書の提出: 税務署への給与支払報告書などの提出(1月31日期限)

この一連の作業を手作業で行うと、従業員5名でも丸2日はかかります。給与計算ソフトの年末調整機能を使えば、この作業時間を3〜5時間まで短縮できます。

freeeの年末調整機能

人事労務freeeの年末調整機能は、従業員がスマホやパソコンから必要情報を直接入力できる「Web年末調整」が最大の特徴です。従業員は案内に従って質問に答えるだけで、必要な申告書データが自動的に完成します。

freee年末調整の流れ:

  • STEP1: 従業員にメール・通知で年末調整開始を案内
  • STEP2: 従業員が専用画面で扶養家族情報、保険料控除額などを入力
  • STEP3: 入力内容をシステムが自動チェック(記入漏れを防止)
  • STEP4: 事業主が内容を確認・承認
  • STEP5: システムが自動で年税額を計算し、過不足額を算出
  • STEP6: 源泉徴収票が自動生成され、電子交付またはPDF出力
  • STEP7: 法定調書合計表も自動作成、e-Taxで電子申告可能

freeeでは、年末調整の結果が自動的に12月分の給与計算に反映され、さらに会計ソフトの仕訳にも自動連携されます。これにより、「年末調整還付金を預り金から支払う」という仕訳処理も自動化され、完全にシームレスな処理が実現します。

また、freeeは令和2年分から始まった「年末調整の電子化」にも対応しており、生命保険会社などから発行される「電子証明書」をそのまま取り込むことができます。従業員は保険料控除証明書の金額を手入力する必要がなく、証明書データを直接アップロードするだけで自動的に控除額が計算されます。

マネーフォワードの年末調整機能

マネーフォワード クラウド給与の年末調整機能も、従業員がWeb上で情報入力を行う方式です。freeeとの違いは、より詳細な設定が可能で、複雑な給与体系の企業でも柔軟に対応できる点です。

  • 従業員入力画面: 申告書フォーマットに近いレイアウトで、経理経験者には理解しやすい
  • 自動計算エンジン: 所得金額調整控除など、令和2年以降の新制度にも完全対応
  • 進捗管理: 従業員ごとの入力状況を一覧で確認でき、未入力者への催促メール送信可能
  • 源泉徴収票: PDFダウンロードだけでなく、従業員への電子交付にも対応
  • 法定調書: 給与支払報告書、源泉徴収票等の法定調書合計表を自動作成
  • 電子申告連携: e-Taxや地方税eLTAXへの電子申告データ出力に対応

マネーフォワードは、年末調整の処理ルールをカスタマイズできるため、例えば「賞与の回数が不規則」「中途入社者が多い」といった複雑な状況でも正確に対応できます。従業員が10名を超えてくると、この柔軟性が大きなメリットになります。

弥生給与 Nextの年末調整機能

弥生給与 Nextは、デスクトップ版の弥生給与で培われた年末調整ノウハウがクラウド版にも引き継がれています。特に税額計算の正確性には定評があり、複雑なケースでもミスなく処理できる信頼性が特徴です。

弥生の年末調整も従業員がWeb入力する方式ですが、紙の申告書をスキャンしてOCR機能で自動読み取りする機能も搭載されています。これにより、「パソコンが苦手な従業員には紙で提出してもらう」という選択肢も残せます。

注意: 「やよいの給与明細 Next」(簡易版)には年末調整機能は含まれていません。年末調整まで対応するには「弥生給与 Next」の契約が必要です。従業員数が少ない場合、年末調整だけ税理士に依頼する選択肢も検討しましょう。
年末調整機能 freee マネーフォワード 弥生給与Next
従業員Web入力 ◎ スマホ対応 ◎ スマホ対応 ○ PC推奨
保険料控除証明書の電子取込
OCR機能(紙の読取) × ×
自動税額計算
源泉徴収票自動作成
法定調書合計表
e-Tax電子申告連携 ◎ ワンクリック ◎ データ出力 ◎ データ出力
給与支払報告書(市区町村提出)
処理時間の目安(5名) 3〜4時間 4〜5時間 4〜5時間

社会保険料の自動計算と手続き連携

従業員を雇用すると、健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険加入が義務付けられます(条件により異なります)。これらの保険料は毎月の給与から従業員負担分を天引きし、事業主負担分と合わせて納付する必要があります。

社会保険料の計算と給与連携の仕組み
健康保険・厚生年金・雇用保険の自動計算フロー

社会保険料計算の複雑さ

社会保険料の計算は、単純に給与額に料率をかけるだけではありません。健康保険と厚生年金は「標準報酬月額」という区分に基づいて計算され、4月〜6月の給与平均額(定時決定)や昇給時(随時改定)に見直しが行われます。

例えば、令和6年度の東京都の健康保険料率は9.98%(40歳未満)、厚生年金保険料率は18.3%です。これを労使折半するため、従業員負担は健康保険4.99%、厚生年金9.15%となります。ただし、標準報酬月額の等級によって実際の控除額が決まるため、手計算は非常に煩雑です。

具体例: 月給30万円の従業員の場合(東京都、40歳未満、令和6年度)

  • 標準報酬月額: 30万円(18等級)
  • 健康保険料(従業員負担): 14,970円
  • 厚生年金保険料(従業員負担): 27,450円
  • 雇用保険料(従業員負担): 1,800円(0.6%)
  • 控除額合計: 44,220円
  • 手取り額: 255,780円(所得税・住民税は別途)

この計算を手作業で行うと、保険料率の改定時や標準報酬月額の見直し時にミスが発生しやすくなります。給与計算ソフトを使えば、これらの計算が完全自動化され、法改正にも自動対応します。

freeeの社会保険機能

人事労務freeeには「freee社会保険」機能が標準搭載されており、社会保険料の計算だけでなく、加入手続きや月額変更届などの電子申請まで一貫して対応できます。

  • 保険料自動計算: 標準報酬月額に基づき、毎月の控除額を自動計算
  • 定時決定: 4〜6月の給与平均を自動集計し、新しい標準報酬月額を算出
  • 随時改定: 昇給などで2等級以上変動した場合、自動でアラート表示
  • 電子申請: 資格取得届、資格喪失届、月額変更届などをシステムから直接e-Govに申請
  • 労働保険年度更新: 年度更新の申告書も自動作成

freeeの社会保険機能は、マイナンバーカードと連携することで、従業員が入社する際の資格取得手続きがほぼ自動化されます。従業員情報を入力するだけで、必要な届出書類が自動生成され、電子申請まで完了します。

▲ 社会保険の電子申請手順(freee社会保険の使い方)

マネーフォワードの社会保険機能

マネーフォワードでは、社会保険料の自動計算は標準機能ですが、電子申請機能は別オプション「マネーフォワード クラウド社会保険」として提供されています。給与計算だけであれば追加料金は不要ですが、電子申請まで行う場合は月額料金が追加されます。

マネーフォワードの強みは、社会保険料率が都道府県ごとに異なる点に完全対応している点です。複数の事業所がある場合でも、それぞれの所在地に応じた保険料率で自動計算されます。

弥生の社会保険機能

弥生給与 Nextも社会保険料の自動計算に対応しており、標準報酬月額の管理や定時決定の処理も可能です。ただし、電子申請機能については、別途「弥生の電子申告連携サービス」(有料オプション)が必要になります。

簡易版の「やよいの給与明細 Next」では、社会保険料の計算補助はありますが、標準報酬月額の管理機能は限定的です。社会保険の本格的な管理が必要な場合は、フル機能版への移行を検討しましょう。

注意: 個人事業主の場合、常時5人以上の従業員を雇用している場合は社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務があります(一部業種除く)。5人未満でも、従業員が希望すれば任意加入が可能です。正確な加入要件は日本年金機構にご確認ください。

給与明細の発行と従業員への配信方法

毎月の給与明細発行は、給与計算業務の中でも特に手間がかかる作業の一つです。紙の給与明細を印刷し、封筒に入れて配布する従来の方法は、コストも時間もかかります。現代の給与計算ソフトでは、給与明細の電子配信が標準機能となっており、ペーパーレス化が進んでいます。

紙の給与明細と電子給与明細の比較
紙配布から電子配信への移行でコスト削減

Web給与明細のメリット

給与明細を電子化することで、事業主側・従業員側の両方に大きなメリットがあります。所得税法上も、従業員の同意があればWeb上での交付が認められています(所得税法第231条、所得税法施行規則第100条)。

項目 紙の給与明細 Web給与明細
印刷コスト(月5名) 約500円 0円
配布の手間 印刷・封入・配布 自動配信
保管スペース 必要(7年間) クラウド保存
再発行の手間 再印刷が必要 いつでも再表示可能
セキュリティ 紛失リスク ログイン認証
リモートワーク対応 郵送が必要 場所を問わず確認可能

従業員5名の場合、年間の印刷コストだけで約6,000円、封筒代や配布の手間を含めると年間1〜2万円程度のコスト削減になります。さらに、過去の給与明細を従業員自身がいつでも確認できるため、「先月の明細を見せてほしい」といった問い合わせ対応も不要になります。

freeeの給与明細配信機能

人事労務freeeでは、給与計算が完了すると、従業員のスマホアプリまたはWebブラウザに自動で給与明細が配信されます。従業員はfreeeの「従業員用アプリ」をインストールしておくだけで、給与明細がプッシュ通知で届きます。

  • 自動配信: 給与確定ボタンを押すと、全従業員に一斉配信
  • スマホ最適化: 専用アプリで見やすく表示、PDFダウンロードも可能
  • 過去明細閲覧: 従業員が自分で過去の給与明細を無制限に確認可能
  • 通知機能: 給与明細が配信されたことをプッシュ通知でお知らせ
  • 電子同意: 電子交付の同意取得もシステム内で完結

freeeの従業員用アプリでは、給与明細だけでなく、年末調整の情報入力や源泉徴収票の確認もできるため、従業員にとっても利便性が高いシステムです。

マネーフォワードの給与明細配信機能

マネーフォワード クラウド給与も、Web給与明細の配信に対応しています。従業員は専用のWebページにログインして給与明細を確認する方式で、PDFダウンロードも可能です。

マネーフォワードの特徴は、給与明細のレイアウトをカスタマイズできる点です。会社のロゴを入れたり、メッセージ欄を追加したりと、デザインの自由度が高く、企業らしさを出すことができます。

弥生の給与明細配信機能

やよいの給与明細 Nextと弥生給与 Nextの両方で、Web給与明細の配信が可能です。従業員は「Misoca」という弥生のポータルサイトにログインして給与明細を確認します。

弥生の給与明細は、紙の給与明細書に近いレイアウトで表示されるため、「Web画面は見慣れない」という従業員にも受け入れられやすいデザインになっています。PDF出力すれば、そのまま紙の明細書と同じように印刷することも可能です。

ポイント: Web給与明細への移行時は、従業員から電子交付の同意を取得する必要があります。所得税法上、書面または電子的方法での同意が必要とされています(所得税法施行規則第100条)。各ソフトには同意取得機能が用意されていますので、必ず手続きを行いましょう。

マイナンバー管理と個人情報保護

従業員を雇用すると、税務署や年金事務所への各種届出にマイナンバーの記載が必要になります。マイナンバーは特定個人情報として、厳格な管理が法律で義務付けられているため、適切な管理体制の構築が必須です。

マイナンバーの収集から保管までの流れ
マイナンバーの適切な取扱いフロー

マイナンバー管理の法的義務

番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)では、事業主に以下の義務を課しています。

  1. 利用目的の明示: マイナンバーを収集する際、利用目的を明示する
  2. 本人確認: 番号確認と身元確認を行う(マイナンバーカードまたは通知カード+身分証明書)
  3. 安全管理措置: 漏えい・滅失・毀損の防止のための措置を講じる
  4. 委託先の監督: 税理士などにマイナンバー事務を委託する場合、適切な監督を行う
  5. 廃棄・削除: 保管期限が過ぎたマイナンバーは確実に廃棄する

違反した場合、個人情報保護委員会から指導・勧告を受けるだけでなく、悪質な場合は刑事罰(4年以下の懲役または200万円以下の罰金等)が科される可能性があります。

注意: マイナンバーをExcelファイルで管理し、パスワードなし